第68話 絶望の人類



レイラの実力と話から考えるとどう考えても『人類に勝ち目はない』


何時から此処迄実力の差が開いたのだろうか?


魔王にガイアが敵わないのなら解る。


だが、四天王で一番弱かったというレイラに、ガイアを含む勇者パーティが全員で挑んでも恐らくは、簡単に殺される。


余りにも戦力に違いが無さすぎないか?


「なぁレイラ…何時から魔王軍はそこ迄強くなったんだ? 貧乳聖女のレイスの代の勇者ラルガは魔王に勝ったんだよな? 可笑しくないか?」



「そうですね…これは魔王軍の機密事項ですが、リヒトちゃんには教えてあげますね! 実は、私も含み魔族には今現在、魔王が7名居ます! 特に四天王は実力者揃いなので、恐らく二度と勇者側が勝つことは無いでしょう」


今、何か恐ろしい事を聞いた気がする。


魔王が7名…どういう事だ…しかも『私も含む』だと…


「どういう事だ?」


「その顔…面白いですね、少し嗜虐心をそそります」


そう言うとレイラは…怖い笑顔で話し始めた。


なんてことは無かった…かなり昔から魔族は力の温存をする為に、勇者と戦っていたのは『魔王ではなく』魔族の中で2番目~3番目位の実力者が『魔王』を名乗り勇者と戦い負け、死んでいったのだと言う。


「何故、そんな事を…」


「うふふっ、『悠久の時間を生きる魔族にとって、未来永劫『勝つ』為今を捨てる』そう言いだしたのが始まりでした」



魔族の中でも魔王以外で強存在が『魔王の玉座』に座り、攻めてきた勇者と戦う。


人間側は魔王の顔を知らないから、その魔族を倒し勇者は帰っていく。


それを繰り返せば…確かに魔王の力を次に温存出来る。


人間みたいに短命なら、それは出来ないが魔族、その中でも特に寿命の長い魔王だからこそ出来る事だ。


そして…今現在はレイラは外に出たので魔王城に居るのは魔王が6名…勇者が乗り込んで来たら、四天王を名乗り、本来は魔王の2名が勇者パーティと戦い殺しているのだとか。


そうか…それである時から勇者の勝率が下がった…というか一切勝てなくなったのか…


もし、才能のある勇者がいて魔王二体を同時に戦えるパーティが居たとしても、そこで終わりだ。


魔王が6名居たら…もうそこには絶望しかないな。


「うふふっ、これは絶対内緒ですよ?」


「そういえば、あの貧乳聖女と勇者ラルガが倒したのは…」


「勿論、偽魔王ですね」


だが、これだと、魔王軍は『女神』すら騙し切った事になる。


全てを見通せるような女神を騙せるのか?


「よく、女神を騙せましたね」


「うふふっ、女神が解るのは『人間側』の世界、魔族の世界は見る事や知る事もできない…謀略や隠ぺいは魔族にとっての専売特許、幾らでも誤魔化せますよ…」


これじゃ、もう…余程の事が無い限り、今後人類の勝利は無いだろう。


「凄い話だな…だが、今の話ではレイラも魔王なんだよな?」


「うふふっ、そうですよ!」


「もしかして、誰か勇者を倒したりしていたりしますか…」


普通に考えたらあり得そうだな。


「ええっ、貧乳聖女のレイスと勇者ラルガ…他には」


今、貧乳聖女って…


「レイラ…今、貧乳聖女のレイスと勇者ラルガって言わなかったか?」


「ええっ、言いましたよ? 一応勇者ラルガは命令だから、他のサキュバス達と幸せな死をあげました…まぁサキュバス好きみたいですから可哀そうですから」


幸せな死…そう聞くと…多分幸せな死なんだろうな…サキュバスだし。


「貧乳聖女は…」


「残酷な殺し方の一つ『バイトバイト』です」


怖い…そう思いながらこの『バイトバイト』が気になった。


「バイトバイトって」


「それはですね! テーブルに縛り上げて沢山のサキュバスが同時に噛むんですよ!それを死ぬまで続けます…だんだん肉が削げていき、大体普通はショック死するのですが、聖女だから多少耐久性があるのが、肉が削げ落ち骨が見えても生きていました…最後は『殺して』『殺せー』を連呼していました…」


凄い拷問みたいな殺し方だ。


「凄いな…」


「今思えば、あれでも足りなかったわ…その後の同胞の事を考えたら生ぬるかった…それが今の後悔ですね」


綺麗で優しく見えても…レイラは魔族。


絶対に怒らせるのはやめよう…本当にそう思った。





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