10/8 Sat. 煩悩――油野宿理の場合
忌み数を気にする人と気にしない人の割合ってどっちの方が多いのかね。
日本の忌み数はおおよそで語呂合わせ。
ベトナムは
まあ、海外で最も有名な意味数はやっぱアレだろね。日本でも忌み数として知られる、13ってやつだ。
原初の人間は足の指を上手く動かすことができなかったから、手足を使って数を数える時に両手の十指と2本の足で合計12までしか数えられなかった。よってその次となる13はあり得ない数字として恐れられたらしい。本当かは知らんけど。
その影響で干支は12種だし、星座もへびつかい座を除外して12星座だし、半日は12時間だし、1年は12か月だし、中国では十二方位や二十四山と言ったものも生まれた。1ダースが12ってのもその影響だ。本当かは知らんけど。
西洋は特に13を嫌い、それはイエスの死に深く関与したユダにまつわる数字だからとされる。
例えば、最後の晩餐で13番目の席についたのがユダとか。
例えば、ユダがイエスの13番目の弟子だとか。
例えば、イエスが処刑された日が13日だったとか。
うん。キリスト+12使徒の時点で13なのに何を言ってんだって話だよね。そもそもユダはイエスの弟子じゃないし。処刑された日なんか記録に残ってないしさ。
これはおおよそ北欧神話で12の神が宴をしてる時に、招いてないロキが13番目の参加者としてやってきて、それが原因でバルドルがぶっ殺されて
後はタロットの大アルカナの13が死神のカードだったりするし。死刑台の階段の数が13段とかいうのもあるな。
まあ、何が言いたいかって言うとだ。
四苦八苦の先にある、13番目の苦しみが死ぬほどだるいってことだよ。
時刻は23時。俺は良い思い出のない公園のベンチでほうじ茶のペットボトルを傾けてた。
地元にある、優姫が朝メシでも昼メシでも晩メシでも、とにかく泥団子を食卓に並べてきてたあの公園だ。風雲拓也城をおてんば飛白姫が破城槌でぶち壊しまくってたあの公園だよ。
夏休みには吐いた上に気絶したっけ。まじで碌でもないな。
「よっす」
そこに現れたるは本日の主役。セブンティーンの宿理ちゃん。
リフィマでのパーティーは21時で終わり、地元に戻ってきて、風呂に入って、明日は文化祭で忙しいからさっさと寝ようって思いながらも、ベッドに転がりながらついついスマホをいじってたらLINEが来たんだ。ちょっとツラを貸せって。
「よっす」
やっぱ手ぶらで来たな。念のために持ってきてたもう1本のほうじ茶を差し出す。
「気が利くじゃん!」
「誕生日なのでね」
「……これ。誕プレなん?」
「いやー、安くあがったわー。税込み48円で済んだわー」
全力の棒読みを披露してやった。さりとて相手は600人からなるおめでとうを笑顔で受け切った女子。この程度は物ともしないようで、
「あんがと! 一生大事にするね!」
「いや飲めよ。……ああああ。ツッコミを入れちまった」
「おっしゃ! あたしの勝ち!」
ちくしょう。スルー力を磨かないと。
「冗談はさておき」
宿理先輩は俺の隣に座って、
「あたしは別にいいんだけどさ。これだとお返しに困っちゃうなぁって。48円以内で見繕わんとだしさ」
「そこは張り合わなくてもいいでしょ。遠慮せず10倍返しでどうぞ」
「480円でもお返しに困っちゃうんだけどね。4800円にしとこっか」
「100倍返しはさすがになぁ。ホワイトデーで帳尻を合わせてきそうでこわい」
お互いに小さく笑い、
「それで? わざわざ呼び出して何のご用で?」
「あー、うん。ちょいと相談したいことがあってさ」
「なんすか」
「真面目な話ね」
宿理先輩が俺をまっすぐ見つめてきた。むかつくほど可愛いね。
「あたしの人生のピークって今じゃないかなって」
