9/16 Fri. 内炭人生相談所

 人の気持ちを推し測るのってやっぱ難しい。


 結局のところ、丸1日以上が経っても大岡さんの悩みは分からなかった。


 てか悩みの気配を消しちゃったんだよな。


 1年8組の出しものに決定した『進化するハンバーガー~謎解きにチャレンジして真のハンバーガーを食べよう!~』の打ち合わせの最中でも、大岡さんはいつも通りのギャルギャルしさを見せてた。


 今をエンジョイすることしか考えてないような、無垢な笑顔を披露してたんだ。この条件だと川辺さんもギャルの判定になっちゃうけど気にしてはいけない。よくよく考えれば川辺さんって金髪だし、化粧の薄いギャルと言って差し支えないしな。


 企画の立案を碓氷、川辺、高木の3人。その内容からタイトルを決めたのが碓氷、大岡、川辺の3人。ハンバーガーの構想を考えたのが碓氷、高木、川辺の3人。謎解きの内容を決めたのも大半は碓氷だけど、リアル脱出ゲーム経験者全員。言うまでもないが、それぞれの名前の並びは貢献度順だ。


 そこから碓氷という文字を消して企画書を作った。これに関してはハイカースト6人+高木さんが難色を示したが、陰キャが目立っても得なんかない。


 逆に「碓氷の企画とか手伝う気になんねーわ」ってぼやきが出る可能性すらある。だからここは川辺さんの名前を前面に出すのが得策なんだよね。


 意外にもこの案に最も反対したのは大岡さんだった。矢面に立つ川辺さんならともかく、大岡さんが反対する理由がよく分からん。これも悩みごとのせいなのかね。


 その悩めるギャルは昼休みに入るなり、


「おっひるー! 絵麗奈ちゃん! みっきー! ランチの時間じゃい!」


「じゃい!」


 川辺さんと喧しくしてる。合いの手のクオリティが相変わらずで安心できるね。


 ところで、実は昨日、上条先輩に超遠回しな相談をした。


 碓水@サラ:悩み事を抱えてる人の悩みを看破する方法って何かあります?

 飛白たん:超自然的な力に目覚めればいいんじゃないかな?

 碓水@サラ:いや、真面目な話で

 飛白たん:まずはスプーン曲げをてこの原理なしでやってみよっか!

 碓水@サラ:真面目に超能力を開花させようとすんじゃねえよ

 飛白たん:もう! せっかく私が一生懸命に考えてるのに! ぷんぷんだお!


 うん。ヒントは得られなかった。得たのはストレスだけだった。


 って思ったら、


 飛白たん:その人のことを好きな人に聞いてみるといいかもね


 意味深なことを言ってきた。


 碓水@サラ:と言うと?

 飛白たん:恋をするとその人のことを知らず知らずのうちに見ちゃってるのよ

 飛白たん:だからその人のことを1番よく分かるのはその人に恋している人だわ

 飛白たん:真相には辿り着けなくてもヒントは貰えるかも!

 碓水@サラ:なるほど。けどそれはそれで難易度が高くないですかね

 飛白たん:目を見ればいいんじゃないかしら

 飛白たん:目は口ほどにって言うでしょ?


 だから午前中は暇さえあれば吉田くんをチラ見してた。さながら恋する乙女がごとく。意外と気付かれないもんだね。


 まあ、それ以上に吉田くんが大岡さんをチラ見してるからだけどさ。しかも爽やか系イケメンに似合わない溜息の数。恋の病による症状ってよりは心配してるって感じなのかな。つまり大岡さんはそのくらい深刻な悩みを抱えてるかもって話だ。


