3章57話 遭遇と買い物
「まあまあ、落ち着いて?連絡がこのシルバーウィーク中にずっとつかない事はないだろうし。ねっ?」
「そ、そうですよね?実は妹が連休明けに学校に編入することが決まったんですがその前に両親含めて感謝を伝えたいと言っていて。」
「え、そうなんだ!でも今の時期だと私たちと同じ学年になるってこと?」
「はい。出来るだけ身内と一緒にいた方が安全だという判断です。妹にも会えないか聞けと言われていて。もし、妹に会えなかったというものなら、ももしかしたらお姉ちゃん嫌いとか、言われたり!?最悪、口を聞いてくれないなんてことも!?」
「はいはい、どーどー落ち着こうねー?こりゃ長年張り詰めてきた後遺症かなぁ。クールビューティーな生徒会委員ってイメージが完全に崩れちゃってるよ。」
「す、すいません。遊びに出かけるのに急にこんな話をしてしまって。そろそろバスが来ると思うのでこれくらいにします。私、あそこの複合型ショッピングモールに誰かと行くの初めてです!」
「そっか!なら楽しまなきゃね!ほんとは雪ちゃんも誘えれば良かったんだ、けど・・・。雪ちゃん!?」
「あれ、綾。それに銀嶺さんも。二人が一緒にいるの珍しいね。どこか行くの?」
怜と話しながらバスに乗り込んだ綾の目の前にバスに乗っていた雪が居た。
◆
「へぇ!銀嶺さんたちもあそこに行くんだ!奇遇だね、私も今から行こうとしてたんだ!。」
「なら、いっしょに巡りませんか?ちょうど雪さんとも一緒にいければと話していたところなんです。」
「もちろん!あ、それと敬語じゃなくていいよ?その方が仲良くなった気がするし。」
「そ、そうで、そう?分かったわ。じゃあ雪さんも怜で良いですよ。」
「うーん、まだ少し堅いなぁ。うん!よろしくね!怜!」
「!?」
唐突に雪の笑顔を浴びて謎の胸の苦しみを覚えた怜はこれが尊いということなのだろうかと思った。
それからしばらく各々の話をしていた。
「へぇ、秋さんと特訓してたんだ。」
「うん、色々学べたよ。それで休み中に怜のご両親と妹さんが会いたいってことなんだよね?」
「えぇ。でもできればだから無理しなくて大丈夫よ。妹に関しては休み明けには会えるから。」
「ううん、予定もないから明日でも会えるよ。」
「良かった。ちょうど明日両親はどちらも休みなの。明日の朝寮の前で待っていてくれるかしら。迎えに行くわ。」
「了解!それで二人は今日何見に行くつもりだったの?」
「それが私たち二人ともあまりあそこに行った事がなくて歩きながら色々見て回ろうって言ってたの。」
「私は防具とかを買いに行く以外に行ってなかったのでほぼ行った事が無いですね。」
「それで雪ちゃんは?一人であそこに行こうとしてたってことはどこか行きたいところがあるんだよね?」
「うん、それが父さんとの特訓の後・・・」
◆
「雪、そろそろ防具とか武器を買い替えた方がいいんじゃないか?」
「え?でも今でも十分戦えてるよ?」
「それはお前のスペックが高いせいだぞ?例えば血刀をほぼ無効化されたことは無いか?アレは下手な武器より強いけど結局血だからな。血が効かない相手とかには武器が何も使えなくなるぞ?」
「あ、確かに。千手先輩には血そのものを吸われて相性最悪だった・・・。」
「だろ?物理的な攻撃手段はあった方がいいよ。腕のいい武器屋があるからそこに行ってみな。」
◆
「という訳で武器屋に向かっていたってわけ。」
「確かにねー。私も魔法が効かない相手には物理攻撃出来る武器を持つからね。」
「おそらく私のよく行く武器屋だと思うので案内しますよ。私の父と雪さんのお父様は同僚なのでおすすめしたとすれば同じ店だと思います。ドワーフが店長のお店ではありませんか?」
「うん、多分そう!ありがとう。探すの大変そうだなって思ってたんだ。」
「あ、二人ともそろそろ着くよ。降りる準備しておいてね!」
