第78話
「ご主人様、本当に僕が一緒に寝てもいいんですね?」
「何度も言っているだろう。お前は割れのペットなのだから主人の言うことだけを聞いていれば良いと」
「わ、分かりました」
「それなら、さぁ、早くこちらへ来い」
主人がは入っている一人で使うのには大きすぎるベッドにゾーイは緊張しつつお邪魔する。
エリザと再会を果たし、ご主人の機嫌が少しだけ悪くなってから数時間たち、今日は一緒に寝ることになった。
グレアが今までの女性とは違っている事、そして飼い主とペットという明確な主従関係があるため主人の言葉を承諾しかねていたが、主人が何度目になるかその言葉を言ったため、ゾーイは素直に従うことにした。
部屋の明かりを消し、窓から月明かりが差し込む中。
ゾーイとグレアは同じ床で寝ている。
「ゾーイ、私を抱きしめろ」
「それは主人命令ですか?」
「それは……自分で判断しろ」
そう言われて、ゾーイは悩んだ結果。
グレアの背にそっと腕を回して軽くハグをした。グレアは少しだけビクッとした後ゾーイのハグを受け入れる。
数分間ベッドの中で軽く抱きしめあったまま、お互いが何も語ることがないまま時間が過ぎ、もう自分の主人は寝てしまったのではないかとそう思い自分も眠りに着こうとすると、主人は話し始めた。
「その判断は、主人命令だと思ってしたことか?」
「えっと……違います。ご主人様とハグをしたかったから……です」
「……なるほどな。いいペットだ。だが、それは本心からの言葉か?」
その問いかけにゾーイは首を傾げる。
自分が言ったことは紛れもなく本心だ。グレアが抱きしめていいというのならば、自分はそれを拒むことはしない。むしろグレアのようなクールな美人を抱きしめられるというのなら役得である。
「紛れもなく本心ですよ。ご主人様がハグをして良いというのなら僕はいつでもハグをします。ご主人様ほどの美貌をもった女性とハグできるのなら僕としても嬉しいです」
「そ、そうか」
「なにより、ご主人様と親交を深められるのはペットとしても嬉しいことですから」
軽く抱きしめていたが、少しだけその力を強める。すると、グレアは「んっ」と押し殺すように艶めかしい声をあげる。
初めてそんな反応をしてくれたご主人様の反応に夢中になったゾーイは、グレアのことをこれでもかというほど抱きしめ、頭を撫でて、できうる限るのことを尽くしたが、それ以上の反応を得ることはできなかった。
「もう、夜も遅い。寝るとするか」
「分かりました。ご主人様」
「なんだ?」
「このまま、抱きしめたままでも良いですか?」
「か、構わん」
そう言って顔をプイッと背けるグレアの反応が新鮮で可愛くて、さらにぎゅっと抱きしめる。
お互いの温もりを感じたまま、二人は眠りについた。
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