 やっぱ解決できるものなら解決したいね。今は空腹をどうにかする方が先だけど。


 という訳でご飯ご飯。いざ技術科棟へ。


 部室に入ったらちょうど内炭さんがグレーボックスの蓋を取るとこだった。すっかり冷凍食品の虜だね。最近のは美味いからなぁ。


 いつもの席に着いたらいつもの動作をして、いつものようにプチトマトを捧げる。流れるようにって比喩がこれほどマッチした行動はないな。


 なお、ここまでお互いに発言なし。そのまま黙ってメシを食う。


「ねぇ」


 もうちょっと食ってからにしたかったな。


「どうした?」


「今日の放送演説って庶務の続きよね」


「だな。今日は1年がメインになるんじゃないかね」


 昨日の放送はすべて2年のものだった。愛宕部長くらいしか知ってる人がいなかったもんで途中から聞き流しちゃったね。


「ちょっとだけ牧野さんの放送が気になるなーって思って」


 分からんでもない。何せ人の口に戸は立てられないからな。牧野が中心になって優姫をいじめてたって噂は学年中に広まってる。そんな状況でポスターにもある『学校をより良い環境にするため』って主張をしても失笑を買うだけだ。


「いじめっ子が次のいじめられっ子になるってよくある話でしょ?」


「ベタってレベルであるな。その逆もだけど」


「今朝も昇降口の前で牧野さんのポスターを見ながらくすくす笑ってる生徒達がいたから。今日の放送で火に油を注ぐ形にならなければいいんだけど」


「陰口を叩くしか能のないやつらに屈するほど牧野のメンタルは弱くないけどな」


「へぇ」


 内炭さんの冷たい眼差し。


「随分と知ったようなことを言うわね。仲が深まるイベントでもあったのかしら」


 優姫と川辺さんの代弁者って感じですね。要らん勘繰りは勘弁。


「本人が言ってたんだけど、あいつ、入学してから1日も欠かさずにどこかの休憩で8組に来てるんだよ」


「……もはやストーカーでは?」


「異論はない。で、それを教えられてからちょっと気を配ってみたら本当に来てやがってさ。ウチのクラスの小泉こいずみさんと友達らしいんだわ」


「……本当に友達なのかしら。だしに使ってるようにしか思えないんだけど」


「俺もそう思う。小泉さんって序列20位くらいの中堅だしな。2組と8組の距離を考えても会いに行くとしたら小泉さんの方だろ。なのに大きな諍いがあった俺に、噂だってあるのにさ。日課みたいな感覚で会いに来てんだぞ。俺は完全にシカトしてるのにな。これでメンタルが弱い訳がない。ちょっと羨ましいくらいの無神経さだわ」


「無神経なのは碓氷くんもいい勝負じゃないの」


 内炭さんは苦笑して、


「自分に会いに来てるって自覚はあるわけよね」


「それは恋する少女をスルーしまくってることに対する非難ですかね」


「別にぃ? そんな意味で言ったわけじゃないけどぉ?」


 恋する少女としては納得いかないみたいですな。


「あいつ。一瞬でも目が合っちゃったら教室から出てく時に『また明日ね』ってLINEを送ってくるんだよ」


「……それは恐いわね。ぷちホラーじゃないの」


「そんで目を合わせなかった次の日は小泉さんとしゃべりながらじーっとこっちを見てんの」

 

「ガチホラーじゃないの!」


「これでも責められるべきは俺だと申すか」


「申しません。申し訳もございません」


「許す。だが次はないぞ」


 いつもの王手を掛けたとこで放送演説が始まった。驚くべきことにまだ2年の候補がいるらしい。どんだけ庶務りたいんだよ。


 興味はないけど一旦は耳に入れながらメシを食うことにした。もれなく逆の耳から出てったけどね。


 しかもすぐに飽きたから大岡さんに関する論理的思考を再展開してみた。


 第一候補。


 天野さんはモデルになる夢を叶えた。なのに大岡さんはあれから特に何かが変わった訳じゃない。


 すっかり人気者になった天野さんを見て、遠い存在になっちゃったなって少し思ってたのに、それ以上に遠い存在である宿理先輩を目の当たりにして、ここまで離れちゃったら一緒にいられなくなるんじゃ。と一抹の不安を覚えた。


