はじまり

第24話

いつもの公園で二人で話をしていた。

よし…。今日、会社で言われたことをちゃんと話そう。


「零さん、あの…」


「はい?なんでしょう?」


「私、東京のモデル会社にスカウトされちゃって」


「へぇ、すごいですね」


「そ、それでですね、東京に行くことになりました」


「そうなんですか?」


零さんは、その後黙ってしまった。

あー、怒るかな?急に決まったし…。


「…離れ離れになりますが…お元気で…」


「じゃあ、結婚しましょう」


「え?」


普通に…軽い感じで…佐賀宝之華さがほのか躑躅零つつじれいさんは結婚しました。

うちはおばあちゃんに許可もらうだけだけど、零さんの家はちゃんとしてるからすぐには無理?って思ってたけど…即オッケーだった。私の卒業を待って、福岡から東京へ上京した。

マネージャーから言われて、髪の毛は茶髪にして、髪型はショートにした。さらば黒髪。


私をスカウトしてくれたのは、藤原ふじわらさんという人。

住む部屋も決まって、打ち合わせとなり会うこととなった。男性の方ということで、零さんも心配して一緒に行くことに。もちろん、いつもの着物である。怪しくない?


打ち合わせ場所には、きのこ頭の男の人ときりっとした女の人が待っていた。え、あの人が藤原さん?ゆっくり近づくと、あちらが気づいた。


「佐賀宝之華さんでしょうか?」


「は、はい!そうです!」


「はじめまして、藤原明ふじわらあきらです」


うちの事務所の社長とここの社長とは、話を通してあるけど、私はこの藤原さんと会ったことがなかった。


「はじめまして。えっと、その人は?」


「はじめまして、モデルのまなです」


「え、あの、真奈さん?」


「わーい!知っててくれたんですか?」


「えーっと、はい」


この人…知ってる。よく。


「あの、大変申し遅れましたが、私、夫の躑躅零と申します」


「え?」


藤原さんも、真奈さんも驚いていた。


「え?佐賀さんの夫、ですか?」


「うっそ!ただの通行人かと思ってたし。てか着物?」


「零さんの私服なんです」


「ところで、お話を戻しますが、まなさんは…高原真奈さんでお間違いないでしょうか?」


零さんが、丁寧にしゃべる。


「え、フルネーム?なんで知ってんの?」


やっぱり。みのるさんの憧れの人。そして、実さんの大好きな友人の先人さきとさんの双子の姉。で、間違いない!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る