第62話

集中して書いていたら、いつの間にか夜中になっていた。宝之華は既に眠っていた。私ももう寝ようと思ったが、もう少し頑張ることに。明日は教室の仕事が入っていないので。

ということで、再び取り掛かっていたらもう朝になっていた。

急いで寝て、ふと起きたときには既に昼前であった。宝之華は仕事でいなかったのだが、朝食も昼食も準備されていなかった。なぜ?忙しかったから?


仕方がないので、近くのコンビニに買いに行った。久しぶりに行った気がする。いつもたいてい宝之華が作ってくれていたから。頼りすぎていたなぁ。


「え?零くん?」


「あ、川中先生」


コンビニで会ってしまうとは。困ったものだ。レジに同時に並んでしまうとは。


「あいつ飯作ってくれないの?」


「今日は忙しかったみたいで」


「そ」


「川中先生は今からお仕事でしょうか?」


「いや、今帰りだけど?」


「朝ですよ?」


「そうだけど?」


なんという不規則な生活をされているんだろう。川中先生、すごいです。

なんとなく、一緒にアパートへ帰ることに。


「あの、碧唯さんは家に帰られましたか?」


「いや、たぶんまだ」


「そう、ですか」


「零くん、仕事は?」


「今日は休みです」


「そっか。俺はちょっと休んだらまた仕事だよ」


そんな話をしていたら、もう自宅前に着いた。川中先生はまたカギをごそごそと探している。


「見つかりそうですか?」


「あーちょっと待って」


まだ探している。どうしてそんな奥に入れてしまうのだろう?

すると、川中先生の目の前のドアが開いた。


「あら?おかえりー」


「え。碧唯!?」


「何、今帰り?あら零くん、おはよう」


「おはようございます」


「2人で買い物~?仲がよろしいこと」


「そうでもないですよ」


「おい、零くんどういうことだよ」


「なんか、零くん元気ないね?どうしたの?」


「なんでもありません。失礼します」


宝之華、今日は何時に帰って来るのだろうか?その前に散らかしている部屋を少しでも片づけておくべきだろう。

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