 その結果が『今のままでいいのかなぁ』だ。


 第二候補。


 大岡さんは自称ガチ恋勢だけど、それはまだ本当に恋をしたことがないからそう思ってるだけかもしれない。俺や優姫と同じパターンだな。


 そして最近になってあることからふと冷めた。アイドルのおっかけが急に冷静になるやつと似てるかもね。どうせこのまま応援を続けても結婚できる訳じゃないし。応援を続けるのにも時間と金が掛かるし。行動の意義を見出せない。


 その結果が『今のままでいいのかなぁ』だ。


 第三候補。


 天野エレナというモデルの価値がまだまだ低いことを思い知った。なぜなら、油野宿理は立ち上がった天野エレナをスルーして碓氷才良とかいう陰キャに声を掛けたからだ。もっと応援しなきゃ。努力しなきゃ。そのために自分の能力も磨かなきゃ。


 そうして闘志を燃やしていたら応援演説という機会に恵まれた。人気モデルとの接点を増やすチャンス。もっと役立てる存在になれるかも。


 そう思ったら天野さんが来たから結局は譲ってしまった。ベストの結果にはなったものの、これだと自分はレベルアップできないじゃん。


 その結果が『今のままでいいのかなぁ』だ。


 んー、どれもいまいちなんだよな。強いて言えば第三候補か?


 けどそれだと吉田くんの心配げな視線が分からん。そもそも何が心配なんだ。理由は分からんけど大岡さんに元気がないように見えるから心配なのか。


「ねぇ」


 なん、だと。


 内炭トークが1日に2回も来てしまった。


「どうした?」


「それはこっちのセリフなんだけど」


 どういうこっちゃ。


「難しい顔をしてるから。悩みでもあるのかなって思って」


 顔に出てたのか。


「ちょっとな。よく分からんことがあって」


「話せる内容なら聞くわよ? これでも一応は謎解きメンバーの仲間だし」


 ふむ。一応は顔見知りだし。話してみるか。


「実はな」


 昨日の出来事。ついでに企画書のことも話してみた。そしたら、


「ちょっと分かるかも」


 苦笑された。


「何が?」


「んー、嫉妬っていうか。焦燥っていうか。恐怖っていうか?」


「ぶっちゃけて言うとまじで意味が分からん」


「碓氷くんはそうでしょうね」


 それが嫌味で言ってるんじゃないのは分かった。


「じゃあ順番に。嫉妬って誰にだよ」


「碓氷くんよ」


 は?


「あの状況で? 宿理先輩に声を掛けられたり企画を作ったりしたからか?」


「確かに私から見てもその2点はどっちも凄いことだと思うわね。特に前者は、さっきの牧野さんと小泉さんの関係みたいに、わざわざ序列の高い宿理先輩の方が会いに来てるわけだし、しかも公然と頼ったんだもの。凄いの一言だわ」


 けどね、と内炭さんはやっぱり苦笑した。


「それを碓氷くんってどうでもいいことだと思ってるでしょ? そんなのは自慢するほどのことでもない。大したことじゃないって感じで」


 不覚にもハッとさせられた。


「自分がしたくてもできないことを、目の前で何でもないような感じで片付けられちゃったら、嫉妬の1つもしたくならない?」


「……なるかもな」


「しかも碓氷くんは『しゃあねえなあ、やったらあ!』ってくらいの軽い感じで受けちゃうじゃないの。その上でこなしちゃうじゃないの。初めてバイトした日だってそうだったし、リフィスさんのいないリフィスマーチを黒字にしちゃったし」


「いや、あれはみんなの協力があってこそだろ」


「そうなのよね。俺1人じゃどうにもならなかった。そうやってすぐに功績を分配しようとするのよね。これまた大したことじゃないって感じで」


 これ。褒められてんのかね。ディスられてんのかね。超もやもやするんだけど。


「だから次も頼みやすくなっちゃう。碓氷くんはこれくらいのことなら引き受けてくれるんじゃないかなって。なんだかんだで優しいし、面倒見も良いし、能力もあるからね。宿理先輩も断られるとは思ってなかったんじゃないかしら」