ふむ。びっくりするくらい意味が分からん。
「どういうこっちゃ」
「あたしが人生で最も輝いてんのは今なんじゃないかってこっちゃ」
分かるような、分からんような。高みにいるから落ちることに恐怖を覚え始めたってことかね。
「どうしてそう思うのかを詳しく」
「うん。最近ね、ちょっと考えてみたんよ。あたしってなんで人気があるのかって」
「可愛いからだろ」
「……サラってそんなこと言う子だっけ」
怪訝な眼差しを送られました。何が悪かったんだろ。あぁ、そうか。
「お世辞じゃない。客観的事実を述べたのであって、俺も可愛いとは思うけど、ぶっちゃけ油野の女装の方が可愛いと思ってる」
「あー、論理の話ね。はいはい」
誠意を持った回答をしたのになぜこうもぞんざいに扱われるのか。遺憾だね。
「じゃー、論理的にいこっか。あたしは可愛い。だからモテる。男子にも女子にもちやほやされる。1週間に1回は告白みたいなのを受ける」
なんかむかつくな。
「でも可愛いからって人気があるってのは論理的じゃなくない?」
「ふむ。まあ、そうだね。可愛い=人気ある、なら上条先輩はなんでってなるし」
「かすりんはアレだからしょうがなくない?」
「要するに宿理先輩は性格も良いって受け取られてる可能性大」
「えらい遠回しに言ってくれんね」
「俺はそう思ってないんで」
「じゃあどう思ってるんよ」
「普通」
何を予想してたのか知らんけど、キョトンとされたわ。
「普通なん?」
「普通。宿理先輩のこういうとこいいなーってそこそこ思うし、宿理先輩のこういうとこうぜーなってそこそこ思うから普通」
「……褒められてんのか、貶されてんのか」
「だから普通だって」
「じゃあ、そこはもういいや。それで? あたしが人気の理由は?」
「タイミングがよかったんじゃね。時の運とか巡り合わせとかってやつ」
「それは間違いなくあると思うけどねー」
宿理先輩はほうじ茶をこくこく飲んで、
「たぶん。現役女子高生だからだと思うんよ」
あぁ。なくはないかもな。
「ティーンのリーダー的なポジションだもんな」
「そそ。でね。あたしって女子高生じゃなくなったらどうなるんだろって考えちゃってさ。たぶんだけど、今ほどはちやほやされないんじゃない?」
「そこは否定できんな」
一応は女子大生でも二十歳になるまではティーンだけど、仮にモデルをやるとしたら雑誌が変わると思う。けどそれはたぶん少しだけ大人向けの内容で、そうなると宿理先輩だと合わない気がするね。この人、美人だけど幼さがだいぶ残ってるしさ。
高確率で多数いる成人モデルの中に埋もれる。身長も平均くらいしかないし、胸もがっかりするくらい貧弱だし。武器と言えるもんが顔しかないんだよなぁ。
「だからね。思ったんよ」
その瞳には覚悟が宿っていた。嫌な予感しかしない。
「りっふぃーに告白するのは今がベストなんじゃないかなって」
即座に思った。あり得ないって。
そして同時に思った。これ、詰んでるんじゃないかって。
論理的に言えば、宿理先輩の理論は正しい。今がベストってのは激しく否定するけど、女子高生ってブランドがチート級に強いのは間違いない。
けどね。違う角度で論理的に言うと、未成年である限りはリフィスの恋愛対象になり得ないんだよな。だって結婚ができないから。性的な目で見られないんだ。
かと言って、来年の今日でエイティーンやどりんになったからって結果は同じだと思う。なぜなら、いくら成人と言えども、いくら青少年保護育成条例の対象から外れようとも、リフィスにとって『女子高生』とは子供を意味する言葉だからだ。
なにせ成人の定義が変わったのは今年の4月だからな。たった半年で順応せよって言う方がおかしい。それが1年半になったところで同じことじゃねえかな。
