1万PV記念エピソード ディスティニーランド

朝起きた俺たちはホテルの朝食を食べにレストランまで来ていた。


「今日は何処に行く?個人的には海のショーとウォーパイレーツは行きたいな」


「雪姉、私、オーシャンコースター行きたい!あと、バトルミストもやりたい!」


「楽しそうね?私、昼食はクルーズレストランで食べたいわ。あそこの魚介は美味しいらしいの!」


そんな話をしながら朝食を食べ終え、入場するためのチケットを買いに行こうと伝えると

「秋さんがもう買いに行ってるわよ?ほらあそこ、帰って来たわ。」


父さんは朝早くに買いに行ったらしい。どうりで朝食を食べに来ない訳だ。


「さて、朝食も食べ終わったみたいだし入場の列に並ぼうか。荷物はかさばるからホテルに置いて行こう。」


そうして俺たちはディスティニーランドの海エリアに入場した。

ディスティニーランドの海エリアは半分が海で水を使ったアトラクションが多めのエリアだ。特に目に入りやすいのは宙に浮かんでいる水の魚たち。

なんでも魔道具で制御し魚に見えるようにしてるらしい。海水が空気に含まれているからそれに光で投影しているらしい。

昨日の火山よりは魔力を使わないと言うのだからすごいもんだ。


俺たちは俺が見たいといった海のショーが始まるまでの間アトラクションで暇を潰すことにした。

まずウォーパイレーツから行くことになった。

このアトラクションは攻め側と守り側に分かれて攻め側は海上用スライダーで接近、海賊船の壁にある魔法陣に魔力を通し全ての通し終えたら勝ち、

守り側は海賊船に付けられた砲台から球を発射!攻め側を撃退すれば勝ち。

球は水で当たると水風船くらいのダメージでスライダーが着弾を検知すると陸に戻すよう設定されている。

ここまで説明したが雪自身濡れるじゃんと思ったそこのあなた!なんとこの海エリアでは海水を弾くブレスレット型魔道具を配布していて園内なら効果を発揮するのです!

と言う謳い文句の魔道具をつけているため普段着で戦えるのだ。


「雪姉はどっちに行くの?私は攻め側!」


「私も攻めかな。砲弾掻い潜る方が楽しそう!」


「ならタッグ組もうか!他にも見方はあるけど大体連れと組むし、そうじゃなくても誰かが先なんてとらないから。」


「了解!じゃあ始まる前に朱音にこれ渡しとく。」


そう言って俺は朱音に赤い色のイヤホンを渡す。


「何これ?イヤホン?」


「これは私の能力で作った通信機。魔力を倒せば念話みたいなことが出来るから。」


「へぇ!お父さんと特訓した成果出てるね!これ、どのくらいまで会話できるの?」


「基本何処までもって言いたいけど私の魔力操作限界で半径50メートルかな。それより外だとノイズとか最悪消滅するから。」


「それなら今回は気にしなくていいね?ありがとう!このアトラクション守り側がかなり強いから勝ちたいんだ!」


そう、このアトラクション攻め側は球を避けながら近づくのだが片側に全て攻撃を割り振られて片側ずつ落される。なんて言うのがザラにあるらしい。しかも、両方から攻めたとしても弾幕系シューティングのように掻い潜る必要がある。流石にそんなのガチで避けれる人なんてそういないから。


「取り敢えず私たちは揺動として片側に球を集めよう!スライダーブレイクの感じ見ると避けられるでしょ?」


「なるほどな、陽動として片側に集めて反対側を攻撃してもらいつつ隙があれば狙う。そんな感じか?」


「流石雪姉!一回でいいから超接近してすぐに撤退。私たちが危険なことを知らせて全部の弾を集めよう!」


「よし、じゃあ行くか!」


アトラクション前に集まった40人半分に分かれて転移する。


攻め側はスライダーに、守り側は海賊船に着いた。

そして海戦のゴングが鳴る。

ピッピッピッどぉぉぉおん!


