第三百四十三話 慰労会
「無事に格闘大会が終わって良かったですね」
「あそこまで盛り上がるとは。いい意味で予想が外れました」
無事に収穫祭も終わり、ルキアさんの屋敷で晩餐会という名の慰労会が開かれている。
俺もやっと女装から元の姿に戻れた。
皆はしゃいで疲れてしまったのか、王族と閣僚は既に王都に帰っていた。
うちもマシュー君達小さな子どもはうちの屋敷に帰ったし、バハムートとかも帰っている。
因みにバハムートとスラタロウの飴屋は、大会会場前という事もあってかなり繁盛した。
手伝った子ども達にとって、臨時のお小遣いになった様だ。
「しかし、こういう大会なら来年も参加したいな」
「ビューティー、お前は来年はエキシビション枠だぞ。一般人が可哀想だ」
「別にそれでもいいぞ。楽しめればいいな」
「お前な……」
アルス様からもツッコミがあったけど、やっぱりビューティーさんの力量は凄いものがある。
魔法抜きとはいえ、シルク様に勝つなんてとんでもないぞ。
流石は剛腕ビューティーというべきだ。
「来年はミケもやりたい!」
「ララも」
「リリも出たいよ」
「レイアがチャンピオンになる」
「お前らも出るなら、勿論エキシビション枠だぞ」
「「「「えー」」」」
ミケ達も不満げだが、流石に一般人とはレベル差がありすぎる。
勿論フェアやオリヴィエも特別枠だ。
「私達は来年は学園もありますので、流石に辞退します」
「残念、シルクが活躍する所をもっと見たかったのにな」
「魔法禁止だから、私は参加はできないよ」
来年は学園に入学しているシルク様にクロエとドリーが話をしているけど、別に学園とかぶらなければ参加してもいいぞ。
勿論、特別枠だけど。
「あーあ、これで終わりだと少し寂しいね」
「直ぐに結婚式の準備とかで忙しくなるわ」
「そうだね。結婚式も準備しないといけないよね」
今日の祭りの盛り上げでは間違いなくMVPだったブリットさんとカルメンさんが、直ぐにやらなければならない結婚式準備に少しうんざりしていた。
俺も、結婚式の話は身に詰まる思いです。
因みに男性陣は食事に走ってます。
特にバーナードさんは、あれだけブリットさんにボコボコにされたのに既にほぼ全快している様だ。
あの頑丈さは、羨ましい位に凄いな。
勿論、エステルも食事に走っている。
そんな事を思っていたら、レイアが俺に近づいてきた。
「パパ、周りが変」
おやっと思って探索をかけたら、どうも街の防壁の外に何かがいるらしい。
「ルキアさん。もしかしたら、日中捕まえた残党が防壁の外にいるようです」
「防壁の外なら街の人は安全ですね。防壁の部隊に任せましょう」
「それがいいですね」
この街の部隊は優秀だ。
ルキアさんと話しても、任せてしまって問題ないとの結論に至ったのだが、ここで日中暴れたりない人達が立ち上がった。
「お、それならちょっくら行ってくるよ」
「あんないい試合を見て、私達も暴れたくなったんだ」
「相手としては弱いですが、タイミング的に丁度いいかと」
今日一日審判をしてくれたドラコの母親を筆頭とした竜王妃様達が、暴れたいといって防壁に向かっていってしまった。
あーあ、暴れたりない竜のターゲットにされるなんて、ある意味襲撃者も可哀想だ。
「いやあ、久々に空の旅をプレゼントしてやったぜ」
「ここの部隊は強いな。なので、襲撃者にちょっとしたお仕置きをしてきたぞ」
「「ははは……」」
三十分後、竜王妃様達は帰ってきて報告してくれた。
報告内容に、ルキアさんとアルス様は思わずから笑いをしていた。
竜王妃様が防壁に向かった所、予想通り防壁の部隊で襲撃者を撃退していたらしい。
そこで竜王妃様達は日中のバハムートの襲撃者への空の旅を思い出して、防壁にいた襲撃者に同じ事をしたという。
しかし、飛竜の子どもと属性竜の王妃では、高度もスピードも全く違う。
しかも夜間のために、更に怖い空の旅になった様だ。
襲撃者は全て気絶して、現在拘置所にて寝かされているという。
「さて、酒の続きとするか」
「ここのワインは良い味しているな」
そして竜王妃様達は、さっきまでいたお酒コーナーに戻っていった。
そっか、空の旅は飲酒運転だったか。
竜ならお酒は大丈夫だと信じて、俺も食事に戻っていった。
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