第28話
よくわからないけど、お茶を旦那様が入れてくれた。
「んで?お前ら飯は?どうすんの?」
「え、あー!もう7時だしー!」
「そうですね…部屋はまだ片付いていませんし…外食にしますか?」
「てゆーか、お前ら引っ越してきたの昨日だろ?なんで片付いてないわけ?」
なんか怒ってない?
「すみません!いろいろ連絡とかしてたら遅くなっちゃって!零さんも仕事のことで忙しくて」
言い訳する私。
「ふーん。じゃ、うちで食ってけよ」
え。
旦那様はキッチンに向かってしまった。
「え?なに?どういうことですか?」
「将希が作ってくれるよー?何がいい?」
え、作るの?あの顔で?
「なんでもいいですけど…ほんとにいーんですか?」
「いい。もう作ってるし。てめーら座っとけ!」
口悪いのに、優しい。なぜ?
「ありがとうございます。では、待たせて頂きます」
あ、零さん。折れた。
「あ、ありがとうございます」
私も言っとこう。
「いいのいいの気にしなくて!んで?宝之華ちゃん仕事は?あるの?」
「私、ファッションモデル…です」
なんか照れるけど。
「ひゃーすごいね。かわいいわけだわー」
「ありがとうございますー」
「お姉ちゃん、すごいね」
お子様にまで言われちゃったよ。
「えへへ、ありがとう」
「ねー将希、宝之華ちゃんモデルだってー」
キッチンにいる旦那様にも私の情報が。あわわー恥ずかしや。
「え?お前が?」
私お前言われてます。
ご飯ができて、旦那様が持ってきてくれた。優しいのかなんなのかわからない。
「はい、オムライス」
「えー!まじですかー上手!」
「まぁ、食えよ」
期待してなかったのに、こんなにも美しい料理とか!
「いただきまーす!わぁ、うまいですこれー」
「お料理上手なのですね」
味も完璧であーる。
「まぁ、普通だけど」
いや、普通じゃないよ。うまいもん!
「杏、どう?」
なんでか奥様にも質問してるよ。
「あーうまいうまい」
超適当な感想。
「よかった。柚と桃は?」
「おいしー」
ちゃんとパパなのか…。
食事のあと、私からも疑問をぶつけてみた。
「あの、2人の職業を教えて下さい!別に悪用しませんから」
「は?悪用できんのか?お前」
「しませんって言ってんじゃないですか!」
「まぁ、怒らないで、ね?えー将希は医者で杏は獣医見習いだよーん」
「お医者様なのですか?」
「そうだけど。なんだよ」
目つき怖いし。なんでいちいち怒るんだろ。
「お2人共お医者様だなんて素晴らしいです。」
「杏は見習いですけどー」
どっちも先生。ってことは?
「…細川先生!ってことだーすごーい」
「おい、それはどっちを呼んでんだ?」
「あーえーっと、じゃあ杏さんと細川先生ってことででいいですか?呼び方!」
「いいねー!いえーい!」
わーい。杏さんに賛同してもらえた!
「俺は名前じゃないわけか」
細川先生にはつっこまれた。名前がよかったのかな?
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