第5話 街並み〜森への路

3人は家を出ると、再び街を探索していた。

ツーリン「なんか、手に付けるもの欲しいわ。店とかに売ってないかしら。」

スワン「どっかの店に売ってたりして……。」

3人が暫く歩くと、それっぽい店みたいなものがあった。

木造建築で、高床になっており小さい階段が付いている。


スリーグ「ここで買うか。」

スリーグがドアを押した。年季の入ったドアが鈍い音を立てて開いた。


中はこちらもまた雑貨などが飾ってあったり、商売用の道具が置いてあったりする。


奥には20代くらいのまだ若い女性が面倒そうに座っている。

ニーナ「あ、いらっしゃいませ。なんかお求めですか?」

ニーナは立ち上がると、目を開いてこちらに話しかけた。

ツーリン「あ、っと。誰かを殴ると痛いからなんか手::付けるものみたいなやつ。」

ニーナ「あぁ……うん、ありますよ。」

ニーナは一瞬考えるような仕草をし、店の奥に入った。

ニーナ「これでいいですか?」

ニーナは白いオープンフィンガーグローブを持ってきた。

ニーナ「これなら……うーん。5ドルでいいですよ。昔格闘技とか流行ったな。」

スリーグ「は、流行るもんなんですか……?」

ニーナ「一時期流行りました。私もよくやってました。ある時はテニスだったり、野球だったり、サバゲーだったり。結構この街の住民は色んなことをするので。」


スリーグ「なるほど……」

スリーグは5ドルで取引をすると、ツーリンに渡した。

ツーリン「おおお。いい感じだ。かなりいい感じだ。」

ツーリンは嬉しそうにはしゃいでいた。

ツーリン「試しに、なんか殴りたいわ。」

ニーナ「壁はやめてくださいね。」


スワン「え、ま、まあ敵が出たら殴れる事だし。」

スワンは妙に嫌な予感がして咄嗟になだめた。

ツーリン「それもそうね……」


3人は店を去り、東へ向かった。


しばらくすると街並みは終わり、歩くにつれて段々と雲から草が生えて行き、木も生えている。


スリーグ「うーーん、地上の木とさほど変わりはないな。でも変わった木もある……」


スリーグは珍しそうに辺りを見渡していた。

しばらく歩いているとめっちゃ小さい集落があった。ほんと、二三軒家があるくらいだ。

「チイサイヨ村」と看板には記されてあった。


スワン「なぁ、話でも聞いてこようぜ。」

スリーグ「どうやって聞くんだよ。家にノックして人間です!ってでも言うってか?」


2人がそんな話をしている間にツーリンは近くの家のドアをノックしていた。

スワン「ちょっ!ツーリン……!!まずいよそれはー」


スワンが言い終える前にドアが開いた。中には高校生位の龍人族がいた。ドアノブを片手で握り、こちらを見つめる。


ツキ「なんか用ですか?」

ツーリンは相変わらず表情を変えずに「人間です」と呟く。ツキはあっそうとだけ言うとこちらを向いた。


ツキ「そこの2人も人間……だよね」


スワン「えっあっあっあっはいはいそうですにんげんです」

スワンはバリ緊張していた。そりゃあ、こんな道奥に高校生が住んでたらおかしい。しかも人間意外と初めて喋るからだ。

ツキ「まあとりあえず入りな。」

ツキはドアを全開にした。

ツーリン「わお。お邪魔します。」

スワン「お邪魔します……」

スリーグ「お邪魔します……!」

中は少し狭く感じ、一人暮らしっぽい雰囲気だ。ツキは奥の部屋に案内してくれた。リビングっぽく、カーペットが1枚敷いてある。また、そこら辺に漫画本が転がっていたりする。「ジョジョの奇妙な冒険」や「ドラゴンボール」など知っているタイトルが多々ある。

3人はカーペットに座った。

ツキ「それで……何か用ですか」

スワン「あっあっあっえっえっとあっと」

動揺するスワンにスリーグが代弁してくれた。

スリーグ「僕達3人で、王に反旗を翻そうと思っているのです。なんか、役立つ事や、この世界の事……なんでもいいので教えてくださったら幸いです」

ツキはしばらくその場で黙り込んだ。


ツキ「……王には結構頑張らないと勝てないぞ。というかお前らじゃ勝てないぞ。そこら辺のゴロツキなら君たちなら勝てるが王は桁違いに強い。この地球上で最も強いぞ。神の天罰も、幽霊の呪いもなーんにも効かない。」


ツーリン「つ、強いわね……でも勝たないと私たち家に帰れない……」


ツキ「そこでだ。俺がじいちゃんから聞いた話がある。三種の神器という物がある。それはかつてお前らの前にここに訪れた人間が地球の産物として残した物だ。勇気の玉、護愛の鏡、誠実の杖だ。その3つを持ってクラウドバレーにいる俺のじいさんに渡せば、それらが魂となりお前らの身体的能力が大幅に上がる。あとはお前らの精神力に全てがかかっている。」


スリーグ「な、なるほど…三種の神器か。何とかして集めねば。所で1つ気になるんですけど、そのおじいさんって誰ですか?」


ツキ「えぇ?あぁ、ケンって名前のじいちゃんで、確か写真があるよ。ほら、これ。」

ツキは自分とおじいちゃんが写った写真を見せてきた。そのおじいちゃんは紛れもなく先程まで街で話していた爺さんだった。

スワン「ええぇ!?!?この爺さんと知り合いですよ!?」


ツキ「えぇ!?マジで!?まあこれも運命か。」

ツキ「おじいちゃんは今一人暮らしだ。俺はおじいちゃんは尊敬しているが、カレーを箸で食べるし、オムライスも箸で食べる、プリンも箸で食べる完璧なる和人スタイルでね。ちょっとそれが煩わしくて一人暮らしを始めたわけさ。両親は街へ出稼ぎに行ってる。おばあちゃんは1年くらい前に亡くなってしまったんだ。」


ツーリン「あら…それはご愁傷さま……分かったわ。三種の神器、探してみますね。」


ツキ「1つはこの先を行った森の洞窟の中にある。」


スワン「ありがとうございます。行ってみますね。」

スワンは真面目な態度でツキに返事をした。

3人は集落を後にした。


少し歩くと、とうとう景色はまさに森になった。

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スカイユース ありんこ @ariarideruchi

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