散歩の七百二十一話 帝国から政務官が来る事に

 ある意味疲れた新人冒険者向け講習を終えて屋敷に帰ると、辺境伯様が僕たちの事を呼んでいた。

 どうも帝国から連絡があったらしいです。

 シロたちは客室に戻って、アオと残った面々で話を聞きます。


「連絡によると、こちらの調整をする事務官を寄越すそうだ。出発は、問題なければ花見祭りの一週間後だという」


 辺境伯様の説明によると、その事務官とは会ったことがあるらしく、真面目な性格だという。

 辺境伯様が太鼓判を押すのなら、とても安心しますね。

 事務官はあと数日したらこの屋敷に来るそうなので、今後の細かい調整はその人からしてもらう予定です。


「こうなると、シュンは花見祭りに専念できるな」

「辺境伯様、私も話を聞かないといけないんですけど……」

「そういうことのために随行員がいる。随行員は、メインのスーを補佐するのが仕事だからな」


 いやいやいや、僕も随行員の一人なんですけど。

 最低限のことはやらないと駄目でしょうね。

 実際の花見祭りが始まるのはあと五日後だけど、準備は終わっているし当日を迎えるだけです。

 なので、随行員が到着するまでやる事はないんだけどね。

 すると、辺境伯様があることを言ってきた。


「そうそう、今日の新人冒険者向け講習で捕まった奴だが、他の領地でも西の辺境伯家の名を騙って悪さをしていたそうだ。なので、西の辺境伯領に送られることになった」

「あの、それってもしかして西の辺境伯様ではなくエミリア様の決定では……」

「いや、どちらかというと先代様みたいだな。どうもそいつの両親は腕の良い料理人で、先代様も懇意にしていたらしい。だけど当人は、ってことらしい」


 先代様まで怒らせるとは、ある意味大物ですね。

 とはいえ、本人に再起する気持ちがあるのならしっかりと反省して欲しい。

 こればかりは、もう僕たちが関与できる範囲を超えているもんなあ。

 ということで、話はこれで終わって僕たちは食堂に向かいました。


「「「食べてるよー!」」」


 シロたちは、ちびっ子たちとともに昼食を食べていました。

 美味しそうにお肉を食べるちびっ子をみると、料理人も大変で大切な仕事って実感するよね。

 捕まったゴンゾーは、両親の仕事の大切さを理解できなかったんだな。

 さて、もう色々と考えても仕方ないので、僕たちも席について昼食を食べます。

 僕たちは僕たちで、目の前にある仕事をこなさないとね。

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