第4話窮地
紅は雪を【血霞】で覆った後ワイバーンから守るため決死の覚悟で立ち向かうことを決意する。
(まずいわね、完全に雪に狙いを定めてる。ワイバーンは獲物を仕留めるまで執拗に追いかけてくるから逃げてもすぐ追いつかれる。【
「【
(魔防隊が来るまで耐えるしかない!私の最強の捕縛術、これが破られたらもうどうしようもない!それにこれでもうほぼ魔力はない。)
「でも、【
(血霞は魔物が嫌がる成分に調整した特別な血を使っているから魔物が寄ってこなくなる。もし、私に何かあっても大丈夫。)
ガンゴンガシャン!
「よかった、流石に出てこれはしないみたいね」
そう、安心したのも束の間異変は起きた。
何も音がしなくなったのだ。
この【
次の瞬間、ガラスが割れる音がした。
「ッ!一体何が起こったの!?」
目の前には【
「あれがまともに当たっていたらやばかった。しかもあれをあと2.3発されたら【
ワイバーンの尻尾がかすって腕に切り傷を作って血を垂らす紅は尻尾の拘束を強くする。
「あと30分もしたら魔防隊が来るはず、それまで待てば私の勝ちね」
そしてまたワイバーンが力を溜め始めた。
「流石に2度目はわかった。ワイバーンは上昇する時は魔力を翼に纏って羽ばたくことで高度を確保する。でも私の拘束で動けないから防御や飛行に使う魔力を尻尾だけに集めたのね。」
(それなら、魔力を感知すれば避けられる。
だけど・・・先ほどと同様の魔力量尻尾に込めたというのに仕掛けてこないのは何故!?)
「いや、考えなくていい。私は時間が稼げればそれでいいはず・・!?ごふッ!かはッ!」
いきなりの吐血、しかし経験上何度も見てきた紅はすぐに理解した。
「これは毒!?やられた!尻尾に毒があったのね、まさか普通のワイバーンじゃなかったなんて・・・でもよかった私が最初で」
そう、魔防隊が来て尻尾の攻撃が来てしまったら全滅の可能性もあった。その点自分なら解毒ができるため警戒を促せる。そう、考えていた
「【解毒血】・・・ゴフッ!?なんで!?解毒が効かない?そんなこと今まで無かったのに」
「そりゃそうさ、あんたのために作った毒だもん」
「誰!」
紅は解毒に集中していた意識を声が聞こえた方向に向けた。するとそこには黒いローブを着た人物が立っていた。
「まあ、あんたのためというよりあんたが解毒にかかりきりになる様にが正解かな?この毒にかかった奴らをあんたのいる病院にたっくさん運び込めば魔防隊の優秀なヒーラーがいなくなるからね」
「あなた、何者?」
「製作者とでも名乗ろうかな、このワイバーンのね」
そう黒ローブは話しながら【
「ワイバーンに貫かれたとはいえ片手で壊すなんて!ゴフッ!はぁはぁ」
「どうだい?このポイズンワイバーンの毒は?こいつの毒は【魔毒】って言って魔力に反応してより毒の回りを早くするんだ!しかも解毒しようとすればその魔力を阻害するから死ぬまでこのままさ。いくらあんたが解毒のエキスパートだとしてもね。」
黒ローブは聞いてもいないのに自慢げに毒の解説を紅に話す。
「なるほどね、【解毒血】で治そうにも、うっ治らないわけね。」
紅はこれが他の人間に襲いに行ったらなすすべもなく殺されると直感した。そして、できる限りの情報を聞き出し死ぬ前に魔防隊に伝える為に力を振り絞って意識を保っていた。
「ねぇ、後ろの霧みたいなのの中に何かあるの?」
(まずい、雪に気づかれた!)
「あれ?生体反応はあるのに魔力を感じない。そんな生物いるのか?ああ!そっか!あんたの息子、無能力者だっけか?なるほどねぇこいつが襲わないよう守ってるわけか」
雪に何かするのではと思い紅が身構えていると黒ローブは呆れた声で喋り出した。
「あぁ身構えなくても無能に興味なんてないから。ここに来たのはポイズンワイバーンを拾いに来たのと、あんたが魔毒で苦しむ様を見に来ただけだから。それじゃあ後数分の命楽しんでー!」
そう言い残し黒ローブはワイバーンに乗って何処かに消えた。
「はぁはあ、ここに拘束することは出来なかった・・けど・・雪、はどうにか守れた」
そう言い残し雪のそばまで近寄って【血霞】を解除した。
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