「「「「おおおおおー!」」」」」


「朱音!船体左後方から回り込むぞ!」

「了解!」


すると間も無く海賊船の砲台がこちらを捕捉する。雪は目だけ身体強化を施し砲弾の雨を避け続ける。


「マズイぞ!もう一個ターゲット取られる!守れぇー!」


誰かの声がした後一斉に俺たちに砲台が向く。


「雪姉!これから撤退!避けることに専念するよ!」

「了解!危ない時は伝える!」


そうして5分ほど耐えていると


「しまった!こっちは囮か!反対側もう全部取られたぞ!」


弾幕を避け続ける必要が無くなった合図が来た。程なくして味方がこちらにやってくる。


「よくやってくれた!あんたら最高!」

「すげぇな嬢ちゃんたち!あとは俺たちに任せろ!」


反対側を攻略してくれていた人たちが労ってくる。

「いや、反対側をとってくれてありがとう!少し休ませてもらうから頑張って?あんまり遅いと全部取りに行くよ?」


「そうこなくっちゃ!お前ら!俺たちの見せ場だ!ここまでお膳立てしてくれたんだ!負けてカッコ悪いとか見せんなよ!」


攻撃側の指揮が上がっていく。特に男子。美少女2人にいい格好をしようと息巻いている。


「これなら勝てそうだね。問題は全部の砲台がこっちみることか。」


「それなんだけどまだ相手は私たちが危険なことが印象に残ってるからさっきみたいに急接近、撤退をすれば気を引けると思う。」


俺たちは船首側から一気に側面に切り込むように進路をとった。


「おい!さっきのやばい姉妹が船首側から攻めて来てるぞ!くそ!船首の飾り邪魔だな!」


「あの姉妹をやればなんとかなる!やれー!!」


完全に注意を引けたことを確信し撤退する。その時先程攻め側を鼓舞していた男性と目があった。おそらくこっちの意図を読んだらしくサムズアップしてきた。


「朱音!このまま砲弾の射程ギリギリを維持するよ!出来るだけ他の人の反対側にいるようにしよう!」


そうしてウォーパイレーツは俺たちが勝った。

朱音が落とされるなどのハプニングはあったが楽しかった。


「悔しい〜!最後もう負けたと思って私だけ狙ってたよ!」


「もう、あの姉妹どっちでもいいから落としてやる!って感じだったね・・・」


「まあ、勝ったからいいけど。にしてもあの人何者だったんだろ?」


「あー途中から指揮してたあのおじさんね。最後、二つ一気に取ってたよな。あの弾幕よく避けたよな。」


2人が謎の人物について話してる頃、秋たちは


「何やってんだ!?あの人!ほぼ最後実戦と同じくらい本気だしてたろ。」


「おう!やっぱりお前んとこのか!かなり動きがいいんで任せてたんだがうちに欲しいくらいだ!」


「銀嶺さん。何やってんですか、こんなとこで。」


「休暇だよ休暇。俺はこのアトラクションが大好きでな。よくやるんだがやっぱり俺1人だと勝てなくてな?今回勝てそうだったから少し本気出しちまった!」


「全く、朱音はともかく雪は魔防隊志望ですからいつかは一緒に戦えますよ。」


「そうか!しっかしあんな子がいるとはうちの子に合わせて見たいとこだな!」


「怜ちゃんにですか?あの子呪いはどうなりました?」


「それなんだがやはりまだ解呪出来ねぇ。エリクサーなら何とかなるかもしれんが今は何処を探しても無いからな。」


「霊草ですか。アレはかなりレアですからね。」


「っとこんな場所でこんな気の滅入る話をしてもしょうがねぇ!また今度な!」


そうして秋と銀嶺 怜の父【銀嶺 凍也】は別れた。


「次はオーシャンコースターに行きたい!あそこ綺麗だから!」


「確かに。でもジェットコースターなんだよなぁ。もうこの体になっていることを意識すれば大丈夫だと思うけど。」


「元々は得意だったんだから大丈夫だよ!さ!行こ!」


そうして俺たちはオーシャンコースターの列に並ぶ。このアトラクションは名前の通り海の中に入って行く。だから魚や珊瑚などが見れて綺麗なのだ。途中海底の谷に落ちるからしっかりジェットコースターはするのだが。


『これよりみなさまを海の世界に案内します!ではいってらっしゃませ!』


アトラクションのアナウンスの後俺たちの乗るコースターが海に入って行く。当然ブレスレットはしているので慣れる心配はない。


「うわー綺麗!あっ!あそこクマノミがいるよ!あそこには・・・」


しばらく海の魚を見つけて楽しむ朱音を見ているとアナウンスがなる。


『これよりさらに下に参ります!しっかりとお捕まりください!』


するとコースターはほぼ垂直に落下していった。

「きゃあぁぁぁぁぁぁあぁぁ!?やっぱりまだ無理ぃぃぃぃィィ!!」


結局変化した体に慣れない雪は撃沈する。

しかし、まだ終わりではない!

コースターが左右に揺れ海特有の無重力軌道をしながら移動する!左右左上からのコークスクリュー!

「ぬぁぁあー!最後の回転いらないだろぉぉ!?」


そうして陸に戻って来た雪は陸に打ち上げられた魚のように動かなくなった。


「あらら、やっぱりまだダメみたいね。少し早いけど休憩も兼ねてクルーズ船に行きましょうか?あそこは混むから待っている間に復活するでしょう。秋さん悪いのだけど雪を背負ってもらえる?」


