第一章 銀髪碧眼の孤児
第01話 幼少期と幼馴染との出会い
異世界転生すると孤児であった。
理由は分からない。
以前は現代日本でごく普通の大学生をしていた。
気が付けば異世界の孤児院にいた。
4歳の少年、エルヴィンとなって…………。
転生した先は近世か近代のヨーロッパのような世界だった。
ライテンベルク帝国。
中央大陸に存する列強国の一角である。
世界では我が帝国を含め各国が植民地を求めて軍拡競争に明け暮れているらしいが、僕はその帝都、ライテンベルクの郊外にあるちっぽけな教会に併設された、ちっぽけな孤児院に預けられていた。
そんな僕はと言うと、立派に異世界人をやっていた。
金色の髪に翡翠色の目。
未だに見慣れない高い鼻と白い肌。
背が小さいのはこれから伸びるからだろう。
そして、この孤児院にはとある少女がいた。
いや、俺と同い年なのだから幼女と呼ぶべきか。
彼女はラウラといった。
長く艶やかな銀の髪。
青色に輝く、大きく愛らしい瞳。
背丈は僕よりも少し低いか同じくらいの華奢な体躯。
白い肌はシルクの様に滑らかで健康的である。
端的に言って、少女は美しかった。
ラウラはつい最近になってこの教会に預けられた。
僕も事情は聴いていない。
子どもを捨てる事情など、訊くものでもないだろう。
だが問題は、彼女はここに馴染めていなかった。
ラウラは人見知りをした。
いつも壁際や隅に寄り、周囲に背を向けていた。
よって、ラウラはいつも一人だった。
僕は思った。
ラウラは将来、絶対可愛くなる!
僕は動いた。
大部屋の角に向かい、座ったまま周囲の騒ぎに背を向けて座るラウラに近づくと、僕は少女の肩を掴んだ。
彼女は驚いた様子で振り返った。
振り向きざまにラウラが見せた顔は、泣いているようにも見えた。
「キミ、僕とチョット遊ばないかい?」
前世を含めて、初めてのナンパであった。
僕はその後もしつこいくらいにラウラに声を掛け続けた。
子どもというのは残酷なもので、一人でいる子どもを見つければ集団でイジメる生き物である。
そんな時、僕は常にラウラの味方をし続けた。
僕は基本的に孤児院にいるどの子とも話ができた。
ラウラの人見知りも徐々に治ってきたが、結局、ラウラは僕と二人で遊ぶことが多かった。
ラウラは絵をかいたり、切り紙をしたり、絵本を読んだりと、インドアな趣味が多かった。
僕は他の子と混ざって庭のボール遊びに付き合うこともあったが、積極的にラウラの相手を務めて彼女が一人にならないようにしていた。
隣に並んで絵を描いたり、ラウラを僕の膝の上にのせて絵本を読み聞かせたりもした。
ラウラを後ろから抱きしめ、腕を前に廻すと、彼女は僕の膝の上にすっぽり収まった。
うなじの甘い香りは役得といったところだ。
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