そして雪は怜の案内のもと武器屋の前に来た
「此処が・・・その武器屋、か?」
「はい、此処が【ヘパティック】です。最初は戸惑いますよね。アハハ・・・。」
何故ここまで驚いているのか。それは店の内装にあった。
「なんで入ってすぐカウンターしかないんだ?武器は?防具はどこに置いてあるんだ?」
商品らしきものはどこにもなかった。しかも隣の店と比べても店の広さとの違いがおかしい。
「この店カウンターしかないぞ?奥のスペースは何があるんだ?」
「それがこの店のおすすめの秘密なんです。店長ー!ヘパイストスさーん!」
「なんだい?騒がしい。ん?おお、怜じゃないか!聞いたよ?呪い、解けたんだって?良かったじゃないか!」
「はい!それで今日はこちらの、
「君、秋の娘さんかな?」
「!?は、はいそうです。でもなんで分かったんですか?」
「秋もうちの常連だからね。なんとなくオーラが似てる気がした。」
「なるほど、今日は父に勧められてここに来たんですけどその前に。この店なんでこんなに何もおいてないんですか?」
「うちに来た奴はみんなそう言うよ!他の店にはできないうちだけの強みだからね!まあ、百聞は一見にしかずだ!ついてきな!」
ヘパイストスさんについて言ってカウンターの奥に進むとそこには運動場と同じくらいの空間と武器や防具が浮かんでいた。
「ここは、私の能力空間だ!【鍛治領域】と言ってね。武器や防具を作るための設備やそれを試す場所などがついてるんだ。うちは基本オーダーメイドでね。今浮いてるのはイメージのための見本かな?」
「こんな能力があるんですね!それにしてもすごい!さっきの店とは別空間ですよね?」
「おうさ!よくある空間拡張の魔道具なんかは今ある部屋を拡張するもんだがこれは新たに空間を作り出し、重ねてある。ここで何をしようが外にはなんの影響もない。音だろうが衝撃だろうがね。さて、どんな装備が欲しいんだい?」
早速本題を書かれた雪は既に決めてあったのかすぐに要望を出した。
「私の能力は血液を操作する力なんですけど防具に血を纏わせるんじゃなくて染み込ませてさらに強化してみたいんです。外と内どちらも、強化できればさらに強くなれると思うんです!」
「ふむふむ、つまり液体をよく吸って魔力との親和性が高く丈夫な武器と防具が欲しいと。うーん、ひとつ聞きたい。今ある素材でもできないことは無い。だが最高を目指すと言うなら少し手間はかかるが最適な素材がある。どうする?」
「手間がかかる方でお願いします!」
「よく言った!で、その素材なんだが【ドライアド】を知っているか?」
「確か女性の見た目をした魔物で寄ってきた者の魔力を奪うと聞いた事があります。」
「うん、そのドライアドなんだが実はかなり前から共生関係になっていてな。マナスパイダーの話は聞いたことあると思うがあれと同じで魔力を与える代わりにいらない枝などをもらう契約を交わしているんだ。」
「へぇーそうなんですね。最初に契約を交わした人すごいな!でもそれのどこが手間がかかるんですか?むしろ簡単な気がするんですけど?」
「あーそれが木って接木ってあるだろ?枝を地面に刺すと生えてくるやつ。ドライアドも同じで意識は無いけど生きてはいるんだ。でドライアドに認められたやつじゃないとほんとにそこらに落ちてる木の枝くらいの性能になっちまうんだよ。」
「つまりはどうすれば良いんですか?」
「直接行って認めてもらうこと。と言っても魔力を渡して気に入ってくれれば貰える。ある意味簡単だな?」
後書き
はい、なんとなく気がつく人いるのかな?一万pv記念のアレですね。後数話で3章も終わりです。これ以上日常を書けねぇ!みんな休日何してるんだろう?最近外出ないから何すれば良いのかわからん!w
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