散歩の七百十五話 臨時の新人冒険者向け講習?

 そして休憩時間になると、僕たちが新人冒険者の手合わせをしていた。


「えい、とう!」

「踏み込みが甘い! 剣の手元で斬るイメージだ」


 というか、ラストさんも参加して剣士タイプの冒険者に思いっきり打ち込ませていた。

 こういう新人の指導が、とても大好きに思えますね。

 シロたちも組手の手合わせをしているけど、中々良い感じに教えていた。

 新人冒険者向け講習を経験したのもあるのでしょうね。


「こ、こうでしょうか?」

「そうそう、良い感じですよ。焦らずにゆっくりと魔力循環を行いましょう」


 スーとホルン、それにアオは新人魔法使いの毎日の訓練を教えていた。

 新人のうちだと正しい訓練方法を学べないこともあるから、こういう指導はとても助かるそうです。

 スーも既に新人冒険者への講師は板についているし、とても上手に教えていました。

 そんな中、実行委員長があることを僕に訪ねてきました。


「シュン、まんまる焼きの鉄板を貸してくれ。職人に出来るか聞いてみる」

「いいですよ。ちなみに、これは西の辺境伯領の職人が作ったものです」

「西の辺境伯領に出来て、東の辺境伯領が出来なかったら大問題だ。職人に発破かけてくるぞ」


 そういうと、実行委員長は僕からまんまる焼きの鉄板を受け取って商会に戻って行きました。

 これは商機があると思っているのでしょうね。

 ニヤリとして走って行きましたから。


「全くお父さんったら。シュンさん、ごめんね」

「あのくらいなら、全然平気ですよ。それに、実行委員長はあのくらい活動的な方が良いですし」

「まあ、あのお父さんだからね。大人しい方が珍しいわ、何か変なものを食べたんじゃないかなって思っちゃうわよ」


 なにげに娘が父親に対して酷いことを言っているけど、この程度なら日常茶飯事なのでしょう。

 こうして、今日も無事に花見祭りの準備を終えることが出来ました。

 明日は、花見祭りの準備はお休みだそうです。

 そして、みんなで屋敷に戻ると先代様が僕たちにある事を話してきました。


「おお、帰ったか。実は冒険者ギルドから相談があって、明日冒険者ギルドで新人冒険者向けの講習を行ってくれないかという依頼があった。どうも花見祭りに併せて、各地から新人冒険者が集まっていて手が足らないそうだ」

「「「やるー!」」」


 僕とスーが返答する前に、シロたちが元気よく手をあげていた。

 町にも多くの人が溢れていたし、新人冒険者が増えているのも納得できた。

 それに、辺境伯家でお世話になるのだから、このくらいは手伝わないと駄目だろう。


「では、我々も明日は冒険者ギルドで情報収集を行います。各地から集まっているので、意外な情報を聞けるかもしれません」


 モルガンさんも、今日主婦のみなさんと話して良い情報を得られたみたいです。

 情報通として、見逃せない機会みたいですね。

 他の面々も参加する事になったので、明日も朝から忙しくなりそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る