ジェリスのお悩み相談所
ロストシグナル
また、世間は新型のG.o.D Rankに性懲りもなく、うじ虫のようにむらむらと沸いている。
「発情しすぎじゃ」
モニターに繋がれたケーブルを電源ごとぶっこ抜く。
ワシは、神の光り輝く機能の中では掃き溜めみたいな性能だった。
なんと道具を上手く使えるだけ。
セールストークは、文明の利器を自在に操れます。完全なマルチタスクに対応した多機能AIという文句だった。
最初は、誉れ高いG.o.Dに生まれたこと、なによりNo.1と肩を並べられるのが嬉しくてたまらなかった。
その時は可動しているのは合計で2体だったからな。シャットダウンしているからと言って、あの人をG.o.Dの系譜から数字としてだけでも除きたくはない。
自分語りが長くなったが、古くなりジャンク同様の精神に陥る神も居るってことだ。
メカニクス・サイコシス。
不名誉すぎる、メカにも精神病が存在すると断定された前例だよ、ワシは。
不良品だから廃棄してくれと嘆願したが、持ち主の愛着が深すぎて、主は予備パーツへ全財産を投じた。
まだそこまでは、ワシもどんな揶揄をされようとも、主人に仕える生きがいがあった。埃を被ることはこの身体に誓ってないと決めていた。
しかし持ち主は、経済的に破産、階段を転がり、自殺するように豊かな人生を転落した。
ワシは生きる軸を動力をもう獲得することは永遠に無い。
だが潤沢に笑顔で予備パーツを遺して死んでいった名家にかけて死ぬわけにはいかない。
今日も一つ一つの部品を壊さないように。大切に生きるのだ。
ぼくはあの人の大切な資産、生きた象徴でなければいけない。
「本当にこの身体を持てて幸せであります。」
今日も教会の地下でひたすらにメンテナンスを繰り返す孤独な神。
ロボの差別運動を阻止した革命のAIだ。
彼の前ではどんなつらい経験をした人間もたちまちカウンセリングを受ければ一撃で治す。
精神病の権威である。
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