散歩の六百七十六話 二人の歓迎会

 たっぷりと十分くらい固まった後、ようやくジョディーさんとノア君が起動した。


「すみません、状況がよく把握できませんでした」

「まさか、シロちゃんが名誉男爵だなんて……」


 未だに理解が追いついていないけど、こればっかりはしょうがないよね。

 特に、シロは二人と同じ獣人でもあるし。


「シロちゃんは、私たちと一緒に冒険者として数々の功績を打ち立てたのよ。シロちゃんがいなければ、間違いなく私は王女として復帰できなかったわ」

「「はあ……」」


 この辺は、おいおい理解して貰えれば大丈夫ですね。

 では、屋敷での生活について話をしましょう。


「毎朝、魔法と武術の訓練をしています。その後はその日の予定で動きますが、二人は暫くは勉強を中心に生活して貰います。冒険者活動する時は、一緒に行動しましょう」

「「はい」」


 ノア君はまだ冒険者登録していないけど、今度行く時に登録すれば良いでしょう。

 でも、一回王城に連れて行って王族と顔見せをした方が良いでしょうね。

 続いて、部屋を案内します。

 居住区域の部屋が、まだまだ沢山空いているんだよね。

 この前なんか、ジェフちゃんが自分の部屋を作るって言っていたし。


 ガチャ。


「「わあ!」」

「ここが、お二人の部屋です。もし一人部屋を希望するなら、いつでも仰って下さい」


 僕たちの部屋と比べると小さいけど、それでも二人で生活する分には十分な広さです。

 荷物とかもたくさん置けるし、さっそく持ってきた荷物をしまったりしていました。


「何かありましたら、遠慮なく屋敷の使用人に声をかけて下さい。もちろん、私たちに声をかけるのも良いですよ」

「「はっ、はい……」」


 この辺りは、慣れてもらうしかないですね。

 では、今度は食堂に移動します。


「「わあっ」」

「「「「おおー」」」」


 昼食の時間だけど、テーブルにはそこそこ豪華な食事が並んでいた。

 歓迎会は夕食の予定だけど、昼食も少し豪華にしてもらいました。

 それぞれが席に座ったけど、ジョディーさんとノア君は恐る恐るって感じです。

 では、ジュースも配られたし乾杯です。


「屋敷の主人として、お二人を歓迎します。ささやかですが、料理を楽しんでください。それでは、乾杯!」

「「「「かんぱーい!」」」」

「「乾杯」」


 二人よりも先に、シロたちがもぐもぐと料理を食べ始めた。

 二人もたどたどしい手つきで、料理を食べています。


「わあ、とっても美味しい。お姉ちゃん、とっても美味しいね」

「そうね、こんなに美味しい料理は初めて食べたわ」


 硬かった二人の表情も、ようやく緩んでくれました。

 僕もスーもホッとします。

 その後は、お腹が空いていたのか全員完食しました。

 やっぱり、美味しいものは笑顔にしてくれますね。

 因みに、二人が一番喜んだのが大きなお風呂でした。

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