けどまあ、ワンチャンでなくはないんじゃないかとも思う。
だってあいつの初体験の相手って女子高生だった弥生さんだもんな。
あれは同い年だから許容できたのか。或いは、必要な条件だから許容できたのか。
それとも、相手が弥生さんだから受け入れられたのかもしれないな。
「……なんで黙ってるんよ」
「どう答えたもんかなって思って」
「あー、ごめん。真面目に考えてくれてたんね。てっきり寝そうになってるんかと」
「そこまで薄情じゃねえよ」
「ごめんて」
んー。普通に困ったな。何が困るって、俺の意見を参考にされるのが困る。
これで仮に俺がGOを出してふられたらどう責任を取ればいいのか。
逆にGOを出さずにいて、弥生さんに先を越されたらどうしようっていうね。
きっと俺を信じて相談してくれてるのに、真っ先に保身に走るのもどうかと思うけど、失恋の場面を見ちゃってるからな。あれが俺のせいで再現されるってなると、さすがに恐ろしい。助言なんて軽々しくできないわ。
「私見だけど」
「おお! おっけー! なんでも言って!」
いや、そんな笑顔で聞くような話でもないんだけど。
「俺は反対」
予想外に、宿理先輩は怒ることも、へこむことも、いじけることもなく。
「理由は?」
ただ、真剣な眼差しを向けてきた。
「大きく分けて3つ」
「分かった。聞かせてくれる?」
気が進まないな。
「まず1つ。今のリフィスは恋愛をする気がない」
「なんでそう思うん?」
「水谷さんと同居してるから」
「……ちはやん?」
そう。あの悪魔が宿理先輩にとっては目の上のたんこぶになるんだよ。
「もしも宿理先輩とリフィスが付き合ったら水谷さんはどうなると思う?」
「えっと。喜ばれるって勝手に思っちゃってたけど」
「半分くらいは思うだろね」
「半分? じゃあもう半分は?」
「申し訳なさと、落胆かなぁ」
「……どゆこと?」
「本来なら俺から言うことじゃないんだけど」
「……ん。他言はしない」
それで済むものでもないんじゃないかな。
「リフィスと弥生さんは高校の時に付き合ってたんだよ」
宿理先輩が目を瞬かせた。あれ?
「え。知ってたの?」
「あー、うん。りっふぃーが教えてくれたっていうか、あたしが尋ねた。リフィマで呼び捨てにしてるのって弥生さんだけだったから」
「えっと。どこまでご存じで?」
「ん? 付き合ってたって事実だけ。他にもなんかあんの?」
よし、ミスリードしとこう。
「別れた理由が水谷さんってことは?」
「え」
宿理先輩はびっくりして、しかし1秒後にはハッとした。
「ちはやんがやたらと弥生さんを気遣ってるのはそれが原因なん?」
「だと思う。だからたぶん水谷さんはリフィスと弥生さんの復縁を望んでる」
「……それは超ショックだわ」
天上の星々を眺めながら溜息を吐く。
「けど応援はしてないと思う」
「は?」
すぐにこっちを見てきた。忙しい人だね。
「水谷さんは宿理先輩が思ってるほどいい子ちゃんじゃない。罪の意識を感じてるから、それから逃れるためにそうなればいいなって漠然と思ってるだけ」
「唐突な酷評にやどりんは困惑を隠せない」
「酷評ってか事実だし。だって水谷さんはリフィスを大事に思ってる訳じゃんか」
「まあ、恩師だし?」
「その恩師が弥生さんを好きって訳じゃないなら、身勝手な考えで応援するのは恩を仇で返す行為になるでしょ。だから水谷さんは静観するに決まってんの」
人でなし発言で痛い目にあってもいるしな。
「おおー、そう言われたらそうかも。サラはやっぱ頭いいんね」
「いやいや、ただ水谷さんが厄介だって分かってるだけ」
「えー、もしかして、嫌いなん?」
「好きではない」
「嫌いなん?」
「好きではない」
言質は取らせねえよ?
