1章11話退院決定

 魔防隊に父さんが所属してるなんて初耳だぞ!?あんな体でどうやって戦うんだか。


 俺が父さんの職業に驚いていると父さんがこちらを向いて話しかけてきた。


「ということだから安心してほしい。もしこの話が嫌でも学校には通えるようにしてあげるから後は、雪が決めてね。」


 そんなの聞かれるまでもない!俺はその問いかけにすぐに答える。


「正直混乱しすぎてよく分からないけど学校に通えるなら通いたい。それに自分の体がどうなっているのかも知りたいからこの提案を受けようと思う。」


「わかった、そういうことなので娘をよろしくお願いします。」


「はい、了解しました。雪さんはもう健康体そのものなので明日には退院できますよ。」


「それなら・・・雪、明明後日に僕と紅さんと魔防隊の能力訓練場で能力の確認をしようか。」


 能力の確認は良いとして何で明日とかすぐにしないんだ?早く能力を試してみたいんだが。きっと血液系の能力かな?父さんの能力は微妙そうだ。


「分かった、でもなんで明明後日?明日とか、明後日じゃダメなの?」


すると母さんが見たことないくらいの笑顔でとても機嫌の良さそうな声で答えた。


「だって雪、着れる服ないでしょー?それに退院したら朱音にも説明しなきゃなんだからすぐには無理よ♪」


 お、俺が女物の服を着る!?ただでさえ女顔なことが嫌だったのに!女装じゃないか!いや、女になったんだから違うか。ともかく!


「い、嫌だァァァー!なんで服を買わないといけないんだ!?私の服あるでしょ!?それに朱音になんで説明するんだよ!ワイバーンに襲われて女になりましたってか?無理でしょ!」


「だって雪見る限り10センチは縮んだみたいだし、丈が合わないでしょ?それに事件に巻き込まれて買い物できてないもの。仕事着じゃなくて普段着と制服になったけどね。」


 確かに身体が縮んでる。母さんのいう通りだ。それにこういう時の母さんは凄く押しが強い。反抗するだけ無駄だ。


「ぐぬぬ、言い返せない。うーわかった!!分かったよ、しょうがないなんとでもなれ!」


 俺はやけになって思考を放棄することにする。一生このままなら早めに慣れないと精神が死ぬ。


「そうそう、諦めも肝心よ?じゃ私は仕事に戻るわね。また明日会いましょう。」


「じゃあな雪、明日8時にまた来るから支度しといてな。あ、ベットの横に紅さんが着替え置いといたらしいからそれに着替えておけよ?」


 そう言って2人は出て行った。


「なんでこんな体になったんだよー!!」


 誰もいなくなったと思い叫ぶと、


「雪さん、個室とはいえあまり大きな声は出さないでください。」


 すでに出て行ったと思っていた先生がいた。


 俺は人がいないと思って声を出してたから急に声をかけられてビクッとする。全く気配感じなかったんだが。


「先生いつからそこに?」


「ずっといましたよ、お話が終わって退院の日時を確認する為に待ってましたから。ご両親は8時に来るとのことなので9時には退院の手続きをしてください。では」


 そういうと先生も病室を出て行った。


「影薄すぎないか?2人とも忘れて帰っちゃったけど」


 少し医師の謎を残しながらも怒涛の1日が終わった。



 病院の前を、雪の変化にまだ気が付かない者が二人。

「なんか雪君に会える気がする!」

「そんな訳ないだろ、もう寮に入ったんだから夏休みまで会えないって」

 少し遠くから二つの声をこぼしながら歩いていた。

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