散歩の七百四十二話 順調な道中

 順調に行けば、お昼過ぎに帝国と国境を接している町に到着します。

 道中は、交代で町まで行く辺境伯領兵の護衛も受けるのでとても安心です。


 なので、花見祭り期間中できなかったことをやります。


 カキカキカキ。


「えーっと、これがこうで……」

「うーん、難しいよー」


 馬車内で、みんなお勉強タイムです。

 といってもそんなに時間を掛ける予定はないし、今日は復習レベルです。

 でも、シロはともかくとしてフランはだいぶ悩んでいますね。

 こうして一時間ほど勉強をして、後は読書時間になります。

 勉強の本でなくてもいいので、プランたちは絵本を読んでいました。

 そして、無事に昼食を食べる村に到着です。

 すると、マグカフさんが感心しながら僕たちのところにやってきました。


「いやあ、このスライムはとても博識ですな。感心しましたぞ」


 実は、マグカフさんの馬車にアオが同乗していて、筆談でお話していたという。

 アオはとても頭が良いし、色々な経験もしているからね。

 普通のスライムとは全く違うでしょう。


「「「おいしー!」」」

「そうかい、いっぱい食べなね」


 シロたちは、お肉定食に大満足です。

 お店のおかみさんも、ニコニコしながら配膳してくれました。

 すると、おかみさんがあることを聞いてきました。


「そうそう、今年の花見祭りをお姫様が手伝いをしていたらしいわね。あんたたち何か知っているかい?」

「「「それって、スーおねーちゃんだよ!」」」


 シロたちが、一斉にスーのことを指さしていた。

 今日のスーは大人しめの貴族の旅服なので、どこかの貴族のお嬢様って思われているらしい。


「あらあら、そうかいそうかい。子どもにも優しいお姫様って聞いたけど、あんたのことだったのかい」

「あ、ありがとうございます……」


 何だかおかみさんのテンションが上がっちゃったけど、特に悪意があるわけじゃないからそのままにしておこう。

 スーは、少し戸惑いながらもおかみさんと握手をしていました。

 更に、まんまる焼きを作る可愛い子ってのも広まっていたらしく、ホルンも恥ずかしそうにしていました。

 こうして、昼食を終えて準備を整えてからまた旅を再開します。


「「ホルン、いーなー」」

「えー、恥ずかしいよ……」


 フランとヴィヴィは、顔を真っ赤にして恥ずかしがっているホルンを羨ましそうに見ていた。

 有名になるのって、結構大変なことなんですよ。

 因みに、僕は凄腕料理人って評価だった。

 せめて、冒険者って評価して欲しいなあ。

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