第66話 絶対に許さない、
「いや、良いんだ。 きっと俺がサーシャの間に触るような事をしたのだろうから。 サーシャも、そんなつもりは無かったのだが気を害したのであれば謝るよ。 ごめん」
そして俺はサーシャに頭を下げるのだが、サーシャは俺の謝罪を無視して歩きだし、そのまま通り過ぎていくではないか。
謝罪する原因があのレンブラントとかいうクズのせいであるという時点で俺は腸が煮えくり返りそうな気分であり、それを表に出ないように我慢しているというのに……。
「おいサーシャッ!!」
「何? 私は謝罪してほしいなんか言ったかしら?」
「い、言ってはいないが……、それでも自分が悪いと思ったのならば、俺の行動でサーシャに嫌な気持ちをさせているというのであれば謝罪をするのが当たり前だと思ったから謝罪したまでだよ?」
「あっそ。 とりあえずもう一度分かりやすく言ってあげるけど、金輪際私に関わってこないでちょうだい。 声もかけてこないで」
「ちょっ、ちょっとサーシャッ!? 流石にいくら何でもそんな言い方は無いと思うんだけどっ!! 今すぐにでもダグラスさんに謝った方が良いってっ!!」
そう言うとサーシャは振り返る事もなく歩き去っていくではないか。
「レンブラントめ……。 どれだけおの俺を馬鹿にするつもりなんだ……。 絶対に許さない……っ」
駄目だ、怒りで思考をうまく纏める事ができない。
これほど腹が立ったのは中等部から高等部二年までの間、その年の全国大会で毎回レンブラントに負けて二位なった時以来である。 しかも毎回サーシャはレンブラントの事を応援しており、言い換えればサーシャがその大会を見ているわけで、それはサーシャが見ている前でこの俺が見てるというわけでもあって、これほど腹が立つことは他には無いと思っていたのだが、まさかこれほど腹が立つことがあったとは。
そして俺は握った握り拳に違和感があった為開いてみてみると、握りしめた力が強すぎたようで血が滲んでいた。
◆
「十二時の方角から飛竜型のワイバーンが一匹っ!!」
いったいどうなっているのだろうか?
今日だけでこれで、種族を問わなければ魔獣が七匹も出現したことになる。
しかも少し前まではゴブリンやコボルトなどの低ランクの魔獣が中心だったのだが、それが今ではオークやワイバーンなど出現する魔獣のランクが平均的に跳ねあがって来ており、並みの冒険者では対応できなくなってきていまっている。
このままではここを離れなくてはならなくなるのも近いだろう。
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