第24話 真夏のおっぱいバレー編(ご褒美のパイパイ編)
――9対10。
スコアだけ見れば接戦だった鷹野と大和田の兄上との試合が終わって、10分後の岩陰にて。
「さぁ、古羊よ? 勝利のご褒美を貰おうか?」
「う、うわぁ……。ししょーが今まで見たことないくらい、いい笑顔を浮かべてるよぉ……」
何故か自分のカバンを持った古羊と共に、人気の居ない岩場まで移動した俺たち。
理由はもちろん、ただ1つ!
試合中に約束した、古羊のデカパイを揉むためである!
「約束通り、おっぱい……揉ませていただきますっ!」
「あ、あまり大きな声ださないでよぉ!?」
人に聞かれちゃうよぉ!? と胸のところで腕を組み、やや前かがみでキョロキョロと辺りを見渡す、なんちゃってギャル。
なんていうか、それはグラビアアイドルが胸を強調するポーズによく似ていて……。
あ、あの果実を今からこの手に……好きなだけ、飽きるまで。
ごくりっ、といやらしく喉が鳴った。
「古羊は師匠との約束を破る、悪い子じゃないもんな?」
「うぐっ!? そ、そうだよね。や、約束だもんね? うん、約束はちゃんと守らないとね?」
「その通りだ」
いやぁ、人間ってすごいよねぇ?
1度一線を越えたら、声から性欲が消え、爽やかなイケメンボイスになるんだぜ? 知ってた?
何ならもう『シロウ・オオカミの今夜は寝かさ
「そ、それじゃ、ししょー? 目……
「全力で了解」
どこか恥じらうように、上目遣いで、そうおねだりする古羊。
えぇっ、もう速攻でお
目を閉じて数秒後、古羊がそっと俺の手を掴んできた。
なるほど。そのまま、パイパイの所まで俺を導いてくれるんですね? 分かりますっ!
俺が心の中で『左手は添えるだけ』と、シュートのコツを呟くと同時に、我が手のひらに『ふにゅん♪』とした感触が返ってきた。
「――ッ!」
キタッ!
おっぱいだ!
気がつくと、俺は全神経を手のひらに集中させていた。
それは、とても柔らかく、はね返るような弾力があり、温かみを感じない、無機質なナニかで……うん? あれ?
なんか、おかしくね?
おっぱいって、こんな冷たくて無機質なモノなの?
俺は閉じていた瞳をゆっくりと開け、自分の握っているモノに視線を落とした。
俺の手のひらの上、そこには、肌色のお饅頭のような球体のクセに、先端にツンッ! とイキり立ったピンク色の突起をした『ナニか』が鎮座していた。
……え~と?
「古羊ちゃん、ナニこれ?」
「メイちゃんが、胸パッドさんを作るときの柔らかさの基準にする『おっぱいボール Fカップ』だよっ! どう? 気持ちいい?」
「騙したなキサマァァァぁぁぁ――っ!?!?」
くわっ! と目を見開き、手のひらに乗っけられた謎の『おっぱいボール』なる球体を全力で握りしめる。
瞬間、パァンッ! と甲高い音と共に『おっぱいボール』の中に入っていた水が周囲に弾け飛んだ。
「うわっ!? な、何するのさ、ししょーっ! メイちゃんに怒られちゃうよ?」
「うるせぇぇぇぇっ! はい、よこたん! 正座してっ! そこの柔らかそうな砂の上で正座してっ!」
「えっ、せ、正座? なんで?」
「い・い・か・らっ!」
ハリーアップ! と、俺を叫ぶと、なんちゃってギャルは渋々といった様子で砂の上に膝を折った。
そんな爆乳水着ギャルを尻目に、俺はその場で地団駄を踏んだ。
「チクショウ、よこたんめ! まんまと盗んでいきやがったな!?」
「盗むって……ボクなにも盗んでないけど?」
「いやっ! よこたんは、とんでもないモノを盗んでいきました! ――俺の心です」
「えぇ~……」
何とも『不本意だ』と言わんばかりの声音が、なんちゃってギャルの唇からまろび出る。
不本意なのはコッチだ、バカ野郎、この野郎♪
「うぅぅ……
「言い方ぁ!? 言い方だよぉ!?」
言い方に悪意があるよぉ! と、正座したまま俺に食ってかかってくるテクニシャン古羊。
「だ、大体ボク、ちゃんと約束通り、お、おっぱい揉ませてあげてるでしょ!?」
「ふざけんなっ! こちとら、よこたんのデカパイを揉むつもりで頑張ったんだぞ!?」
「えっ、ボクぅ!?」
サッ! と、その巨乳の前で腕を組むギャル子。
その瞳は驚きに満ち溢れていて……なんで驚いてんだ、コイツ?
「なに驚いてんだ? 俺はちゃんと聞いたぞ?『この試合に勝ったら……お、おっぱい! 揉ませてあげる!』って! おまえは確かにそう言った!」
「た、確かに言ったけど……で、でもっ! ぼ、『ボクのを揉ませてあげる!』とは言ってないよ!?」
「はぁっ? この
えっ? じゃあ、なんですかい?
全部、俺の勘違いだったって事ですかい?
おいおい、マジかよ……。
「なんだよ、そのダ・ヴィンチ・コードならぬヨウコ・コード……いやヨウコードは? 絶対に誰も解けないじゃん……」
チクショウ、ペテン師みたいな事をほざきやがってからにっ!
ペテン師もペタン師も、芽衣1人で十分だ!
「ちきしょー……俺はてっきり、よこたんのおっぱいが揉めると思って頑張ったのに……。この仕打ちはあんまりだぁ……」
「ご、ごめんね、ししょー? ボクの言葉が足りないばっかりに――って、えっ? うそ!? ガチ泣き!? まさかのガチ泣き!?」
目尻から迸る情熱が、雫となって俺の顔を濡らす。
世の中、夢も希望もありゃしない……。
「あっ、ヤバい。心のダメージがデカ過ぎて、次の試合、頑張れない……」
「えぇっ!? 次はメイちゃんとウオズミ先輩だよ!? そんな気持ちじゃ、絶対に勝てないよ!?」
慌てて立ち上がった古羊が、ゆっさゆっさ♪ と俺の身体を前後に揺らし始める。
ごめんね、パコラ●シュ。僕、もう疲れたよ。
シコってもいいかな?
「現実逃避しないで、ししょーっ!? このまままじゃ、シシモトさんの恋人になっちゃうよ!?」
ヨウコ は シロウ の からだを ゆさぶった。
へんじがない。ただの しかばねのようだ。
「うぅ~、どうしよう? ……あっ!」
瞬間、困った表情を浮かべていた古羊の頭にピコーン! と架空の電球が光り輝いた。
「そ、そうだ! ね、ねぇ、ししょー?」
「……なんだよ?」
かろうじて残っていた意識を総動員させ、古羊の方へと視線をよこすと、何故か顔をトマトのように真っ赤に染めた古羊が、もじもじと膝を
胸の前で
なにしてんだ、コイツ? トイレか? 俺が便器になろうか?
「そのぉ、ね? この大会でね、ししょーが優勝したらね? さ、触るのはダメだけど、み、見るだけなら……いいよ?」
「はっ?」
なにが?
なにが『見るだけなら』なの?
主語をつけてくれ、主語を!
「だ、だからね?」
頭の上にクエスチョンマークを乱舞させる俺に、古羊は覚悟を決めたような口調で、ハッキリとこう言った。
「この大会でね、優勝したらね? ぼ、ボクのおっぱい! 見せてあげるよ!」
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