第33話
「街並み、すごくきれいですね」
「そう言っていただけると、私としてもとっても嬉しいですね。この街並み全てあなた様のものですよ」
「は、ははっ、フィール様と結婚すればそうなりますね」
「うふふっ、きっとそうなりますよ。私たち、一晩過ごした仲じゃないですか。あなた様の温かい腕に抱かれて寝て、私は物凄く安心しました」
「そ、そうですか、良かったです。喜んでもらえて」
フィールさんが、優しそうに微笑むが、言っている内容には賛同出来なくて、思わず苦笑いが出てしまう。
今僕たちはどこに来ているのかと言えば、城を出て街に来ていた。
城の中にいても、基本的に僕はすることがなくフィールさんと喋っているかシャーロットさんと遊んでいるか他の七聖女さんたちと遊んでいるかくらいしかすることがないので、我儘を言ってここに連れてきてもらっていた。
勿論、僕一人だけだと駄目だと言われてしまったので、フィールさんと陰ながら僕たちを監視しているシャーロットさんもいる。
街へと下りて何をするのかと言えば、フリーハグだ。
あとは、この国をどうやって脱出するかの下調べも含まれている。
このままあと一か月もいれば、ドロシー先生とかパトリシア様がこの国に来て僕を攫いそうな感じもするし、フィールさんやシャーロットさんとかも段々と、僕に依存しているような気がするから、フィールさんやシャーロットさんには悪いけれど早めにこの国を出たいのだ。
まぁ、一旦その話はおいておくとして、フリーハグをしよう。
周りの人たちも男の僕と、この国の第一王女様が現れているから困惑しているし。
シャーロットさんに作って貰ったFREEHUGSというボードを持って早速フリーハグを開始する。
「僕とハグしてくれる人いませんか?」
ボードを持ってそう言ってみると周囲の人たちは目の色を変えて、僕のほうにおそるおそる近寄ってきた。
だけれど、まだ緊張しているのか誰も名乗りを上げてくれないので、僕は一人に声をかけてみることにした。
「あの...........僕とハグしてくれませんか?」
「わ、私ですか!?わ、私如きがあなた様のような天使のような容姿のお方とハグをしてもよろしいのでしょうか?」
「はい。勿論。っていうか私如きじゃありませんよ。あなたはとってもかわいらしいです」
「はへぇ!?」
眼鏡をかけた二十代くらいの文学少女のような見た目の子をそっと抱きしめてあげる。
すると、変な声を出して幸せそうな顔を浮かべた後、魂が抜けるように力がなくなっていく。
どうやら、シャーロットさんと同じように失禁をしてしまったようだ。
この国の人は僕とハグをするともしかして漏らしてしまうのか?
いやいや、まさか。
そう思って新しい服に着替えて再度、試してみるとまたもや綺麗な女の人がだらしない顔を晒しながら漏らしてしまった。
その次の人も、その次の人も。
どうやらフィールさんはこうなることが大体分かっていたみたいで、予めシャーロットさんに僕の服の着替えを持たせていたらしい。
そういうことは先に言って欲しかったとだけ言っておこう。
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