 そうかもな。リフィスの誕生会の時もあれだけ無礼なことをされたのに受けたし。


「そうなると大岡さんは困るでしょ?」


 意味が分からなかったのは一瞬だけ。


「あぁ、天野さんの頼る相手が大岡さんから俺に移るかもって話か」


 内炭さんは神妙な顔で頷いた。


「モデルへの道を切り開いたのも碓氷くん。応援演説っていう晴れの舞台で読み上げる原稿を提供するのも碓氷くん。じゃあ次は? その次は? 絵麗奈ちゃんは私を頼ってくれるのかな? その結果が『今のままでいいのかなぁ』じゃない?」


 困るくらい納得がいった。


「それが焦燥か」


「そうね。でも碓氷くんならもう恐怖の正体が分かるでしょ?」


 そうだな。


「そのなんでもできるマンが今度はクラスの企画で手柄を放棄してきた。しかもタイトルの名付け親ってポジションを丸ごと渡してきた。自分が関わったものだからその難易度は多少なりに知れてる。だからこそ『このくらいはやってみせろ』ってメッセージに感じるし、そのくらいできないと天野さんを取られるって錯覚する訳か」


 被害妄想も甚だしい。けど、一理はある。手柄の譲渡を反対したくなるのも分かるってもんだ。


 その焦燥や恐怖と言った感情を吉田くんは捉えてるのかね。俺にはいつもの笑顔に見えるけど、彼には鬼気迫るものに見えてるのかもな。


 ふむ。しかし困った。


「これってどうすりゃ解決すんの?」


 俺が天野さんに手を貸さないって宣言をすれば状況は回復する。だがそれは天野さんにとってデメリットしかない。提案したら余計に焦るんじゃないかな。


「大岡さんの心の問題だからね」


「メンタルの強化をしてくださいってお話か?」


「それか碓氷くんみたいに何かしらの技術なり知識なりを手に入れるか?」


「神話、兵法、宗教、陰陽とか。そういうので良ければ一肌脱ぐけど」


「脱がなくていい。中二にしたいわけじゃないから」


「心理学とか授業で教えてくれない系の科学もいけるぞ」


「いやいや、だからね」


『続きまして、1年2組、牧野佳織さんの演説です』


 自然と会話が止まる。2人同時にほうじ茶を飲み、放送に耳を傾けた。


『全校生徒の皆さん。こんにちは。1年2組の牧野佳織と言います。ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、いじめっ子です』


 まじか。ここまでストレートに来るとは思わなかった。内炭さんも目を瞠ってる。


『先日、生徒会会長に立候補している上条飛白先輩が放送演説にて仰っていたことは事実でした。放送から1分も経たない内に1年2組までやってきて、もう笑っちゃうくらいボコボコにやられました。実際は笑えないくらい恐くて、泣いちゃうくらいつらくて。普段は仲良くしてくれるクラスメイトも助けに入ってくれないし。なんであたしだけこんな目に遭わないといけないのって。いじめてたのはあたしだけじゃないのに。なんでって思ってました』


 くはぁ、と大きく息を吐き。数秒ほど黙り込む。部室に静けさが漂った。


『でも。いじめられてた子はもっと理不尽な理由で同じような状況になってたんですよね。それこそ、なんでこんな目に遭わないといけないのって。なんでって。あたしもそれを初めて体験して、経験して。その子の気持ちを、100%じゃないとは思うけど、理解して。こんなのは、学校生活にあったらダメだって、強く思いました』


 内炭さんの目が潤んでる。自分の件か、優姫の件か、はたまた川辺さんの件か。いずれにしても、思い当たることは多々あるよな。俺もだよ。


『あの時は苦しかったけど。今は有難いと思っています。上条先輩、ご指導ありがとうございました。あと、小学校から一緒の男子も本気で怒ってくれたことが、自分を変える最大のきっかけになったので、その、ありがとね』


