散歩の二十五話 薬草採取講座 座学編

 時間になったので、薬草採取の講座を受ける為に部屋を移動する。

 移動する時に、どこからかギャーギャー煩い声が聞こえたけど気にしないようにした。

 煩い声を聞いて一瞬スーがびくっとなったけど、シロがスーの手を握ってニコリとしていた。

 スーもシロに手を握られて、少し落ち着いた様子だ。


 講習を受ける個室に着くと、お爺さんが色々と準備をしていた。

 机の上には、薬草のサンプルが並べられている。


「こんにちは!」

「はい、こんにちは。席に座って待っていてね」

「はーい」


 如何にも気の良さそうなお爺さんで、シロも全く警戒していない。

 今日は薬草採取なので、子どもや女性もいる。

 全員で二十人位が参加することになった。


「はい、では薬草採取の講習を始めます。最初に座学をして、その後は実際に薬草採取をしていきましょう」

「はーい」


 シロよ、いつも元気よく返事するけど、周りからクスクス言われているぞ。

 そんな事はお構いなしといった感じで、講義はスタートした。


「皆さんの前に薬草のサンプルが置いてあります。何か特徴を見つけてください」

「茎や葉の裏に白い毛みたいのが生えています」

「少し匂いますね。独特の匂いがします」

「その通りです。薬草には少し毛みたいな物があります。匂いもしますね」


 この薬草は、前世でいうよもぎみたいな感じもするな。

 匂いはどくだみみたいなくせのある匂いだ。

 うちの裏庭とかによく生えていたな。


「薬草は森の入口に生えている事が殆どです。生育するのにある程度の日光が必要です。薬草の種類によっては取れる場所も違いますので、詳しくは薬草図鑑を参考にして下さい」


 なるほど、森の奥に行かなくても薬草は取れるのか。

 だから冒険者に依頼するランクも、一番低い物になっているんだな。


「とはいえ、森の中だ。動物や魔物が出てくる可能性もあるので、備えは必要だぞ」


 森の中に入るので、その危険性は重々承知している。

 森沿いの街道を歩いていても、普通にオオカミとかが出てきたもんな。

 因みに薬草は何故か森の中でしか採れなくて、栽培ができないという。

 この辺りは、国の研究機関で調べているそうだ。


「薬草は基本は葉を十枚集めて一つになります。なので、薬草採取のセットには専用の紐が入っています。紐単体でも販売していますよ」


 何人かは薬草採取のセットを取り出して確認をしていた。

 僕もシロとスーに紐を渡すと、アオも含めて興味深そうに紐をみていた。

 実際に薬草の採取に行く前に、スーの分の薬草採取セットと予備の紐を購入していこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る