第18話

正直、ぞっとした。


十五歳から二十四歳までの九年間といえば、肉体的にも精神的にも最も変化の激しい時期だ。


人によっては、別人のようになってしまう場合も少なくない。


にも関わらず、弥生は一ミリたりとも変わらず、人形のようにそこにあった。


そして決められた席につき、決められた仕事を黙々と行っている。中学の時と同じように。


身長が伸びていないことと、不気味なほど童顔ということが原因なのかもしれないが、それだけでは説明がつかないような気がした。


普通なら真っ先に声をかけて旧交を温めるのかもしれないが、英理はどうしてもそんな気になれず、結局去年一年間を通じて誰にも打ち明けることなく、弥生本人にもそのことを話題にしなかった。


職場に着任したときの挨拶も普通に聞き、業務連絡はするが、初対面の人間と接するようにして接する。


そうするうちに言い出す機会を失してしまい、何となく日々は流れていった。


「……まさか、本人に直接打ち明けられるとはな」


一人暮らしのアパートに戻り、鍵を開けながら小さく呟く。


言い出さなければ失礼だろうかと逡巡しながらも、心のどこかで、このままでいいと思っている自分がいた。


認めてしまったら、動き出す何かがある。


よく分からない闇の中に手を突っ込んで、その手触りを確かめるのが怖かった。

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