第55話
「ゾーイさん、はぁーい、ギュー」
「す、少しだけ苦しいです、ヴィクトリア様」
「あ、ごめんなさい。ゾーイさんとハグすることを昼間の間、ずぅっと、我慢していたのでぇ、気持ちが籠りすぎてしまいましたぁ」
にっこりと満面の笑みでビクトリア様にそう言われてしまえば、僕は何も言い返すことはできない。
確かに、昼間、フリーハグをしている時ヴィクトリア様はずっと僕のハグをするところをじぃっと観察するように見ていたような気がする。
その顔は僕に何かをしたら即座にその相手の子を殺してしまうようなそんな顔をしてた。笑顔だし優しい雰囲気を出しているはずなのにそう感じてしまう。
僕とハグをする相手の子も、緊張しながらハグをしていたし……女王様には悪いと思うけれど、次からはこっそり一人でやってみようかな。
「ゾーイさんはとっても優しい匂いがしますねぇー。すぅっごく落ち着きますぅ」
「そ、そうですか?ヴィクトリア様はとっても甘い匂いがしますね」
「そうなのですかぁ?甘い匂いは嫌いですかぁ?」
「嫌いではないです。むしろ好きですよ」
「っ!!そうですかぁ、それは良かったですぅ」
ゾーイさんに好きと言われて思わずびくっと反応してしまいました。反射で下のお口からどろりとねばねばとした液体が出ましたが、ゾーイさんは気付いていないようです。
良かったぁ。ゾーイさんと子供を作る前にエッチな子だと思われたくはないですからね。
それにしても、ゾーイさんは大胆なことをしますよねぇ。私、とぉっても、ドキドキしちゃいます。
私に対して、子供が可愛いというなんてそれってぇ、私と子供をたくさん作ろうねっていう事ですよねぇ?私、とってもキュンキュンして堪らなかったんですよぉ?
ゾーイさんが他の子とハグしている間も、ずぅっと発情しっぱなしだったんですからぁ。
本当に困った人です。
でも、そんなところもだぁい好きですから。
でもぉ、あんまり他の子達と仲良さげにハグしているところを見せつけられるとぉ
、思わずその子達をスパッと殺してしまいたくなりますからぁ、羽虫を扱うようにハグをしてあげればいいと思うんですよぉ。
だって、可愛そうじゃないですかぁ。ゾーイさんは慈悲でハグをしてあげているというのに勘違いしてしまうおバカさんがたぁくさんいると思うんですぅ。
だからぁ、私が民たちの事を思ってぇ、殺しますよぉって圧を掛けるのは普通の事なんです。
勘違いするのは可哀そうですから
ゾーイさんと一緒で、これも一種の慈悲なんですぅ。
うふふ、私達って似てますねぇ。
「ゾーイさん、眠くなってきちゃいましたか?」
「はい、少しだけ」
「夜更かしは体に悪いですからぁ、早く寝ちゃいましょうか」
ゾーイ様と一緒の床に就き、眠りにつきます。
あぁ、本当に幸せぇ。毎日これが続いて行けばいいのに。
そう思って愛おしさを腕の中で感じつつ眠ろうとした時、妖精さんが私にこう伝えました。
部外者が森に入ったと。
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