散歩の七百四十五話 国境の町の領主との面会

 玄関前にはウサギ獣人の夫婦が使用人とともに待っていたけど、間違いなく領主のバーンズ夫妻ですね。

 さっそく僕たちも馬車から降りて、バーンズ夫妻に挨拶します。


「スーザン殿下、ようこそ帝国へ。国境の町の領主をしておりますバーンズと申します」

「バーンズ様、スーザンと申します。お出迎え頂き恐縮でございます」


 マグカフさんの言う通り、バーンズさんはまさに好青年といった印象です。

 そして、奥様がわざわざ気を使ってくれました。


「お子様たちは、私が相手をしますわ。さあ、ジュースを用意してありますわよ」

「「「わーい」」」


 面会の邪魔にならないという気遣いもできるなんて、本当に凄い人ですね。

 あと、シロも嬉々としてフランたちについていきそうになったけど、あなたは僕たちと一緒にバーンズさんと一緒に面会しますよ。

 フランたちにはアオがついているし、何かあっても大丈夫です。

 応接室に移動し、早速話し始めました。


「王国から国賓を迎えるのは久々というのもあり、特に王国に近い領地では大々的な歓迎ムードになっております」


 バーンズさんがニコリとしながら話をしてくれたけど、暫くは特に敵対するような勢力はないという。

 でも、それは暫くはって制限付きです。


「皇都に近づくほど、様々な考えを持ったものが増えてきます。急進派といわれるような存在も、その中の一つです」

「人が集まるほど多くの考え方が生まれるのは仕方ないと考えております。私たちは、事を荒立てるつもりは全くありません」

「スーザン殿下の仰る通りなのですが、変化を起こしたいものは今回の機会を利用するはずです。十分お気をつけ下さいませ」


 バーンズさんも、過激派的な存在にはかなり気をつけるように言っていた。

 もちろん僕たちも気をつけていたけど、改めて帝国にいる人に言われると気をつけないとと思った。

 すると、話は別の方向に向かっていった。


「しかし、今年も皆さまは花見まつりのお手伝いをしていらしたのですね。多くのものから、王女様が冒険者姿で手伝っていたと聞いております。もちろん、今年も屋台で出される食事は素晴らしいと言っておりました」


 今年もということは、去年も帝国で屋台の商品が高評価だったということが。

 その後も、屋台の話を中心に色々な話がされていた。

 そして、その料理を作ったのが僕だと知って、バーンズさんはかなり驚いていた。

 雷撃の料理人が、まさか目の前にいるとは思わなかったらしい。

 あとで、まんまる焼きを作っていたホルンのことを紹介してあげよう。

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