第12話 楽しかった… Part2

瞳彩アイリスが倒れ込む。

三つの眼のうち、茶色の眼が潰れた。


「舵掛…お前、僕がこうなること分かって…」


「ああ、風瓜が人間であると判明した時点で予想はついていた。

赤耳あかみみ一兎いっと】には、姿を変えられる能力がある。

言うなれば今の彼は、人間とモンスター、両方の要素を持つ不安定な存在。

それがモンスターであることに固執している瞳彩お前には合わなかったということだ。

だからこのゲームが始まる前に、先に残りの七掌陣を食わせたのだ。

五体もの七掌陣を取り込めば、その弱点も克服できると踏んでいたが、どうやら見当違いだったようだな。

残念だよ。

もしも人に姿を変える能力を吸収できたなら、私が人とモンスターをコントロールするために、瞳彩アイリス、お前はこれ以上ない武器になり得たというのに」


「お前…最初から僕を…利用しようと…」


満身創痍で舵掛を睨む。


「そんな眼で見るな。

私が用意したモンスターどもを、美味い美味いと食らっていたのは誰だ?

私がいなければ、お前はここまでの力をもつことさえできなかったのだぞ」


「おのれ…人間め…」


瞳彩アイリスは動かなくなり、やがて消滅した。


続く…

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