散歩の二十六話 薬草採取講座 実習編
座学も終わったので、これからは場所を外に移して実習となる。
その前に色々と売店で購入していく。
というか、他の人も予備の紐を買っているぞ。
「お前らと一緒にいると、何だか沢山薬草が採れそうな気がするぞ」
「別に多くあったって問題ないし、今後も薬草採取するならあった方が良いだろう」
えーっと、僕達も薬草採取は初めてなのですが、そんな事は気にしないといった感じで話をしてきた。
というか、シロとアオは既に大量に薬草を採取するぞといき込んでいる。
講師のお爺さんは、そんなシロの事を孫を見る様な目で見ていた。
皆でギルドから防壁の外に出ると、僕達が南の辺境伯領に来た時とは逆の街道へ。
防壁の兵にシロがギルドカードをドヤ顔で見せているのは、少しほっこりした。
歩いて十分程で小さな森に到着。
「初心者は、先ずこの森から始めた方が良いでしょう。ここは魔物も少なくて、子どもや女性にもお勧めです」
確かに周りに魔物の気配も殆どない。
防壁の門からも歩いて直ぐなので、何かあっても直ぐに街に逃げ込める。
早速講師のお爺さんは、ごそごそと森の入口付近で何かを探している。
皆もお爺さんの背後に集まっている。
「これが薬草です。こんな感じで、一つ見つけると群生している事が多いですよ」
「本当だ!」
確かにお爺さんが薬草を見つけた周辺には、他にも薬草が生い茂っていた。
「薬草は葉だけを採るようにして下さい。生命力が強いので、根があれば直ぐに葉を再生していきます」
「そうなんだ。よーし、いっぱい採るぞ!」
ここからは、お爺さん監視のもとで各自で薬草採取を始める。
「あった。これがそうかな?」
「おお、見つけるのが早いな。この葉を十枚集めて縛るんだよ」
「はーい」
開始して早々にシロが薬草の、群生地を見つけた。
皆も集まってきて、モリモリ薬草を採取する。
「あ、アオちゃんがこっちにも薬草があるって」
「本当だ。二人とも凄いな」
アオも、こっちだよと触手で僕の事を呼んでいた。
ここにも確かに沢山の薬草が生い茂っていた。
「ふむ、今年の冬は温かいから、生育も良さそうだな」
お爺さんから見ても、良い感じで薬草が育っているという。
その間も、皆で沢山の薬草を採取していく。
「確かに他の草と違って匂うな」
「辺りを集中して見ると、違いが分かるぞ」
宿のメンバーも薬草採取のコツを掴んだ様で、沢山の薬草を採っていた。
一緒に来ていた子どもや女性も、沢山の薬草を採取する。
「スーお姉ちゃん、薬草採取って楽しいね」
「そうだね、シロちゃん」
僕としては、スーがシロと仲良くなって笑顔を見せているのが一番の収穫だと思った。
ガサガサ。
「あ、何かが来るよ!」
茂みの中から、何かガサガサする音が聞こえた。
でも、探索をしたら全く危険のないものだった。
現れたのはアオで、物凄い大量の薬草を採っていた。
「おお、アオちゃん凄いね!」
「本当ね。凄いスライムだわ」
アオは皆に褒められてドヤ顔でいる。
その間に、僕はアオが採った薬草を十枚ずつ束ねていった。
「今日はこの辺にしておきましょうか。薬草は冬でも一週間もしたら生えてくるので、期間をあけるか場所を変えて採取する事をお勧めしますよ」
「やはり夏場の方が、成長がいいですか?」
「そうだね。夏場は五日もあれば採取可能になるぞ」
「おー、そうなんだ」
結局、予備で購入した薬草を束ねる紐も足りなくなったので、今日の薬草採取はこれで終了。
最後に薬草採取のサイクルを教えて貰って、今日は終了となった。
「皆さん沢山薬草を採りましたね。冬場は薬草が不足気味なので、これからもどんどんと採ってきて下さいね」
「はーい」
薬草は単価は安いけど、数で補ったので結構な取引金額となった。
ギルドとしても、僕達が薬草を沢山持ってきてもまだ足りないらしく、これからも宜しくと言われた。
勿論、皆も取引金額に満面の笑みとなっている。
こうして、初めての薬草採取は中々の成果を出す事が出来たのだった。
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