「いいよ。うわぁ軽い。久しぶりに雪をおぶるけどもう少し食べた方が良さそうだね。」


そうしてクルーズ船に着く頃には雪も復活した。


「酷い目にあった。しばらく絶叫系は控えよう。」


「まあまあ、元気出して?ほらこのサーモンなんか美味しいよ?ね?」


「うん、おいしい。あかね、もっとほしい。」


「どっちが姉か分からなくなるね!ははは!」


若干幼児退行したが復活した雪は海のショーを見ようと提案して移動することにした。


「ここのショーはいつ見ても綺麗だよな!水の魚を使って幻想的な雰囲気がするし、色もついてるから華やかさもある。」


早めに移動したおかげで最前列を確保した一行はショーを観ていた。いつもはこれで終わりのはずなのだが


『これより新しいパフォーマンスを紹介します!今年から始めた新しいショーを堪能してください!』


初めて見るショーが気になって見ていると何と海の両端から水の龍と氷の龍が出て来た。

「何だありゃ!?何をするんだ!?」


流石に規模のおかしい演出に驚くと二体の龍はお互いにブレスを空に打ち出す。それによってさらに虹が架かる。

「おぉー!綺麗だな!」

さらに氷の龍が海にブレスを吐き氷の彫刻などを作って行く。最後に二体が空に向かってブレスを吐きぶつける。すると粉々になった氷が舞ってダイアモンドダストになる。


『以上でショーを終了します!ご観覧ありがとうございました!』


想像以上の迫力に大満足の雪であった。


「ほんと綺麗だった!ああ言う発想は浮かんでこなかったなぁ!なるほど融合させるのか!今度試してみよう!」


いくつかのヒントを得ながら一行はバトルミストに向かっていた。


「よく知らないんだけどバトルミストってどんなアトラクションなんだ?霧の中で戦うのか?」


「ううん。霧を使って魔物の形を模した幻影を使って戦うの!使う魔物はランダムで決まって噂ではその人の運命の魔物が出てくるらしい!」


「運命の魔物?なにそれ。」


「何でもテイマーなら相棒になれる魔物とか他にも仲良くなれる魔物とかを指すらしいよ。テイマーって能力じゃなくて職業みたいなところあるから仲良くなれれば雪姉でもテイマーって名乗れるの!」


「へぇーでも噂なんだろ?」


「うん、でも実際テイマーの人がやったら一番の相棒と同じ種の魔物が出たって言ってたらしいよ!」


「なるほどね、それで?肝心のルールは?」


「一対一の勝負で使える技が決まってるの。それに使える回数も。で体力が設定されてるからそれを全部削ったら勝ちってルール!」


「なるほど、○○モンか。」


「そゆこと。」


そして、当たり前だが対戦相手は朱音になった。


「このカードを引き抜けば魔物が召喚されるから!行くよ!えいっ!」


すると朱音の前には赤黒いスライムが出て来た。

俺はというと俺くらいの身長の子供だった。


「「なにそれ?」」


当然お互いにそう言った。だって最弱って言われるスライムと魔物にすら見えない子供が出て来たんだぞ?


「雪姉!引いたカードに魔物について書いてあるらしいよ!」


朱音が教えてくれたので見てみると


ドリアード


・木のつる 20/20

・ドレイン10/10

・寄生木 2/2

・光合成 20/20


奥義

・樹海生成 1/1

と書いてあった。


おそらく朱音も同じようなことが書いてあるのだろう。

「よし!朱音読み終えたか?出来てたら勝負するぞ!」

「大丈夫!絶対負けないから!」


battle start!


アナウンスの後対戦が開始される。


「ドリアード!【樹海生成】!」

ドリアードは木に紛れないと接近戦に弱いからな。最初から奥義を使って撹乱する!


「いきなり奥義出してくる!?ブラッディスライム!【血刃】!三連!」


朱音は木を切り刻みながら接近するつもりのようだ。ならば

「ドリアード【木のつる】2本!」


おそらく朱音はドリアードから木のツルがくると警戒したのだろう。だが、正面から来ることはなかった。

「何のために樹海を作ったと思ってる!周りの樹海からでも木のつるは出せるぞ?」


「うわ、ズルッ!ならこっちも奥の手出すよ!【暴食】!からの【吐き出し】と【血の洪水】!」


ものすごい勢いで食べたかと思えば食べたものが血の洪水と共にこちらに流れてくる!?


「いや、ちょ溺れるって!負けたかー!」


game SET!

winner 朱音!


「何だよアレ!反則だろ!もう一回!」

「ふふん♪でも血刃以外全部一回しかできない大技なんだよ?洪水塞がれたら負けだったなー。」

「そんなぁ焦りすぎたかぁ。」


そんなこんなで何回か勝負して引き分けとなった。


そして日も落ち帰る時間になった。

「どうだった?楽しめた?今までできなかったことできて嬉しかったでしょう。」

「うん!いろんな発見とかあって楽しかった!」

「最近は私や秋さんの影を追いすぎてる気がしたから別の刺激があるといいかなって思ったの。私や秋さんにはない利点で雪の強さを磨いてね?」


母さんの考えもわかったところで感謝しか無かった。あと少しで綾たちにも会える。色々ありそうだけど頑張らなきゃな!











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る