散歩の五百六十三話 スラム街での炊き出しの準備
パンケーキ作りと裁判終了から数日後、今度はスラム街で炊き出しを行うので僕達は朝から色々と準備をしていました。
炊き出しで使用する材料と道具は教会で用意してくれますが、料理を作るのは僕とアオなので包丁などは自前の物を持っていきます。
更に今回は無料治療も行うので、治療班としてスー、ホルン、ヴィヴィの三人も簡易ベッドなどの治療の準備をしていました。
ついでに前回の炊き出しの際に沢山の不審者を捕まえたので、今回も、シロとフランに加えて馬にも頑張って貰います。
「準備はできたかな?」
「「「「できたよー!」」」」
全員の準備が完了したので、僕達は馬車に乗ってまず王城に向かいます。
因みに、今日はヴィクトリー男爵家の馬車を借りています。
パカパカパカ。
「あっ、そうだ。スー、そのうちにスーの貴族用馬車を用意しないといけないよね?」
「そうですね。年明けには準備を開始した方が良いかと。時期を見て、幌馬車を注文したところに相談にいきましょう」
西の辺境伯領で幌馬車を手に入れたけど、その馬車工場は王都にも工場を持っています。
うちの馬ならかなり大きな馬車でも余裕で引けそうだけど、そこは何人乗りを頼むかによります。
因みにこの馬車の話は、王城に行ってからも話題になりました。
王城に着くと応接室に案内されたのだけど、今回は王太子妃殿下のアナ様と息子のジェフちゃんが炊き出しに参加する事になりました。
「お義母様も炊き出しに参加したかったみたいですが、あいにく裁判後の後処理が残っておりまして。次回の炊き出しにも参加できるか不透明みたいです」
「王妃様は炊き出しに参加するのが楽しみみたいなところがありますし、年明けまで参加できないのは苦痛ですね」
「ええ、その通りです。お義母様は、常日頃からできるだけ国民に接して福祉活動を行いたいと言っておりますので。王族が下世話な事をするのではないと小言を言っている勢力もいるので、中々難しいところではあります」
応接室で対応してくれたアン様は、複雑そうな表情で僕達に話しかけてきました。
国民に積極的に接する事で、王族の地位向上を狙っているという勢力はありそうです。
きっと、散々嫌な思いをさせられた貴族主義とはまた別の勢力なのかもしれません。
スーも福祉活動には積極的だし、今後もしかしたらスーもその別勢力のターゲットになるかもしれないなあ。
「えー、パンケーキ焼いたんだ! すごーい!」
「簡単にできたよ! 今度ジェフちゃんも一緒にやろうね」
「うん!」
そして、シロ達とジェフちゃんはこの前四人が作ったパンケーキ作りの話で盛り上がっていました。
ろくでもない大人たちも、こういう平和な話題で盛り上がって欲しいですね。
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