モデルの仕事
第40話
私、宝之華はまだ仕事がない。仕事では、Honocaで活動しているのだけど、きのこ頭の藤原さんときたら佐賀さんと呼ぶ。いいかげんにしてほしいものだ。
「佐賀さん」
ほら、また佐賀さんって言った!
「なんですかー?」
「今日はジャムさんが来るそうです」
「え!まじっすか!見学しまーす」
藤原さんより、耳より情報をもらった。ここのモデルさんって仕事ないときは全く来ないので、撮影している人は限られている。
私の担当カメラマン萩原さんは、まなさんの担当でもある。ので、おのずとよく見学することになっていた。でもまなさんの撮影は時間がかかる。大学生だから、撮影はまとめてするらしく、1日がかりだ。
ジャムさんは、NYでも活動しているためにこっちの仕事はあまり入れていない。
なので、ここに来る日は少ないので、ぜひ見たい!
「おっはよー」
ジャムさんがやってきた。
「おはようございますー。ジャムさん」
「ほのかちゃんは、今日撮影なの?」
「いえ、見学で、ジャムさんの撮影を見せて頂きたいのですが」
「いいよー。準備行ってくるから待っててね」
わー優しい。そして、ジャムさんと会ったのは、私がここに来た時以来だった。
どうやら皆さん私に会うために、仕事をその日に入れてくださったとか。だからあんなに人いたのか。
ジャムさんは準備中なので、先にスタジオで待つことにした。一応、ジャムさんの担当カメラマンの小暮さんに挨拶しとくか。小暮さんも準備中であった。
「お疲れ様です。今日見学させて下さい」
「おーほのかちゃん。いいよいいよ!てか~写真撮らせてよ」
「え」
これは、ナンパなのか?
「有太、私の撮影でしょ?」
あ、下津さんがいらした。ん?今、有太って呼んだ?それって、小暮さんの下の名前?
「はいはいごめんねーほのかちゃん。今からこいつの撮影なんだ」
「私ので参考になるかしら?」
「よ、よろしくお願いします」
下津さんのも見学することに。すこし離れた場所には待てるように、椅子と机が用意されている。そこで見学する。
この2人、微妙な関係なのかな?こういう余計なことは萩原さんが知ってそう。後で聞こうっと。あ、萩原さんまだ来てなかった。
下津さんは、ポーズから表情まで上手い。でも私知らなくてすみません。
「いまいち。ちょっとポーズ変えて」
「わかった」
あーうざい小暮さん。注文多いんだよ!そんな嫌なテンションのとき、ジャムさんがやってきた。服装は春の装いのワンピース。うわーい!テンション上がる!
「まだ撮影中だねー」
「はい。小暮さん注文多くてうるさいですね」
「そっか~。早く終わらないかな~」
「急いでるんですか?」
「うん。学校行かないといけなくて」
「学生さんなんですか?」
「うん。高3だよ。卒業式もうすぐだからー荷物取りに行かないといけないのー」
「そうですか。大変ですね」
そうか。高3。私は留年していたので、2月にすぐ卒業だったな。
「ジャムさんこんにちは」
誰かが元気よく話しかけてきた。
「クレアちゃん!撮影なの?」
「そうです。あら?ほのかさん?」
「ど、どうも~」
私この人苦手なんだよね。
「撮影ですか?」
「え、私ジャムさんの見学で」
「では、私とお話しましょう!」
「え」
「私、まだ仕事に慣れていないんですけど、ほのかさんはどうですか?」
「いえ、まだ私は撮影の仕事なくてですね…」
「そうなんですね!」
笑顔で言われても。ちょっと悲しいんだけど。
「ほのかさんはジャムさんみたいになりたいんですか?」
「は、はい?」
「では、私たち一緒ですね。仲良くしましょうね」
「え」
手を取られ、キラキラした目で見られた。なんか、怖いよ。
「ジャムちゃん!撮影お願いしまーす!」
「はーい」
下津さんの撮影終わったのか。クレアさんは私の手を放してくれた。
ジャムさんの撮影はとってもスマートであった。小暮さんはいいねーを連発。下津さんが浮かばれない。撮影はすぐに終了してしまった。残念。
「おっし、次はクレアちゃん。その次ほのかちゃんも撮ろうか?」
「え、結構です」
「そんなこと言わずにさー」
どうしたらいいのだろう?断ってもカメラマンのプライドが傷ついちゃうしな。困ってたところ藤原さんが来た。
「小暮さん、お疲れ様です。ほのかさんお借りします」
「…は?今からクレアちゃんの撮影見るつってんだけどー?」
いやいや、私言ってない。
「今日は白河さんがいらしているので、そっちへ行かせます」
「えー。まじかー残念」
よかった。クレアさんと小暮さんから離れられる。
「いつでも撮ってあげるからね。プライベートでもいいし!」
「え」
これはやっぱりナンパだよね?
「では、失礼します」
藤原さんに連れられて、現場を離れる。
「あの~小暮さんが変なこと言うんですけど」
「スルーするといいよ」
えーそんなことしてほんとにいいのかな?
「…あ、佐賀さん、白河さんはまだスタジオ入ってないみたいだ」
佐賀じゃねーし!
小暮さんの撮影している隣のスペースには、ちびのおっさんが1人準備していた。白河さんのカメラマンって長山さんなんだ…。お気の毒に。
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