散歩の五百十八話 いざ温泉街の森へ
翌朝、僕たちは準備を整えて別荘を出発します。
もちろん、不穏な雰囲気の森の奥に向かう為です。
「あれ? お洋服がいつもと一緒だよ?」
「私たちは、メイド服で戦闘を行います。魔法袋もございますので、色々と物をしまっております」
「この服はとても動きやすく出来ておりますので、何も問題ございません」
僕達はいつもの冒険者の服装をしていたけど、アヤとアイが着ていたのはメイド服だった。
まあ、戦闘を行う予定は今のところないし、何かあっても僕達がいます。
そもそも強い気配はないし、ヴィヴィでも対応できそうですね。
「「ブルル」」
「お馬さんも、アヤお姉ちゃんとアイお姉ちゃんを守るって」
「ふふふ、頼りにしておりますね」
「宜しくお願いしますわ」
馬もやる気満々だし、例えゴブリンキングが十頭現れても一瞬で抹殺できるでしょう。
馬車に乗り込んで、いざ出発です。
御者は、アヤが務めます。
パカパカパカ。
「うーん、森は特に昨日から変わった様子はないなあ」
「そーだね、何だか怯えている感じも変わらないよ」
森に近づいても、昨日から気配は変わらなかった。
動物や魔物が、何かを伺っているみたいだ。
ちょうど森に着いたし、直接確認するしかないだろう。
みんなで森に入る準備をします。
「じゃあ馬車をしまうから、忘れ物ないようにね」
「「「はーい」」」
馬から馬車を外している間に、フラン、ホルン、ヴィヴィに忘れ物確認をさせています。
馬車の中でこたつに入りながら、勉強したりしていたもんな。
「「「大丈夫だよ!」」」
「よし、馬車をしまうよ」
シュッ。
馬車を僕のアイテムボックスにしまって、準備完了です。
みんなで森の中に入ります。
「出発だー!」
「「「おー!」」」
シロの元気の良い掛け声に、フラン達もアオと一緒に元気よく手を上げました。
といっても、森の中です。
迷子にならないように気をつけます。
「フラン、ホルン、ヴィヴィ、迷子にならないように馬に乗るよ」
「「「はーい」」」
「「ブルル」」
下草もあるから、まだ五歳の三人が歩くには少しキツイ状況です。
馬も任せろと言っていて、フランとホルンは素直に馬に乗りました。
「おー、高い高い!」
「ヴィヴィ、良いところに乗っていますね」
「うん!」
ヴィヴィは、何故か僕が肩車しています。
そんな楽しそうなヴィヴィの姿に、スーはもちろんアヤやアイもニコニコしていました。
天気も良いし秋にしては温かいので、何だかピクニックをしている気分ですね。
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