第41話
自分をヒールしながら、寝ずにかなりの速さでエルフの国へと向かっていき、着いたことには着いたのだけれど…
「この森であってるよね?」
とりあえず、森に足を踏み入れて進む。
エルフの国は聞いたところによると森の奥深くにあるらしい。上空から見てみるけれど、何処にも国のようなものは無くて、永遠に続いているんじゃないかと思うほどの木々が連なっているだけである。
というか、エルフの国って今思いだしたけれど他国の者と関わらないって昔、何かの本で読んだ気がする。それに、エルフの国にたどり着くことも困難みたいだし…。
鬱蒼と生い茂る木々、そして段々と周りが暗くなっていく。
心細くなりながらも、進んでいく。
水は魔法でどうとでもなるけれど、食料が現地調達なのが少しだけ面倒臭い。
この森には魔獣がいるみたいでそいつがかなり美味しいみたいだから、狩って食べたいのだけれど…。
そんなことを思っていたら、ふと視線を感じた。
これ…囲まれてる?
「ねぇ、すっごい美少年ですよ?」
「そうですね。女王様が言っていることが嘘だとは思っていませんでしたけれどこれ程の美少年だとは思っていませんでした。」
「それにしても、あの美少年さんはここが迷いの森で、エルフ国の領土であることが分かってるのかな?」
三人はじぃっと、じっとこの森に侵入した美少年、ゾーイを観察する。
ここの森はただの森ではない。
迷いの森と呼ばれる森であり、エルフ以外の者がこの森に入っていくと奥に進めば進むほど方向が分からなくなっていき心身ともにおかしくなっていき最後には死んでしまったりする。
まぁ、エルフを密漁したりする野蛮な輩以外は大体入り口地点に戻るようになっている。
ゾーイはそのことを知らずにただドロシー先生の故郷でもあるだろうエルフ国へと行ってみたいという無邪気な心で足を踏み入れたのである。
ちなむと三人は、エルフ国の女王様が命令を下し様子を見に来たというよりは…
「女王様が天使のような男性がこの国へ足を踏み入れました。危険な人では無いです。それはもう天使のような方だ、おもてなしした方がよいですとイフリート様も仰っているのでこの国へ連れてらっしゃい。くれぐれも怪我などさせてはいけませんよ」
と言われた。
イフリートというのは炎の上位精霊である。
エルフが他種族より魔法が優れているのは精霊との友好関係が大きい。人間には感じとることが出来ない(一部はいる)けれど、この世には精霊というものが存在していてその精霊と契約することによってさらに魔法を強化している。
まぁ、人間より魔法適性値が高いとかいろいろあるけれど。
「それよりあんな美少年がこんなところに一人で来ることの方がおかしくない?」
「それもそうね。女王様から危険な人物ではない。心優しい天使様だと言われているから疑ってはいないのだけれど、本当にどうして?」
「うーん…」
彼女たちの疑問はもっともである。
この世界の男は自分の家から出るということさえ珍しいのに自国からどういう理由か分からないけれど飛び出してここにいるのだから疑問に思うのも当然である。
まぁ、彼女たちがいくら考えたところできっとこの世界の常識を捨て去らなければ正解にたどり着くことは無いだろう。
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