いびきの悪魔(※ホラー注意)

※この作品は少しホラーぽいところがあるので苦手な方は見るのをお控え下さい。

それではどうぞーー

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 遠くで物寂しく鳴いている虫の音。たまに吹く夜風がカーテンレースをゆらゆらと、幽霊のように踊らせ、少年の肌を撫でた。そんな陰々とした雰囲気の部屋。


 ふと、少年はパチリと目が冷めた。何が起きたか、くる、これは少年のカンのようなものなのだが、ただそんな気がしたのだ。1番起きてはいけない時に目を開けてしまったと、少年は自分自身を恨んだ。少年は布団で体を隠した。ただ、早く眠ってしまうよう祈る。いや、「寝ろ」と自身の胸を叩いて言い聞かせた。しかし、そんなものお構い無しにと隣の部屋から、ぐおう、ぐおう、と父のいびきが聞こえてきた。少年はぎゅう、と目を縛るかのようにつむり、耳を塞いだ。今、彼の他にあの怪物の鳴き声のようないびきの怖さが分かるものはいるのだろうか、今彼が背中が浮いたようななにかに取り憑かれたようなな感覚に陥っているのを理解出来るものはどれほどいるのだろうか。とにかく、ぐおう、ぐおう、と部屋に鳴り響くこの重音は怖がりの彼を怖がらせるのには充分すぎるのであった。少年は恐怖からか全身をダンゴムシのように丸めた。背中を上から下へとなぞられるようにつうっと冷たいものがつたった。体がベットから浮いているんじゃないのか、そんな感覚するある。眠りたくても、体が緊張して眠れない。と、言うほど怖がっている。そんな様子じゃ少年の中にある少年をガンジガラメにしている恐怖は少年を睡眠へと逃してはくれない。


 ぱき、ぱき、と、部屋の隅から、天井から音がなった。途端、少年の目は見開かされ、冷やせが少年の背中をまるで運動後のように濡らした。だが、少年が本当に怖がっているのはこんなことではなかった。ピタリ、あの恐ろしいいびきが止まったのは少年が布団の中で身を縮みこませた三十分ほど。突如、シーンとした空間が現れた。カーテンレースはピクリとも動かないし、虫の音は落ちた針の音ほどすら聞こえなかった。代わりにドクドクと、故障したかと思うほど高速な自身の心臓の音だけがその部屋にあった。ベットが揺れている、足が冷たい。部屋の隅で、少年は見てはないが何者かがじっと少年を見つめているきがした。それは脇腹が痛いような感覚をも呼び出した。少年の夜はまだまだ長そうだった。

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