第39話 楽しみ
そしてリーシャはレヴィアを「なんて可愛らしい生き物なのでしょうっ!?」と鼻息を荒くしながら抱き着くとレヴィアの頭を撫で始め、抱きつかれたレヴィアは「離してくださいっ!!」ともがき始め、俺はそんな二人を冷めた目で見るのであった。
◆
今回、一週間程行われる大会の初日は難なく全勝で終えることが出来た。
宮廷魔術師は全員で十二名の総当たり戦である。
当然一般の部のトーナメント戦と比べて参加人数は倍以上少ないが試合回数は倍以上に多くなる。
人試合約十分前後かかるのだが準備も合わせると約三十分程かかってしまう為、否が応でも日数は多くなってしまう。
試合数だけで見ても六十六試合なのだから仕方の無い事なのだが、だとしても試合数が多いという事は待ち時間も長くなるという訳で、シンドイものはシンドイしやはり疲れるというものである。
しかしながら年四回ある、ある意味で宮廷魔術師としての仕事の癒やしすらも俺の部屋に入ると一気に癒るのだからサーシャ凄いと思う。
そう思いながら俺は部屋一面に貼られたサーシャの写真を眺める。
コレら全てサーシャの自然な表情を撮る為に全て盗撮である。
映写魔術機を分解して全てを小さく作り替えるようにかの英雄である一賢人、ドワーフのエルロイドへ多額の金貨を与えてまで作らせた甲斐があったというものだ。
しかし、だからこそ俺はサーシャが未だに俺の告白を受け入れない事が理解できないでいる。
コレ程愛しているにも関わらず。
それもこれも全てレンブラントという負け犬の存在のせいなのだが、何故サーシャの中では俺がレンブラントよりも下だという認識になるのか未だに理解できないでいる。
実際に俺は高等部最後の大会でレンブラントに勝利した事からもレンブラントよりも俺の方が強いという事が分かる筈であるし、証明された瞬間でもあるというのに。
ああ、イライラが募る。
その感情を解消させる為に俺は土魔術で作り上げた等身大のサーシャ人形へと抱き着くと、サーシャ人形の胸に顔を埋めながら、そのままベッドへと倒れ込む。
我ながら肌質も感触も完璧だと言わざるを得ない。
ただ、動かない事さえ目を瞑れば。
「待っててね、サーシャ。俺がレンブラントを必ず殺してあげるからね」
何度思い出しても腹立たしいレンブラントを妄想の中で何度も何度も殺しながら、愛しのサーシャへと最早日間となった誓いを立てる。
あぁ、殺せる日が楽しみだ。
そう思いながら俺はサーシャの形をした人形で自らの欲を満たし、眠るのであった。
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