散歩の六百七十四話 お姉ちゃんについて行きたい男の子
三日後、僕たちは馬車に乗って大教会付属の孤児院に向かいました。
屋敷ではジョディーさんを受け入れる準備を整えていて、いつでもオッケーな状態です。
フラン達も、新しいお姉ちゃんが増えるのをとても楽しみにしていました。
しかし、孤児院に着いたらちょっとしたトラブルが発生しました。
「おねーちゃんを連れて行くな! 連れて行くなら、僕をつれていけー!」
何と、ジョディーさんの前にフランくらいの狐獣人の男の子が両手を広げて仁王立ちしていました。
予想外の展開に、僕たちは思わず呆然としました。
ジョディーさんは苦笑いしていたので、何やら理由があるみたいです。
「その、この子はノアと言いまして、同じ狐獣人というのもあってか私の事を実の姉のように慕っていたのです」
「うー、お姉ちゃんがいなくなるのはいやだよー」
大教会の応接室に移動して話を聞くと、要はノア君はジョディーさんと離れ離れになるのが嫌みたいですね。
因みにシロ達も悪意を感じ取っていないし、アオも問題ないと言っています。
このまま二人と引き離すのは、僕もスーも忍びないです。
僕がスーの方を向くと、スーもこくりと頷きました。
「じゃあ、ノア君も私たちの屋敷に来て一緒に勉強する?」
「行く! ジョディーお姉ちゃんと一緒が良い!」
うん、即決即断ですね。
同席していた孤児院担当のシスターも、仕方ないわねって表情をしていました。
ということで、みんなで孤児院に行って大急ぎでノア君の荷物をまとめます。
「スーザン殿下、どうか二人をよろしくお願いいたします」
「畏まりました。大切に教育いたしますので、どうかご安心を」
孤児院担当のシスターとスーが挨拶をしている中、ジョディーさんとノア君は孤児院の子ども達と別れを惜しんでいた。
とはいえ、月に何回も大教会に行っているし、これからも何回も会えるけどね。
全員馬車に乗り込んで、屋敷に向かいます。
「「「ばいばーい」」」
「「「ばいばーい」」」
お互いに子ども達が手を振りながら、馬車はゆっくりと進んで行きました。
そして、孤児院が見えなくなるとさっそくシロ達がノア君に話しかけた。
「ねーねー、ノア君って何歳なの?」
「ぼ、僕は今年六歳になる」
「おお、そうなんだ。フランちゃんたちと一緒なんだね」
「「「いっしょー」」」
やはりというか、ノア君はフラン達と年齢が一緒だった。
フラン達のテンションは物凄く上がっているけど、当のノア君はまだジョディーさんの服の袖を掴んで少し距離を取っていた。
でも、暫くしたら色々な事になれるでしょうね。
ということで、屋敷に無事に到着しました。
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