第63話

 ゾーイがヴィクトリア、ドロシー、そして外で戦っていた人達を収めとりあえず話し合いの場を持つことにした。


 が、この場では最高責任者と呼べる聖王国の女王と王国の女王がいないため話し合いをすることはできないとゾーイは思っている。


 ゾーイ以外は、いつゾーイを攫って自分のものにすることしか考えていないわけだけれども。


「まぁ、とりあえずぅ、皆さんは一応ですけれどぉ、客人と言うことに成りますのでぇ部屋は用意しましたので、今日はそこでねてくださぁーい。あ、ゾーイさんは当然、いつもの場所で、寝ましょうねぇー」


 と何の悪気もなくヴィクトリアがそう言うと、ビキッと空間が軋むような音がするほど空気が悪くなる。


「何を言っているんでしょうね、このお局ババア女は。エルフと言うものは長生きのし過ぎで全員ボケてしまっているのですかね。こんな老害なんかと一緒の空間にいるゾーイ様が可哀そうで仕方がありません」

「この聖女とは思えない汚い言葉を使っているエセ聖女と同じ意見なのは癪ですが、まったくその通りですね。あなたのような、女王とは呼ぶにはあまりにもふさわしくない品性の欠片もないこんな下品な乳を垂らした女とゾーイさんが一緒に居るのが可愛そうでなりません。ゾーイさんは私のハリのある胸で休みたいでしょうから」


 パトリシアそしてシャーロットがさっきの籠った眼つきでヴィクトリアへとそう言うが、全く意に介していない様子でうふふとほほ笑んだ後、


「そんなこと言ってもぉ、ゾーイさんはぁ、ここ最近はずぅっと私のお胸ですやすやと可愛い顔をして寝ていましたから僻みにしか聞こえません。可哀そうな人ぉ、そんなだからゾーイさんと一緒に寝れないんですよぉ。残念でしたねぇ」


 と言うと、二人は死ぬ気で魔法を放つがヴィクトリアにはまったく効いていなかった。


 ちなむとゾーイはヴィクトリアによって即時に結界が貼られたため怪我などは一切していない。


「もぅ、危ないじゃないですかぁ。ゾーイさんがいるのにそんな魔法使って。ゾーイさんが怪我したら、ただじゃおきませんからね。このくそアマとだけ言っておきますぅ」


 ジロリとさっきの籠った目線を二人に向けるがすぐに止めて…


ゾーイさぁん大丈夫でしたかぁ?」


 とその自慢の胸を使って癒そうとしたが、今度はドロシーによって遮られる。


「もぅ、ドロシーちゃん。娘からハグを要求されるのはうれしいけれどぉ、ゾーイさんとのハグを邪魔するなんていけない娘ですねぇ。母としてぇ、教育しちゃいますよ?」

「出来るものならして見ろ」


 バチバチとまた、火花が散る。


 ゾーイはそんな様子を見ながら、


「僕は会議が開かれるまで無事でいられるのか」


 とそんなことを思った。

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