散歩の七百十三話 アオと新人冒険者の手合わせ

 ということで、丘から平らなところに移動して手合わせをする事に、

 新人冒険者は、短刀とロングソード、それに素手で戦うスタイルです。

 一方、アオは練習用のダガータイプの木剣を手にしていました。

 ギャラリーも集まっていて、いまかいまかと待っていました。


「じゃあ、五分一本勝負、始め!」

「「「はあ!」」」


 ダッ。


 三人は、ぎこちないながらも連携してアオに攻撃を仕掛けています。

 それ自体はとても良いのですが、まだ三人の息が合っていません。

 なので、アオ自体も簡単に避けることができます。


 カンカン!


「わっ、とと」


 その間隙を縫って、アオが木剣を振るってきます。

 新人冒険者は急いで剣で防ぐけど、アオも指導しながらって感じなのでそこまで勢いはありません。

 そんな感じで、四分過ぎまで進みました。


「残り一分」


 僕が残り時間を超えると、一気にアオがスピードを上げました。

 新人冒険者は、もう防戦一方です。

 でも、アオは指導のつもりで行っているので、三人がダウンしないように手加減しています。


「終了、そこまで」

「「「はあ、はあ、はあ……」」」


 三人は、もう疲労困憊って感じです。

 アオの攻撃を予測するのに、精神をかなり削っていたのでしょう。

 芝生の上にどっかりと倒れて、荒い息を整えていました。


「どうですか、アオと手合わせした結果は」

「かなり手加減されていると思いました。こんなにも強いなんて……」

「あんなに強いスライムは反則です。動きが全然違います」

「こちらの攻撃も簡単に防がれました。何というか、流石としか言いようがありません」


 三人は、悔しいというレベルを超えて全く駄目だったと感じていました。

 初心者だから、まだまだこれからだね。

 そう言おうと思ったら、僕よりも先に三人に声をかけた人が。


「三人とも、基礎がまだまだだね。このままじゃあ、うちの娘にも勝てないよ」

「「「頑張ります……」」」


 三人は、実行委員長の奥さんの話を項垂れながら聞いていました。

 ともかく、今日はこれで終わりなので後片付けをして屋敷に帰りました。


「「「ただいまー」」」

「お帰りなさい。楽しかったみたいね」

「「「うん!」」」


 先代夫人様が僕たちを出迎えてくれたけど、シロたちは十二分に活躍したから楽しかったみたいですね。

 明日も僕は手伝いをする事になったけど、肝心の帝国との調整は行わなくて良いのかなって思っちゃいました。

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