4章76話 新たなる武器2
ヘパイストスが炉から引き抜いたその刀は血桜と同じ長さだが鍔がなく一見ただの木刀に見えた。しかし刃の部分には血のような赤い線が走っている。そして反り返り木でなければ血桜の姉妹刀のように見えた。
「うん、いい刀だ。しっかり魔力が馴染んでる。雪、手にとって確かめてごらん。」
「はい!うわ,凄い手に馴染む。まるで自分の手足みたい。ヘパイストスさん、試し切りとかできませんか?」
「そうだな、ならこれを切ってみるといい。」
そう言って取り出したのはバスターソードとも言われるデカい剣だった。
「これをですか!?流石に無理では?」
「いいから。やってみなよ。」
「わかりました。フッ!へ?」
弾かれるかと思っていた雪はバスターソードを一刀両断したことに驚きを隠せなかった。
「えええ!切れ味おかしく無いですか!?」
「神樹の枝を使ってる上に加護を貰ったやつが使い手なんだこんなもんだろ。それにまだ試してないことあるだろ?」
「試してないこと?」
「魔力込めてないだろ、それはまだ通常状態に過ぎない。」
「あ,そうか。もともと魔力で強化する目的でドライアドの枝にしたんでした。次は魔力を込めてやってみます!フッ!、、、、、バターみたいに切れた。」
バスターソードの残っている場所を切った雪だが先程はまだ切った感触があった。しかし今度はまるでバターを切るように感触がなかった。
「凄い切れ味ですよこれ!でもこれ人相手だと不用意に使えないな、、、。」
「これ俺の龍鱗意味ないんじゃね?一年選抜までにどうにかしないとなます切りにされるな、これ。」
「今は身体強化も鬼化もしてないんだから恐ろしいよねー。雪ちゃんの能力とすごく合いそう。まさに鬼に金棒だね。」
「まあ,これからいっぱいお前の魔力を喰わせてやれ。そうすればお前の意思をくんで更に進化するかもしれんぞ?」
「末恐ろしい子ですね。この子は。ちなみにこの刀の名前はあるんですか?」
「んー【樹刀 雪華】とかどうだ?雪の刀だし。」
「うんシンプルだけど良いですね!よろしく雪華。」
「さて、刀も作り終わったし帰るとするか。お前たち明日は学校だろう?あまり遅くなると大変だからな。」
「そうですね、みんなはやり残したことはある?」
「うーん無いかなぁ。アーデと離れないといけないのは寂しいけどまた会いにくれば良いしね。」
「俺も無いな。」
「私も無いですね。アーデがくれた枝だけでもおみやげとして十分ですし。」
「よし,なら帰るぞ!アーデに挨拶しておけ。」
「はい。アーデまた今度会いにくるからね。その時まで元気でね。」
『うん!雪も元気でね!』
「ティルさんと仲良くするんだよ?」
『うん、ティルは余計なこと言うけど友達だから!』
「それじゃあまたね!」
そうしてティルさんの家まで戻った後ティルさんともお別れしてヘパイストスさんの運転する車に乗って寮まで戻ったのだった。
◆
『あ、雪に枝に込めてあった魔力は千年分くらいあったっていうの忘れてた!でも大した問題はないよね。』
この言葉が何を引き起こすのか誰も知らない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます