15-5 VRボックスから、『リアル・ファンタジー・ワールド』へ
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上杉『今井さん、こんにちは』
今井『こんにちは』
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すぐに返信がきた。
視界下にメッセージが表示された。
安心した。
今井雪に会うため、
この仮想空間にやってきたのだ。
たぶん、彼女は現在、
『リアル・ファンタジー・ワールド』。
このゲームの世界にいるはずだ。
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上杉『ぼくも冒険者になり、
テーゼの町に来ました』
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話したことが音声入力で文字に変換され、
器械的に羅列されていく。
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今井『本当ですか?』
上杉『はい。今井はどこにいるの?』
今井『我は、今井ではない』
上杉『は? 今井のLINEですけど』
今井『我は、今井ではない。冒険者だ』
上杉『は?』
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戸惑った。しかしすぐに冷静になり考えた。
今井は現在ゲーム中、中二病が全開なのだ。
まあ、この仮想世界が中二病そのものだけど。
ぼくは熟考した。
そして、今井が答えてくれそうな、
望んでいるような質問をした。
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上杉『冒険者、スノーナウはどこにいますか?』
今井『きっ、貴様……、なんで、
我の真実の名を知っておる?』
上杉『このまえ、
「氷の魔法剣士、スノーナウ!」とか
名乗ってましたけど』
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以前のLINEで、そう書いてあった。
スノーナウ、名前が今井雪そのままだった。
それが面白くて、記憶に残っていた。
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今井『……失態だ、まあよい。だが、
おのれは現在、今井と交信しておるぞ』
上杉『はい、今井のLINEです』
今井『我はスノーナウであり、今井ではない!』
上杉『ゲーム中だから、
なりきっているのですか?』
今井『うむ。我は、スノーナウになりきっておる。
貴様は現在、冒険者なのだろ?』
上杉『はい。
いまは、冒険者ウエスギのアバターなので、
そうなります』
今井『ならば、冒険者ウエスギとして、
ファンタジー通信で、
スノーナウと交信してみろ』
上杉『ファンタジー通信?
それって、
ゲームのメッセージ機能のことか?』
今井『面倒くさい奴。
今日は、我のルンルン気分にめんじて、
貴様を、冒険者フレンズに追加してやろう』
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《冒険者スノーナウから フレンズ申請を承諾しますか?》
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視界上にイエローの通知がきた。
承諾した。
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《スノーナウが 冒険者フレンズに追加されました》
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LINEから《ファンタジー通信》に切り替わり、
字形が変わり色もブルーになった。
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