第31話
さて、ゾーイがシャーロット達とイチャイチャしているころ、王国内、王城内の円卓の間ではピリピリとした雰囲気が漂っていた。
理由は明白。
椅子に座るゾーイの母であるエヴァ、シュヴィ、パトリシア、ドロシー、アリスは尋常ではない雰囲気を漂わせているからである。
勿論、ヴィクトリアやこの国の王でありヴィクトリアの母であるヘレナも当然の怒りである。
エリザはというと、他国重要人物であるのでもしかするとかなり大事になるかもしれない、それに帝国がゾーイを奪った可能性もあるという理由で、この場所にはいない。
エリザ本人は、大事な自分にとって初めての友達であるゾーイが窮地に立たされていると聞いて、会議に参加したかったが自分の立ち位置を理解しているため、今はまだ動いていない。
「まだ、ハッキリとした内容は聞いていなかったわね。アリス、事情をもう一度正確に話して」
「了解しました。事の発端となったのは、ゾーイ様と王都ででフリーハグをしていた時のことでした。ゾーイ様といつものように王都でフリーハグをしていた時のことです。一人異様な雰囲気を漂わせた聖女服を着た女が来たのです」
アリスは淡々とその日にあった出来事を話していく。
ゾーイとハグをしてその女が漏らしてしまい、仕方なく着替える服を貸すために寮へ戻ってクローゼットから服を探しているとき、後ろ回り込まれて気絶させられ、その後、ゾーイがその女に恐らく攫われたことを事細かに話す。
「.............成るほど、その女は聖女服を着ていたのね?」
「はい」
「でも、そこにいる聖女ではないんでしょ?」
「そうですね、パトリシア様ではありませんでした」
ドロシーがそんなことを言って、アリスが否定する。
パトリシアと言えば、ドロシーにそんな容疑をかけられているのにもかかわらずただ一心にゾーイをどうすれば助けられるのかを考えていた。
「…帝国が、ゾーイ様を攫ったというのは?」
「それは、多分ない。エリザに真偽を確かめる魔法を使いながら話をしてみたけれど彼女は本当に何も知らない。知らされてないという可能性もあるけれど」
またみんなが黙り込み、各々がゾーイの居場所について考え始める中、一人だけどうやってゾーイを助けるかを考えていたものがいた。
そう、聖女パトリシアである。
この間、ゾーイに会いに王都へ行って抱きしめた時、ゾーイを次はどこへ行ってもいいようにと魔力痕を付けておいたのだ。
だがそれも段々と効力を失ってきていて、そろそろもう一度会って魔力痕をまた残そうとしていた矢先に攫われてしまったため位置を掴むのが難しくったがやっと、ここに来る前に位置を特定することに成功した。
この中で一人、一歩だけアドバンテージがあるのは私であるとパトリシアはそう思っていた。
だがそう思っているのはドロシーも同じである。
みんなが焦っている中、一人だけいつものようにパトリシアを揶揄する余裕があるのはゾーイの位置をサーチで結界内に放った後呆然としてしまった後、直ぐに頭を働かせ結界の広くし、魔力の残痕がどこへと向かっているのかを調べ、凡そ、どこの国がゾーイを攫ったのかに検討を付けた。
お国柄も考えてドロシーは、神聖国しかないだろうとそう考えた。
聖女服を着ていて、ゾーイと抱きしめて興奮して漏らす。そしてアリスを倒せるほどの実力があると聞き確信に変わる。
ドロシー、パトリシアはそれぞれこの会議に付き合いつつ、どうやってゾーイを助け、二人で逃げるかを考えていた。
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