第10話・色々作り出す

「ん、また失敗かな?」


 足踏みして着心地を確かめる。金属のブーツ作りに難航していて、ドワーフの先生に聞くと金属だけじゃ難しいだろうと言われた。


「こいつはあとは革職人が見てくれれば良い品物になるな。元に使っているインゴットも特殊だからな。紹介してやろうか?」


「お願いします」


「ああ、後はなに作ってる?」


「矢じりを作ってます」


「それなら金属百%の矢の作り方も教えてやろう。金が掛かるが、威力もでかい」


「ありがとうございます」


 こうして色々作り終え、掃除をした後は紹介状を受け取り、木工のレンタル所へ向かう。


「ヒカリもやるのか?」


「うん。やってみたい♪」


 ヒカリはそう言って木工を手伝うらしい。シンクとタロウはできない、輝夜は眠いらしい。側で眠らせて二人で木工をする。


「ねえねえパパ」


 小さい子にパパ呼びは正直まだ慣れない。まあ別にいいか。


「どうしたヒカリ?」


「別の物を作ってもいい?」


 飽きたのか?しょうがないな。


「じゃあ、何を作るか楽しみにするよ」


「うん♪」


 木材一つで矢が五本セットできる。矢じりは五つ消費するし、それ以外になにが作れるかも気になる。


 俺がそう思っていると、お皿やフォークなどの小物を作るヒカリ。


 お歌を歌いながら楽しそうだなと思っていると、木工のレンタル場所を管理するエルフのお姉さんから、木工作りに役に立つ歌を教えてもらった。


「『森の営み』と言う歌だけど、きっと役に立つわよ」


「ありがとうございます」


「ありがとう♪」


 嬉しそうに歌いながら木工でテーブルや椅子まで作る。品質も★4などで、売るのにもちょうどいいだろう。


「楽しいか?」


「うん♪」


 楽しそうなヒカリ。みんなもそろそろ起きたり飽きたりするだろうから、さすがに切り上げて掃除してからその場を後にする。木工部屋も買わないといけないな。


 ◇◆◇◆◇


 革職人の店に行き、紹介状を渡して挨拶する。


「やあこんにちは、君がブーツとか作りたいって人かい?」


「はい」


「んーここで働くには裁縫スキルを持っていないと、さすがに働けないかな?」


 そう言われたので裁縫をその場で取り、ああそれなら問題ないよと言われる。


「革の他にも布とかも扱い方を教えて上げるよ」


「ありがとうございます」


 色々話を聞いて、やり方を教わる。それだけでレベルが2上がり、道具の作り方などを教わる。これは助かるな。


 教わる中、今度はお菓子など持って行きたいな。そう思い、話を聞き終えて畑に戻った。


 ◇◆◇◆◇


「うん。作れる物は増えてきたな」


 アップルマッシュから水あめを加工、マッシュロットからロット飼料を作る。


 マッシュシュガーとマッシュナッツからキュアシュガーとナッツオイル。マッシュコーンでコーン粉を作り、コーンマックパンを作った。


 ホーリーマッシュから癒しの錠剤を作る。料理、調合、農業のスキルが高くなり、鍛治も木工と細工が共に上がっている。


「ん? ヒカリ達もスキルを覚えてる」


 この辺りを調べたら、作業を手伝う従魔がスキルを覚える事があるらしい。


 歌唱、農業は基本的に覚えてくれたようだ。


 ヒカリは木工が大好きらしい。椅子などもできるし、このまま好きにさせよう。


「ペイント用に染め物を用意しよう」


 アイテムの中に、染め物やペイント用の塗料作りができるか確認。精霊花とアップルマッシュ、マッシュマック、ホーリーマッシュから塗料作りができる。


 精霊花から水色、アップルは赤色、マッシュマックは春色、ホーリーマッシュから白い色。


 白色は染め物として使用するのだろうか? そう思いながら確保して、ペイントをする為の道具はどうだろうと調べる。


「んー分からない。こういうときは冒険者ギルドだな」


 ………

 ……

 …


 冒険者ギルドのクエストを見ると、椅子とかの依頼を見ることができる。どうやら受けられるらしい。


 受付嬢に聞いてみると、画家さんの領分で、ペイントツールの購入を勧められる。


「もしくは木工のレンタル生産場所でついてくるので、レンタル場でご利用してはいかかですか?」


「分かりました。ありがとうございます」


「いえいえ」


 とりあえずやれることはやり切っているかな? 受けられるクエストで納品しておいて、お金を稼いで畑に戻る。


 ………

 ……

 …


「だいぶやれることはしているか」


 斧術やレベルは少し低いが、比較的に低すぎると言うことは無いだろう。


 魔法ダメは従魔達がいるから問題ない。むしろ前衛が少ないのが問題か。


「そっちはなんとかなるだろう。うん、これでイベント準備は終わったな」


 後は明日のイベントに備えるだけか。


「みんなもうすぐイベントが始まる。いろんなことをしなきゃいけないぞ」


「が~ん~ば~る~」


「頑張ります♪」


「!」


「コーン♪」


 みんなのやる気はある。ならば問題ないだろう。


「よーし、できることはやろう。頑張ろうな」


 エイエイオーと掛け声を上げて、全員が頑張ると言う意思を感じる。


 アイテムの数も確認して、それなりにインゴットなどのアイテムはある。


 後は明日に備えて休むだけか。


「おとーさま、しばらく遊ぼう」


「ん~別に良いか。よし、簡単なものだけな、なにして遊ぶ?」


 喜ぶ従魔達。どこで知ったのか分からないが鬼ごっこやだるまさんが転んだなど、簡単なもので一緒に遊ぶ。


 従魔達との絆も問題ない。それが一番、信用できる。


 あとはイベント、頑張るか。


「パパ捕まえた」


「コーン♪」


「わーつぎはおとーさまだー」


「!」


 逃げ出す従魔を追いかけて、一緒に遊んであげるのであった。

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