散歩の五百十九話 森の奥にいたもの
みんなで、ピクニック気分で森の中を進んで行きます。
もちろん、道中の情報収集も忘れません。
「チチチ」
「森の奥に、何かが現れたんだって」
「うーん、何が現れたのでしょうか。動物や魔物が恐れる存在って、そう多くはないはずです」
動物や魔物と話が出来るシロたちの活躍もあり、段々と情報が集まってきた。
数日前の森が騒がしくなったタイミングで、森の奥に何かが現れたらしい。
その何かの気配により、動物や魔物が恐れて元の生息域から移動しているという。
となると、本題は森の奥に現れた何かを突き止める必要がありそうです。
「ワウワウ」
「このまま真っ直ぐ進めばいいって」
いつもは狩りの対象となるフォレストウルフも、今日は貴重な道案内役です。
途中で休憩をしながら、僕たちはどんどんと森の奥に進んで行きます。
幸いにして動物や魔物が森の奥にある気配に恐れをなしているので、僕たちを襲ってくる事は全くありません。
至って平和な道中です。
「探索魔法でも引っかかった。何か大きな存在があるぞ」
「シロも分かった。でも、悪い気配じゃないよ」
森の中に入って一時間、僕たちにも大きな何かの気配に気がついた。
周囲を警戒しつつ、その気配を目指して進んで行きます。
そして、更に三十分歩くと、遂にその気配の主に遭遇した。
「グルルル……」
「「「「すごーい、おっきいよ!」」」」
「「ヒヒーン!」」
「ははは。こりゃ、動物や魔物はおそれをなす訳だ」
「ま、まさか、出会える事ができるとは……」
「「あっ、ああ……」」
不意に森が少し開けた所にいたのは、全長五十メートルはあろうかという黄金色に輝くドラゴンだった。
シロ達、アオ、馬はドラゴンの大きな姿に大興奮だったが、スー、アヤ、アイはドラゴンの大きさとその存在感に圧倒されていた。
こりゃ、森の中の動物や魔物は生息域を変えるはずだ。
ドラゴンはこちらの様子を見ているが、その姿は痛々しかった。
「体が傷だらけだね。羽も傷ついているよ。とっても痛そうだよ……」
「何者かの襲撃を受けたのでしょうか。切り傷も多数ありますわ」
ドラゴンは、こちらを見たまま動かなかった。
恐らく、体に負ったダメージが大きくてあまり動けないのだろう。
剣などによる切り傷っぽいものもあり、人為的な傷と推測できた。
「グルルル」
「シロ達は大丈夫だよ。シュンお兄ちゃんとスーお姉ちゃんが、ドラゴンさんの傷を治してくれるよ」
おいシロよ、なに勝手に話を進めているんだよ。
いつの間にか、僕たちでドラゴンの傷を治す方向に進んでいるぞ。
「スー、取り敢えず治療してみるか?」
「そうですわね。治療が必要なら、出来る限りやってみましょう」
スーも思わず苦笑しながら、僕に返答しました。
今回の治療相手はかなり大きいから、回復魔法が出来る全員で行う事になりました。
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