第二百七十九話 入園希望者編薬草取り選手権
「今回のメインは、あくまでも燻す用の薬草だからな」
「大丈夫だよ! 前にも一杯取ったから」
マイケル君達がうちに来て一週間。
だいぶ体も動けるようになったので、ミケ達の薬草取りに一緒についていくらしい。
メイドさんも一緒についていく。
念の為に薬草取りで稼いだお金が差し押さえ対象になるか確認をした所、マイケル君やナンシーにメイド達は処罰の対象外なので関係ないらしい。
昨日からマイケル君やナンシーは、入園前の訓練に参加している。
五人のメイド達も入園年齢になっているので、メイド達も参加している。
入園対象者がだいぶ増えたけど、ドラコ達は仲間が増えて喜んでいる。
ちなみに、今日は日中に用事のない入園希望者も参加するという。
財務卿の孫も参加するので大丈夫かと財務卿に聞いたら、これも経験だと言っていた。
「まあ、人数多いけど私達が警護するし大丈夫でしょう」
「そうですよ。サトーさんは仕事に集中してくださいね」
エステルとリンもいるし従魔達もいるからと割り切って、レイアと共に王城に向かった。
「随分と大人数で行った様だな」
「エステル達も行くので、大丈夫と思っています」
「お小遣い稼ぎ」
「ハハハ、お小遣いにはだいぶ多い金額だけどな」
ミケ達が異世界版バル○ン用の薬草取りに行くと宰相に言った所、参加者の多さに驚いていた。
大人数だけど、護衛もいるし安全は大丈夫。
後は、どれぐらい薬草が取れるかだな。
そんな事を思いながら、今日も頑張って書類をこなしていく。
そんな中、一枚の書類に目が止まった。
「宰相、学園関係の書類でチナさんが正職員になるのがあったんですけど」
「その書類か。学園長からまわってきたけど、彼女は教職員からの評判もいいし問題ないだろう」
「正式に決まったら、パーティーする」
王立学園なので、最終決裁は陛下になる。
だから、結構学園関係の書類も多い。
うちのメンバーはとにかくパーティー好きだけど、チナさんが正式に正職員になったら皆でお祝いしないと。
その後も仕事をこなしていると、ギルドから連絡があった。
「ギルドより王城へ。リンドウ子爵達のパーティーが、過去に経験のない量の薬草を取ってきた。ギルドで引き取れる量を超えているので、一部を王城で引き取って欲しい」
おいミケよ、まだ昼前だぞ。
どれだけ薬草を取ったんだよ。
思わず宰相も苦笑している。
レイアは当然といった表情だけど。
「軍と農商務局に、教会で引き取って貰おう」
「そうですね。そこなら日常的に使いますから」
宰相は部局に連絡を取った。
直ぐにギルドに行って、薬草を引き取るらしい。
ため息をつきながら、ふと思った。
午後も大量に薬草を取るのでは?
きっと大丈夫だと思って、午後の仕事に取り掛かった。
「ギルドより王城へ。リンドウ子爵のパーティーが、午前中よりも更に大量の薬草を取ってきた。再び王城で引き取って欲しい。なお、金額が大きくなるため、支払いは後日で合意が取れている」
お茶の時間に再度やってきたギルドからの連絡に、思わずお茶を吹き出しそうになった。
ギルドが支払いを後日にする量って、一体どれだけだよ。
お茶の時間はあえなく終了し、再び各部局に指示を出したのだった。
「ミケよ、俺は燻す薬草でいいといったぞ」
「それはちゃんと取ったよ。エステルお姉ちゃんとタラちゃん達が、勉強だって取れる薬草を教えながら一杯取ってたよ」
「犯人はエステルか!」
ミケに事情を聞いたら、真犯人がいた。
ということで、真犯人を事情聴取する事に。
「なんで、あんな量を取ったんだ?」
「いやあ、薬草取りが初めての子が多くてね。教えていたらつい」
「それで、どれくらいの量を取ったんだ?」
「えーと、リアカー二十台くらいかな?」
「おバカ! そんなに薬草を取ってどうするんだよ!」
「で、でもこの間の四領地は薬草殆どなかったし、無いよりはあった方がいいかな。なんて」
「はあ、まさかこんな事で仕事中にギルドから連絡入るとは」
俺は思わずため息をついた。
役に立つ物だし、今回は多めにみるようにした。
ただし、最低でも半月は薬草取りは禁止にした。
各部局の処理が、それくらいないと終わらないという。
余計な仕事を増やしてすみません。
「サトーよ、薬草取りってそんなに儲かるのか? 孫に入金された額が、儂のお小遣いを遥かに超えていたのだが」
後日入金準備ができたとギルドより連絡があり、薬草取りに参加した財務卿の孫がどうも手続き後に財務卿に金額の入ったカードを見せたらしい。
俺も何人かの子どもにカードを見せてもらったが、参加人数が多いのに過去最高金額を更新していた。
薬草取りをした子には、絶対に金額を他人に言わないように言っておいた。
そして、何故かミケ達の冒険者ランクがCランクに上がっていた。
俺は金額よりも、そちらの方が悔しかった。
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