「まあいっか。それで落胆の方は?」
「今の生活が終わるから」
「え! なんで!」
「そりゃそうでしょ。水谷ママはリフィスのことを信じてる。女子高生なんて未成年に手を出すはずがない。恋愛対象として見るはずがないって」
「あああああ」
やどりんが頭を抱えてしまった。
「そっか。そっか! あたしと付き合うことになったらりっふぃーは女子高生に興味アリって判定になっちゃうんだ。そんで、そうなったらちはやんのお母さんはそんな人のとこに娘を置いておけません! ってなっちゃうじゃん!」
「その上で、先生が相手を決めたならってことで潔く身を引くと思うね」
「ありそう! えぇ。これ、詰んでない?」
「だが詰んでない」
「まじで!」
ちょっと。近寄らないでよ。背凭れのないベンチだから押し倒されたら後頭部が地面に着地するよ。
「なぜならリフィスもそこまで読み切ってるはずだから。そしてその結果をちっとも望んでないから」
「おお。そうなんだ」
「確証はないけどね。俺が思い付くならあいつも思い付くだろって話。あの2人の同居はリフィスの提案で始まったものって聞いたし、だったら自分の都合で打ち切る訳にもいかんでしょ。せめて水谷さんが高校を卒業するまでは保護者でいると思う」
「なるほどねー」
「そんで2つめの理由だけど。率直に言って恋愛してる余裕がないから」
小首を傾げられちゃった。
「母親との同居を検討してんだってさ」
「へー、サラってりっふぃーのことなんでも知ってんね」
「そうでもない。だって興味ねえし」
ちょっとー、背中を叩かれたんですけどー。
「だからデート代とかの前に養うためのお金を貯めないといかん訳だ」
「お金くらいあたしが出すけど」
言われてみたい、その言葉。
「それをリフィスが受け入れるとでも?」
「まあ、無理かなぁ」
「という訳で3つめ。やっぱ未成年との恋愛はしないと思うね」
「最大の問題はそこなんよね。あたしってやっぱ子供に見られてんのかや?」
ぺたんこだもんね。あっちは双子山かよって感じなのに。
そこで閃いた。いい感じにふわっとしたことを言ってみようか。
「けどそこがチャンスとも言える」
「おお! 逆転の発想ってやつ?」
「そんな感じ。リフィスが宿理先輩のことを大人っぽく感じた時、それが勝利を手にする瞬間だ」
うん、まじテキトーだった。ふわっとしすぎたな。
「なるっほ! ギャップ萌えみたいなやつね!」
あ? あぁ。あ? まあいいか。
「そうそう。ギャップ萌え」
「いま、ちょっとだけ間がなかった?」
「気のせい気のせい」
「ならいいけど」
「とにかくね。急いては事を仕損じるって言うじゃん。リフィスはどうせ水谷さんが自立するまで動かないと思うから、そこまでは待った方がいいと思う。ただ、アピールは続けていい。付かず離れずを守りながら徹底マークはしてこう」
「おっけー!」
ふぅ。これで一安心。のはず。
この人のことだから恋コンの大賞に決まった瞬間に、テンション爆上がりしてそのまま告白とか無きにしもあらずだからな。
よし、帰るべ。もう日付が変わるんじゃねえかな。補導されても堪らんし。
「でもサラちゃんさあ」
まだあんのかよ。
「なんすかやどりんよぉ」
「あたし、告白する気満々だったわけよ」
「そっすね」
「だからあたしの中で告白欲がすごいことになってんのね」
じゃあふられてこい。って言えないのがまじでつらい。
「それでね。ちょっと頼みたいんだけど」
うわ。背筋がぞわっとした。なにこれ、やだこれ。
「すみちゃんから聞いたんだけど。あんた、エチュードが得意なんだって?」
あのモブが! ぺちゃぱいの分際で余計なことを言いやがって!
「つまり、俺にリフィス役をやれと」
「さっすが! 話が早い!」
えー、えー? あー、けどこれって告白される側だから、何かそれっぽいことを言う必要もないのか。ただ聞くだけでいいなら別に問題なくね?
