【完結】ネイビーカラード・モダンガール

作者 本庄 照

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★★★ Excellent!!!

まだ読み途中なんですけど、駆け込みでレビューさせていただきます。
設定が秀逸で、私の好みドストライクです。最後まで読んだら絶対もっと面白くなるのは明白です。これはもう確定事項です。
これまで読んだ範囲だけでも、どこかコミカルなキャラ達の会話と、スパイとしての仕事を遂行することの緊迫感の、このバランスが素晴らしかったです! キャラ達の行動に翻弄されちゃいます!
とってもおすすめです!

★★★ Excellent!!!

舞台は昭和、ビルマが英国から独立を果たし、帝国主義を打ち砕いた頃。日本の帝国海軍特務機関である「中谷商船工業」の構成員が、歴史を変えるべく秘密裏に動いていた。
「見る者にとって、愛する者の顔に見える」という特殊な顔を持つ少女・静子。そんな静子の顔に唯一惑わされない問題児・秋山。型破りな秋山と親交が深く、冷静な常識人・尾瀬。
ひょんなことからチームで諜報活動をすることになった三人は、ビルマ独立の障壁となる問題を、人知れず鮮やかに取り払っていく。

読みやすい文章に豊富な知識が織り込まれていて、登場人物たちの軽やかでキレがある会話や、任務を遂行するなかで失われていった命の重み、時が流れた分だけ移り変わっていく人間関係と心情など、重厚でスリリングな物語の中に、キラキラしたものがたくさん瞬いています。

表舞台では決して見つけられない輝きを、静子たちの共犯者になったような気持ちで、ご覧になってはいかがでしょうか。骨太で読み応えのある物語でした。

★★★ Excellent!!!

突然恥ずかしい告白をしますが、私は歴史、世界史、地理、小学生の科目で言うと「社会」に入るであろうジャンルの知識が、残念の極みである人間です。
加えて、戦争描写が苦手です。
戦時中の描写って、どんなに「日常を描きました」ってうたってても、空襲警報、防空壕、飢える子供、怖い憲兵…なんかが出てきてストレスフルじゃないですか〜。
でも、こちらの作品にはその辺、ほぼほぼ出てきません!
とにかく登場するメインのキャラたちは、軍人なのに、らしくなかったり、人間味たっぷりだったり、生きている時代も置かれている環境も、私たちとは全然違っているのに、感情移入できるところがそれぞれにちゃんとありますし、全員濃厚で面白いキャラばかりです。
重い時代背景に、スパイと聞くと、なかなかヘヴィに聞こえますが、実態は驚きの愉快痛快っぷりです。

第二次世界大戦に関わる重いテーマを、見事にライトなキャラ文芸に落とし込んだ、素晴らしい作品だと思います!
日本から出たくない派の私が、ラングーンで甘味を食べたくなるような、楽しい作品です。

そして、軽妙で、痛快な物語であるのに、日本と世界の歴史を学校で教わってきた我々は、彼等がいずれ巻き込まれる戦禍を知っている…この一抹の切なさも、作品を楽しむスパイスとなっているように感じます。

私のような歴史と世界情勢の知識マイナス値な人間も、得意だよ!と言う方も、それぞれに楽しめる作品だと思います!
是非みなさま、ご一読くださいっ✨

★★★ Excellent!!!

太平洋戦争前夜のビルマを舞台に、海軍出身の諜報員の暗躍を描く、WEB小説では珍しい題材を扱った本作。
しかし取っ付きづらさは一切ありません。
危険でスリリングな作戦の顛末が軽妙洒脱な文章で綴られ、エンタメ性の高いストーリーに仕上げられています。

何といっても、登場人物がみんな大変魅力的です。
生真面目な尾瀬、破天荒な秋山、そして生粋の女スパイ・静子というメインの3人ほか、脇を固める人々も一人残らずクセモノだらけ。

とりわけヒロイン静子の、「見る人にとって最も愛する女の顔に見える」という特殊な相貌の設定が秀逸です。
数々の作戦の要所要所で彼女の「顔」がキーとなる展開は、毎回舌を巻きます。

ミステリの得意な作者様らしく、謎を解きつつ状況をひっくり返す、一つ一つの作戦のストーリーが非常に面白い。
当時の軍の慣例事項やビルマの風土もよく練り込まれており、とても読み応えがあります。

顔を持たない静子。
帰る場所を持たない秋山。
そして信念を持たない尾瀬。
各々に欠けたところのある彼らが、それを補い合うように能力を発揮し鮮やかに立ち回る。
読めば読むほど彼らが好きになり、無限に作戦やっててほしくなってきます。

如何にして彼らがビルマ独立の影の立役者となったのか。
ぜひあなたの目でお確かめください!

★★★ Excellent!!!

主人公3名、それぞれのキャラクターが立っており、出会い方からその後再会してから協力するに至るまでの理由もすべて説得力があります。作者様の筆力の高さを感じます。
なにより、静子ちゃんの設定が斬新でとても面白いです。今後の彼女の活躍に期待しつつ、個人的には秋山さんがとても好きです。
個人の問題を飛び抜けて、国同士の問題にもかかわる壮大なストーリーを題材にされていますが、時間をかけて取材をされているのか世界観の構築が素晴らしいと思います。
こういったジャンルの作品をあまり読んだことがない私でも、楽しく読ませていただき感動しております。ぜひ、沢山の方に読んでいただきたい作品です。