散歩の七百十一話 みんなで甘いものを作ります

 なので、アオが魔導コンロとかを取り出してスライム焼きを作り始めました。

 すると、シロたちも僕にあるものを出してくれと言ってきた。


「「「パンケーキ作りたい!」」」

「まんまる焼き作るよ」


 ホルンだけはまんまる焼きを作ると言っているので、魔導コンロと鉄板と合わせてまんまる焼き用の鉄板を取り出します。

 タネもあるので、それも渡します。

 すると、他の子どもたちも集まってきました。


「ねーねー、何を作っているの?」

「とっても美味しいものだよ!」

「「「食べたーい!」」」


 と言うことで、シロたちの周りに子ども達が集まってきました。

 うん、何というかここ一年の料理の成長がこういうところで生かされるなんてね。

 先代夫人様とスーも、子どもたちを温かく見守っていました。


「もぐもぐもぐ、シュンさんの料理はやっぱり美味しいね。この腕で貴族ってのは凄いなあ」

「「「えっ? シュンさんが貴族?」」」


 そして、お肉サンドをもぐもぐと食べているサマンサさんが発した言葉により、新人冒険者が僕を見て固まってしまいました。

 そういえば、何も説明していなかったなあ。


「昨年一年間で各地でとんでもない功績を打ち立てて、王女に復帰した女性を支えた冒険者グループがいるって伝説になってるじゃない。その王女様がスーさんで、子爵になった冒険者がシュンさんだよ。シロちゃんも、名誉貴族だっけな」

「「「はっ? あの、冒険者から貴族になったという、あの伝説の冒険者がシュンさん?」」」


 うん、その伝説はよく分からないけど、話の内容は間違いなく僕たちの話です。

 呆気にとられている新人冒険者に、どうやって説明しようか。


「スーさんとシュンさんたちの屋敷に行ったけど、まあとてつもなく大きかったわ。でも、使用人にも優しいし、良いところだったよ」


 サマンサさんは王都の屋敷に品物を納品してくれたし、説明は間違ってはないんだよね。

 でも、新人冒険者はサマンサさんがなんでそんなことを知っているんだって表情をしていた。

 普通は、貴族の屋敷なんて入れないよね。


「「「できたー!」」」


 そうこうしているうちに、シロたちの料理が出来上がったみたいです。

 さっそくみんなで試食開始です。


「「「おいしー!」」」

「あら、とても美味しいわ。一年でこんなにも美味しいものが作れるようになったのね」

「特に、フランちゃんのまんまる焼きは良いものだわ。せっかくだから、屋台のメニューに加えようかしら」

「私も良いと思うよ。持ち運びもしやすいし、西の辺境伯領でも売れていたって話だし」


 子どもたちだけでなく、先代夫人様、実行委員長家の母子も、みんなの料理を絶賛していました。

 そして、フランのまんまる焼きはほぼ屋台のメニューに決まったみたいです。

 問題は、誰が屋台をやるかですね。

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