「返答はどうすれば?」
「なしで! 告白エンドって感じで! その後の解釈は読み手にお任せしますで!」
それ、俺の嫌いなやつだわ。そんなんどうせ書き手が読み手のバッシングを恐れてあやふやにしたのをいい感じに言ってるだけだろ。
「おっけ。じゃあサクッと始めてサクッと終わるべ」
咳払いを1つ。んー、んー。よし。
「宿理、どうしました?」
背中を殴られた。なんでやねん。まじ理不尽ぞ。
「なんか恥ずかしくって!」
恥ずかしい。だから殴る。全然論理的じゃない。
「じゃあ黙ってるわ」
「うい。その方がいいかも!」
宿理先輩は姿勢を正し、ついでに前髪をいじり、服のしわを伸ばして、咳払いを1つ。その後にほうじ茶を一口。また前髪をいじって、
「帰るか」
「待って!」
「いやだって始まらねえし」
「なんか恥ずかしくって!」
「それさっき聞いた」
「あんたはなんでそんな平然としてられんの!」
「むしろここで宿理先輩相手に照れたりしたら俺ってなんなんだって話だけど」
てか演技って分かってるのにどきどきのしようもなくね。エチュードに没入できるモブ炭さんの方が特殊なんだよ。
「よし、じゃあいこっか!」
「いつでもどぞー」
そこで気付いた。そういや前回の告白ってネット越しだったんだもんな。目の前の男に気持ちを伝えるのって初めてなのか。そりゃあ緊張もするってか。
それって俺が相手でいいのか?
不安になったけど、本人がその気になってるんだからしょうがない。
「あの、糸魚川さん」
赤い頬に潤んだ瞳での上目遣い。いつぞやの内炭さんを思い出すね。これはそそるわ。グッとくる。
「えっと。前にも言ったけど。改めて言うね」
息を小さく吸い、しっかりと俺の目を見ながら言ってきた。
「好きです。付き合ってください」
ふむ。悪くはないんじゃねえかな。むしろよかったかも。普段クソ煩いやつがお淑やかにしてるのもギャップがあってグッドだしな。
ってもうしゃべって大丈夫なのかな、これ。まだエンドロールの最中?
そんな気の抜けたことを考えてた罰なのかもしれない。
「話は聞かせて貰ったよ」
「……」
え。なんか見慣れた悪魔がいるんですけど。
「あれ? かすりんじゃん。こんな時間にどしたん」
「ちょっとコンビニまで散歩しようと思ってね」
上条先輩はにやにやしながら寄ってくる。くっ、殺せ!
「天下のやどりんの告白を受けるだなんて少年も隅に置けないねぇ」
「告白の練習に付き合ってただけですよ」
「つまり告白を受けた事実に変わりはないということだね」
あぁ、そうだわ。それが本気か本気じゃないかは別として、告白を受けたのは事実でしかない。
「返事は? まさか天下のやどりんをふるんじゃなかろうね」
「返事はしなくていいって話だったんで」
「何を言う。それじゃつまらないじゃないか」
「見世物じゃねえんだよ」
「まあまあ」
宿理先輩と逆側に座ってきた。道草を食ってないでさっさとコンビニに行けや。
「面白きこともなき世を面白くってね。どれ、私にも練習をさせておくれ」
「は?」
「おー! やったれやったれ!」
あんた、恥ずかしいからって意欲的に仲間を増やそうとすんじゃねえよ。
「一夜に美少女2人から告白を受ける。そう滅多に経験できることじゃないよ?」
「したくもねえわ」
やっぱ厄日だ。最後の最後までこうなるのか。明日の活力を奪わないでくれよ。
「では碓氷才良改め、告白サンドバッグくん。心の準備はいいかな?」
え。告白ってそんなジャブやストレートを打つような感じでするもんでしたっけ。
困惑する俺に宿理先輩と上条先輩は似合わないくらいに愛らしく笑って、
「りっふぃー、ちょっといいかな?」
「少し話があるんだ。あのね?」
心から思う。早く帰って布団に入りたい。
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