 どういたしまして。


『というわけで皆さん。あたしは生徒会に入るべきじゃないと思います』


「は?」


 内炭さんと声が重なった。じゃあこの放送はなんなんだよ。


『いやー、ほんとはね? 皆さん! あたしは罪滅ぼしに青春を生徒会に捧げますから! どうか更生のチャンスをください! いじめっ子は絶対に許さない! って戦略に切り替えようかなって思ったんだよね』


「こいつのメンタルなんなん」


「鬼よ。鬼メンタル」


『そしたら上条先輩が来てさぁ。え? 私ときみが両方とも当選したらきみはポスターにある通り、骨を粉にし身を砕いていじめの撲滅に貢献して貰うよ? だから今のうちにカルシウムをよく摂っといてね? とか言ってくんの。あの人、まじ恐いよ』


 うん。あの人、まじ恐いよ。


『それでね。本当に悪いことをしたと思ってるなら立候補を取り下げるなって。有権者の意思に従えって。勝手に逃げるなってね。だから落選するための演説をすることになったんだよ。ねえ、分かるよね? あたしに投票しちゃダメだよ? それっていじめだよ? 全校生徒であたしをいじめるとかやめてよね』


 押すなよって感じの芸風に見えちゃうな。これ、票が集まるんじゃないか?


『けどもし当選しちゃったら。もう、本気でがんばっちゃうよ。いじめは絶対に許さないし。全部の階に自販機を置く。焼きそばパンの納入数だって増やす!』


 内炭さんが笑った。分かる。こいつ、上条先輩に感化されすぎだろ。


『だって言ってくれたんだもん。無事に当選したら、神聖なる生徒会室を一緒に焼きそば臭くしてやろうって。そのために電子レンジも買っちゃおうって』


 もうめちゃくちゃ。けど、青春って感じはするね。


『まあ、そういうことだから。気が向いたら投票してね。でもそれ以上に上条飛白に1票をお願いします。あの人はまじでガチで学校をよくしてくれると思うよ! じゃあね! 1年2組! 牧野佳織でした! みんな! 聞いてくれてありがとー!』


 結果的に上条先輩の応援演説みたいになっちゃったな。これって大丈夫なのかね。


「想像の斜め上ってレベルじゃなかったわね」


「次元が違ったな」


 2人して笑う。


「元の条件が全然違うけど、大岡さんもこうやって一皮むけることができればね」


「言うは易しってやつだな」


 そもそも女子高生なら一皮むけるってよりも、む、LINEがきた。


 飛白たん:照れるね


 まじでガチでクソどうでもいいやつだった。照れる前に反省しろ。


 そう、この人のLINEみたいに一皮むけるってより猫をかぶる方が向いてる。


「……あ」


「どうしたの?」


「いや、猫って可愛いよなって思って」


「碓氷くんって猫派なの? 私もノラを見かけると可愛くてついつい近付いて。でも絶対に逃げられるのよね。あれって何が悪いのかしら」


 猫の写真が届いたと勘違いしたっぽい。


「猫を擬人化して考えてみ。やや興奮した様子の自分よりずっと大きな人が鼻息も荒くして『こわくないよー、こっちにおいでー』って寄ってくるんだ」


「……ガチでホラーじゃないの。どうして碓氷くんはそういうことを言うのよ」


 もう! せっかく俺が一生懸命に考えてるのに! ぷんぷんだお!


「疑問を口にしたから解答をあげたんじゃねえか。近付くんじゃなくて近付いてくるような手段を執りなさいってことだよ」


「なんか恋みたいね」


 そうかもね。近付き過ぎると煙たがられるし。


 けど恋の場合は待ってばかりいてもしょうがない。相手が気にしてくれるような武器を手に入れないとね。


 そう、大岡さんも。天野さんを虜にするような武器を手に入れるんだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る