第75話 狸爺にはため口で十分、


 国王陛下の話を纏めると、俺は今の生活をそのまま続けてもいい上に学園の数学教師もそのまま続けてもよく、国王陛下の護衛をする必要も無い上に、国王陛下直属の魔術師という肩書がつく為月々の給料が今の数倍に跳ね上がるという、まるでメリットしかないような内容である。


 ふむ、話だけ聞くとかなり魅力的な提案なのだが、話が旨すぎているためどうしても詐欺師に騙されているような感覚になってくる。


 というか、ただ肩書を与えて仕事は何もする必要はない、けれども破格な給料という内容はどう考えても大きなデメリットを隠しているとしか思えないんだが?


「国王陛下……」

「なんじゃ? レンブラント」

「どう考えても旨すぎる話なので大きなデメリットを隠しているように思えるんですが……」

「そ、そんな事はないぞ? 安心してくれ、レンブラントよ」

「じゃぁどうして目を逸らすんですか? 国王陛下」

「まぁ、これはその、あれじゃ、あれ。 そうあれじゃっ」

「あれってどれですか?」

「まぁ、なんじゃ。 そこまでお主が儂の直属魔術師になってくれると安心したの。 これでお安心して大規模スタンピードを迎える事ができるのっ!! では、とりあえず契約内容の書類は渡しておくからしっかりと隅々まで呼んでおくことじゃ──」


 そして国王陛下は上手い言い訳が思いつかなかったのかそのまま勢いで乗り切ってからそのままこの場から離れようとしていたので俺は不敬としりつつも首根っこをつかんで国王陛下を捕まえる。


「こ、これレンブラントッ!? なんで儂の首根っこを掴むのじゃっ!? 安心して儂の直属魔術師になるだけで良いのだから儂の首根っこを掴む必要はないじゃろう。 さぁ離すがよい」

「いや、話すわけが無いだろうこの狸親父。 どう考えてもデメリットがやばい契約としか思えないからとりあえずこれから俺と一緒に契約書を見ようではないか。 なぁ?」

「ひぃぃっ!! そ、そんな必要はないぞっ!? 普通の、先ほど言ったような内容の契約内容が書かれているだけじゃぞっ!?」

「まぁ、それは今から一緒に読んで確認しようや」


 ここで国王陛下を逃がしてしまうと間違いなく次会えるのがいつになるか分からなくなる為今ここで国王陛下を逃すはずもなく、一緒に契約内容を確認しようと国王陛下へ言う。


 てかもうこの狸爺にはため口で十分だろう。


 そして契約内容を読み進めていくと、最後のページに『スタンピードや竜種襲撃など魔獣による王国へ危機が訪れた場合は駆けつけて王国を守るように』てきな内容を長々と書かれているではないか。

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