第43話・魔法武器

 鍛治スキルのレベリングは耐久値回復や武器防具作成などで上げられる。


『鍛冶スキルが上がりました!』


「よし!」


 ついに鍛冶レベルがMAXになり、上位鍛冶スキルを覚えられるようになり、すぐに習得した。夏の聖域に行こうか考えたが、トントンと誰か訪ねて来た。


「アッシュ、春の女神ウェールです。ヘファイストスを連れてきました」


「よくやったなアッシュよ」


 二人の神が訪ねて来て、軽い物を出す妖精の生産地。チーズとワインを嬉しそうに食べてから、ヘファイストスが話しだす。


「良くぞその領域にたどり着いた。お前はまだ未熟だが、我が信者の中で最も熱かった男の熱意を呼び起こした。あの男はいま新たに後人を育てるのに生き生きしている。弟子により失敗したあの男の魂を呼び起こした功績を称え、お前に我自ら技術を教えよう」


 まずは【上級鉱石技術】。ミスリルなどの鉱石を使用した装備作成可能にするスキル。


「じょ、上級鍛冶スキルだけじゃ足りなかったのか」


「いいや、普通に武器などを作るだけなら、このスキルを習得せずとも良い。このスキルは上級鍛冶スキル5になれば自動的に習得もできる品物じゃ。こいつがあれば、ミスリルなどに【魔器作成】の対象に選べるようになった。次は【魔力刻印】を持つお主だけの能力じゃ」


「これには私の恩恵も関係してます」


 そう言ってマッシュマック、アイスマッシュ、マッシュフレア、マッシュゲイル、ホーリーマッシュがアイテムボックスから出て来る。


「【魔力刻印】にこれらのアイテムを使用することで属性を付けられるようになる。そしてこれが本題、我に認められた者のみ使用可能になるスキル。ミスリルを魔法武器に変える【魔法武器作成】のスキルを授けよう」


 SPを使用することになるが【魔法武器作成】ができるようになった。


「魔法武器とは」


「魔剣、聖剣と違う、歴史の中で最も使用された武器の一つ。属性付きの武器はたくさんあれど、魔法攻撃として使用する武器は魔法武器のみ」


 つまりタロウの水晶弾やヒカリの魔力の矢みたいにMPを消費せず行う魔法攻撃。相手の最も低い、防御力なら物理ダメージ、魔法の耐性が低いなら魔法ダメージになるものか。


「いまのあなたなら火、土、風、水、光属性の魔法武器を作れますね」


「闇属性は無いですね」


「あなたがまだ作っていないだけですね。ですがすぐに作れるでしょう」


 そう言ってナイトを見る。そうか、ナイトの影領域なら浄化みたいに畑に属性を付けられる。


「さらに能力刻印も教えよう。これはスキルで無い為、簡単だ。自身が使える魔法属性、能力を武器に付加できる。お前の場合なら歌唱魔法だろう」


「歌唱魔法ですか?」


「後は【上位従魔術】を覚え、【従魔同意術】と言うのがあれば、従魔が使う魔法も使用可能じゃ」


 なるほど、色々あるんだなと考えさせられる。


「それでは、儂は準備があるからここで」


「まだなにかあるんですか?」


「ああ、お主だけではないからな。別の者が条件を満たした時、【魔法武器作成】を教えてやらねばならぬ」


「そうですか」


「それじゃ、私達はこれで」


「日々精進じゃぞアッシュ」


「はい」


 こうして神様達が立ち去った後、すぐに畑で試して、マッシュシャドウを作り出す。


 魔法武器は止められていないか確認する為、王都でリード家のグランさんと連絡しようとアポを取る。


 自分用に色々試して、それから可能ならこれでオーダーメイドする準備しないといけない。


 妖精達のおかげで畑は問題ない。売るのもだいぶ安定している。


「さすがに魔法武器はユニークって訳でもなさそうだけど、どうなるんだろうな」


 そう思いながら、謁見する時間を設定してくださいと城の人に言われて、この時間に会えるようにしてもらった。


 しかし……


「まさか王都関係者とアポが取れるようになるなんて、NPC側でも俺の立場ってどんなものなんだろうな」


 そう思いながら、明日に備えることになった。


 ◇◆◇◆◇


 王宮の待合室で待っている。従魔使いだからヒカリなどを連れてきた。ヒカリは最近、家具を作るのが得意になり、それも売れている。簡易セーフエリアを作る神の像を作れるようになり、春の女神様を作る。ぷち祭壇と共に畑で祭っている。


 そんなヒカリがシャンデリアなど見て喜んでいるのを見て、クリアちゃんに話をして硝子細工にも挑戦させてみるかと思う中、先に誰か、別の人が来た。


「貴方は?」


「俺は『モードレッド』。ペンドラゴン家の長女にして、この国の王族、王位継承権を一応持つ者だ。いまの役職は第一魔法騎士団団長だ。すまないな、割り込ませてもらった」


 そう言い頭を下げ、現れたのはNPCの王族だった。こちらもソファーから立ち上がり頭を下げる。


「それでえっと」


「モードレッドで良い。立場的に第一王女だが兄がいる。兄が国を継ぐから、俺は好き勝手に国の為に生きることにしてるんだ。口調も男まさりだし」


 そう言って座るように促されて座り、向かい側の席に座り、メイドさんに紅茶の用意を頼む。


 黒髪紅い瞳であり、カッコイイ系の女子のようだ。使う武器は剣と魔法っぽいな。腰に剣と短杖を下げている。


「グランはいま仕事中でな、俺が変わりに魔法武器販売について聞こうと思う。単刀直入に聞くが、魔法武器を作れるのか?」


「はい。最近鍛冶神の啓示を受け、魔法武器を作成できるようになりました。まだミスリルを手に入れていないので試していませんが、作成はできます」


「うむ。なら一つ、俺の為に剣を一本打ってくれないか? 魔法武器は我が国でも数は少ないからな。俺の為に一本作ってくれたら、少なくてもユニーク装備ほど強く縛り付けたりはしない」


「作成販売はしていいと?」


「正直エルフの国とドワーフの国、聖国との関係は良いとは言えない。そこに過去時代の兵器が流通するようになると戦争の切っ掛けになりそうだが、魔物の活性化もありそうでそう言っていられないからな。一つくらい自由にさせて、自衛してもらう方が早い」


 とはいえと続いて、旅人である俺を見る。


「正直我が国でも悩みの種だ。旅人の一部は我が物顔で施設破壊や個人の家に入りこむ。正直港町は旅人反対派になったときも理由が理由だけに介入はできなかった」


 あっ、これは色々まずいことになりつつある? 証拠の為にスクショとかの準備、動画取るのってこうすればいいのか。


 空中であれこれしている様子に首を傾げているが、そのままモードレッド様は話を続ける。


 王国としても旅人達がもたらす繁栄と災害について、頭を痛めているらしい。一部の旅人はモンスター被害を抑えているし、中には俺のように失われた技術を修復する者も現れた。


「歌唱魔法、大昔には多くの者が使えた魔法だが、いまでは歌詞しか残っていない。その恩恵まで再現しているのは一部の者と旅人だけだ」


 だからモードレッド様は旅人歓迎派閥らしい。ノドカ村の春の女神や薔薇姫の件は助かったと礼を言われる。


 だが問題は何人かの力ある騎士と兄の一人が旅人反対派。彼らは我が物顔で好き勝手に過ごして、中には住民の財産を勝手に使うと言う暴挙。褒められたことではないとモードレッドが言い出したところで、嫌な汗が流れた。

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