10-2 文化祭  開幕




 ぼくは、背後の大型スクリーンを見た。

 下部には文字が流れている。

 聴衆がリアルタイムで送信している意見だ。

 右から左にながれていく、コメントを読んだ。





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───自殺って、年間6万人じゃないの?    

  実態は、10万人越え…… マジ~?  

 

      若い人の自殺が増えてる  

  この前も、隣の学校で、一人やられたな  

     遺書がないと自殺認定されない  


  政府のデータ改ざん? 

毎年、戦争してるみたい  

現在、戦争中ですよ~


 情報戦 情報戦 情報戦 情報戦 情報戦


嘘の情報を、腕に、打たれて、タヒ者が急増


  日本の、超過死亡者数をチェックせよ!

 

   人口削減  

     ↑

    陰謀論

       累計の自殺者の数  パネー 

 

世界大戦が継続中    狂った人間界       


人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー 人生はクソゲー   

   ↑

 弾幕の非リア


人生は神ゲー 人生は神ゲー 人生は神ゲー 

人生は神ゲー 人生は神ゲー 人生は神ゲー 

人生は神ゲー 人生は神ゲー 人生は神ゲー 

人生は神ゲー 人生は神ゲー 人生は神ゲー 


 わたしは幸せですよ  ← 勝ち組リア充


     天国でも地獄でもない   

 

        社会はサバイバルゲームです   

ゲームのルールが法律です   


    人生は、命賭けの殺し合いの、    

    ソーシャル・サバゲーだ────




────────────────────





「これが、自殺管理法の内容です」


 画面が切り替わった。

 議長の矢野がスクリーンを見ながら、

 自殺管理法の説明をした。




────────────────────




  【自殺管理法】


   十八歳以上の成人は、

   自殺を希望するとき、

   特定の条件を満たした場合、

   政府の管理施設で、

   自殺することができる。





  【具体的な手順】


 1 厚生省に申請する。

 2 自殺管理委員会の審査を通過する。

 3 厚生省から認可をもらう。

 4 政府の指定する、管理施設へ行く。

 5 即死薬を服用して、眠るように死ぬ。




────────────────────





「政府は、自殺を管理すべきでしょうか?」

 それとも、

 この現状のままで、良いのでしょうか?」

 皆様、一緒に考えましょう」



 矢野の真剣な声が体育館に響いた。

 それから、ぼくの方をチラリと見た。


「では、自殺管理法に反対の、

 上杉令也君。発言してください」


「はい」



 ぼくは席を立ち、体育館を一望した。

 天井の蛍光灯が無数の顔を照らしていた。

 前方の席には生徒、後方の席には保護者、

 両端には先生が列している。

 500人を超える人間が混じり、

 形容しがたい臭いが充満している。

 しっかりと息を吸い込み、ぼくは肚に力を入れた。



「私は、自殺管理法に反対です!」



 茶番かもしれない。

 なんの意味も影響もないかもしれない。

 ぼくが語ることなど。

 それでも、

 たった一人の心を動かすことができれば、

 価値があると信じた。

 手元のパソコンと、

 特大スクリーンの画面を確認した。

 これまで積み上げてきた、各論が映しだされた。




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