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 最初に出会ったドヴェルグのバーヴォールに魔物の戦闘方法を学ぶことになった。


「そりゃあ、男なら力で解決よ!」


 魔物の生態は、強さが正義という特徴のため、技を伝承したり、教えたりするという文化がない。


「よし、じゃあ次は俺が戦ってやる!」


 結果として、どうやって戦闘方法を学ぶかというと、体で覚える方法がとられた。何人もの魔物と戦闘を行うことで、それぞれの強さを生かした戦い方を吸収していく。魔物ならではの教え方になった。


「よっしゃ、次はワシや!」


(言葉で教えてくれよ!)


 どいつもこいつも口下手なのか、コツを聞いても「あー」とか「うーん」とか言い淀むくせに、血の気が多いのか積極的に戦いたがる。しかも全員格上のため、ただただ辛い。


「おっしゃ、次はおれや!」


 この鍛え方は、本当に意味あるのだろうか。


「調子はどうじゃ、人間の……ではもうないの。小僧」


「どいつもこいつも脳筋すぎるだろ……」


「戦うことが好きなやつが多いからのぉ」


 今のところ、鉤爪を使った戦い方は模索中だ。ドラゴンの爪があるとはいえ、言ってしまえばただの引っ掻き攻撃。テンションも上がらない。


「何か技名でもつけようか……」


「なんじゃ、その技名ってのは?」


「攻撃方法に、名前をつけるんだよ。かっこいい技名だと、テンションあがるだろ」


「人間には、そんな文化があるのか?」


 どうだろう。比較的強い人間は、技名を言っていた気がする。というより技名をいうことで、魔法を発動しているタイプの人間も多い。


「魔物にはないのか?」


「魔物はそもそも、声を発することができない者もおるからの」


「ああ、そういえばそうか」


 じゃあ、どうやって魔法を発動しているんだろうか。今度、確認してみないと。しかし、技名付けるの苦手なんだよな、竜の鉤爪とか、ドラゴンクローとかにしようか。


「しかし小僧。お主、レベル1ではないの」


「……そりゃそうだろ?」


 今まで、どれだけ魔物を狩ってきたと思ってるんだ。


「炎の精霊は、倒した人間の数で魔力レベルがあがる。お主、同族を殺したことあるの?」


「え――?」


 確かに以前に、人間を倒した時にレベルが上がった感覚はなかった。その理由は、魔物じゃないとレベルが上がらないわけではなく、精霊によって魔力があがる敵が違うという意味なのか。


「ということは、俺はこれから人間を倒さないとレベルが上がらないってことなのか……」


「そりゃそうじゃろ」


 当たり前のことだが、全然考えていなかった。元人間の俺に、人間を殺す覚悟があるのだろうか。


 そして何より、妹に人間を殺させる決断をさせることができるのだろうか。妹は兄の俺からみても、相手の事を考えられる、とても優しい子に育っている。そんな妹に、元とはいえ同族を殺させる決断をさせなければいけない。本当に、そんな決断をさせてもいいのだろうか。

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