散歩の六百二十三話 シルビアさんとの再会
翌日、僕たちは北の辺境伯様の王都屋敷にお茶会に招待されました。
というのも、昨日フィーナさんとトリアさんを送って行った際に遊びに来てと熱い視線を向けていたからだ。
明日はスラム街での炊き出しを予定しているので、さっそく伺う事にしました。
午前中のうちに訓練と勉強を終えて、昼食を食べたらみんなで北の辺境伯様の屋敷に向かいます。
ズドドドド。
「スーお姉様、お待ちしておりましたわ!」
「わわ、フィーナ様お待ち下さい!」
屋敷の玄関に入ったら、フィーナさんがもの凄い勢いで走ってきた。
うん、頭に乗っけていたスライムのパールちゃんはころりと転げ落ちるし、何故かメイド服を着ているシルビアさんも置き去りにしていた。
それでもフィーナさんは、笑顔でスーに抱きついていました。
これには、スーも思わず苦笑しています。
「フィーナ、嬉しいのは分かるけど流石に淑女の行動ではないわ」
「はーい、ごめんなさい」
フィーナさんも自覚はしているのか、直ぐにテヘヘってしていました。
そして、パールちゃんを抱いたシルビアさんとも久々の再会です。
でも、ちょっと挙動がおかしいですね。
「あ、あ、あ、あ、あ、あのあのあの、スーザン王女殿下お久しぶりでございます」
うん、スーのことを事前に聞いていたんだ。
シルビアさんは、何回もペコペコとお辞儀をしていた。
またもや、スーがシルビアさんを止めていました。
「シルビアさん、公務以外はできればいつも通りにお願いします」
「えっ、良いのですか?」
「冒険者として、一緒に依頼をした仲ではありませんか」
スーは知り合いに特別視されるのを嫌がるので、シルビアさんには普通にしてもらいたのでしょう。
シルビアさんも思いは一緒だったらしく、ちょっと恐縮気味は残ったけど普通に接してくれました。
で、ここで僕が気になったことを質問しよう。
「シルビアさん、何でメイド服姿なの?」
「その、お恥ずかしいのですが、昼食で服にソースをこぼしてしまいまして……」
うん、シルビアさんのちょっと不幸な体質は相変わらずのようです。
ドジっ子ではないのだから、本当に不思議です。
さっそく応接室に案内されました。
そして、話題はあの件でした。
「フィーナ、アーサーちゃんは元気かしら?」
「とっても元気だよ! それに、笑うようになったの」
「それはとても可愛らしいわね。また会ってみたわ」
僕たちが北の辺境伯領にいた時に生まれたフィーナさんの兄の子どもは、スクスクと成長しているみたいですね。
暫くは、アーサーちゃんを話題の中心として時間が進んでいきました。
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